怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

吉田 類「酒場詩人の流儀」

2015-02-20 07:39:09 | 
毎週月曜日の夜9時からはいつも「吉田類の酒場放浪記」を見ている。
どことなくナルい曲(どうやら「エジプシャン・ファンタジー」という曲らしい)とともにいつものナレーション「酒場という名の聖地に酒を求め肴を求め彷徨う…」
なんということもない酔っ払いが大衆酒場で飲んでいるだけの番組ですが、ついつい見てしまいます。最近ではこの人気にあやかり女酒場放浪記などの類似番組もいくつか出てきました。でも、吉田類の酒場放浪記が一番ですね。
駅前の古くからやっている大衆酒場にふらりと入ってお奨めの肴を食べ、酒を飲む。たまたま店で飲んでいる人たちと交流しながら乾杯して回る。どちらかというと小汚いような店で出てくる肴もどて煮とか串焼きが多くて、しこたま飲んで食べて5千円もしないような店ばかり。どんなに酔っぱらっても店を出てから帰り際に「ではもう少しこの辺りで飲んできますか」と言いつつ去っていく…
最初はこの番組、吉田類が出演を渋っていたらBSだから誰も見る人いないし…と口説かれたとか。今では人気番組となって酒場に吉田類が登場するとすごい人気とか。
この本はそんな吉田類の最新作です。

そんな訳でこの本も図書館の予約が一杯で借りるのにかなり待たされました。中身は新聞に連載していたエッセイをまとめたものなのですが、「新潟日報」と「北海道新聞」なので当然ながら北海道と新潟の話題が多い。新聞連載なのでしょうが酒場での話よりも全国の心許す友との交歓とか野山を歩く中での自然とのふれあいとか故郷の高知県仁淀町の思い出とか至って真面に綴られています。
それにしても人気者になったせいかトークショウイベントに講演会にと日本全国を飛び回ってかつ飲みまわっているみたいで、もはや東京に現住所があるのかという状態みたいです。笑ってしまったのは、最近では東京の下町とか地方の盛り場で自分とそっくりのいでたちの男性と出会うことがあるとか、カールした髪の毛とハンティング帽をセットにした扮装グッズがネットで売られているとかだそうです。ちなみに、あの黒づくめの服ですが、ほとんどがアルマーニとか。お金かかっています。ある店ではいるはずのない弟と名乗る人が来店したとか。有名税ですね。そうかと思えば行きずりの方から「お体を大切にしてくださいね」と言葉をかけられることも多くなったとか。ある新聞の投句欄には「知らぬ地で俺も今宵は吉田類」という句が出ていたとか。これには思わず吉田類も噴き出してしまったそうです。
本業はイラストレーターにして俳人とかだそうですが、若かりし頃は山歩きと渓流釣りに没頭していたみたいで、そのころから日本全国を放浪していたみたい。今でも高尾山とか丹沢山系はわが庭のごとく歩いているみたいです。
番組を見ていれば分かりますが酒は高知県人の正統派らしく斗酒も辞さずというか。2升飲んだこともあるとか言っています。たまに番組の中でも半分ろれつが回っていなくなる時もあります。編集してあるので前後してあの酒は本当に飲んだのかと思う場面もあるのですが、たぶんテレビ画面に出ている以上に飲んでいるのでしょう。休肝日にはジョッキ2杯にするとかは阿川佐和子との対談でいっていました。
当然ながら俳句もお酒に纏わるものが多くて、俵万智と飲んだ時には
「汝も酔はば おぼろ月夜の タイタニック」
俵万智も酒豪なんでしたよね。
巻末に引用した俳句の一覧が載っていますが、気に入ったのを書いてみます
「懐手 竜馬は夢を 離さざる」
竜馬の懐に入っているのはピストルではなくて「夢」。高知県人の志が出ていますね。
「グッバイを 鞄に詰めて 冬の旅」
今や日本列島を旅してまわり、俳句と酒との仲ものっぴきならなくなって暇なしの前のめりの日々を送っている、そんな日々の一句です。
「火酒過ぎて 亡者の船に 揺られたる」
これは二日酔いの句でしょうが、わかりますね~。
これだけ毎日酒を飲めるというのは体力があるのでしょうが、ご自愛していただきたいものです。
ちなみに酒場放浪記の気分の色濃いものを読みたいのであればNHK出版の「酒場歳時記」も併せて読んだ方がいいと思います。でもどうしてこれがNHK出版なのでしょうか。
もちろんTBSから番組本は出ていて、

これはもう第8巻まででています。

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