武田邦彦さんの本を読んだ勢いで、手に取って読んでみました。
あの時原発が爆発する危険もあって日本が危機的状況だった時に首相官邸はどうだったのか。
著者は朝日新聞の記者ですが、実名での当事者への取材によって緊迫の3月11日から15日までの国家権力中枢の状況をあぶりだしています。各章の注釈には取材先、発言した人とか状況が詳細に記されていて、徹底した取材をもとにしていることが分かります。違うというのなら出て来いということですね。

原発事故での対応については菅元首相がいら立って怒鳴り散らすだけで混乱を招いたと何となく悪者になっていますが、この本を読んだ印象ではあの状況の中で精一杯頑張ったみたいです。むしろ東京電力とか原子力安全保安院が危機に際してほとんどまともに機能していなかったことには唖然としてしまいます。自らよりどころとしていた原発安全神話が崩壊したときにパニックとなって思考停止して呆然自失となったということでしょうか。
本来なら原発事故に対して何が起きていて何をすべきかを首相をはじめ官邸中枢にレクをしていかなければいけないのに、まったくと言っていいほど状況を把握できずに、首相の質問にもまともに答えられていなかった。
起きるはずがないと言われていた爆発を官邸のテレビで初めて知るなんて言うのは唖然とする。
もちろん危機管理室の部屋が通信機能がないだので連絡するにも一苦労などというのは想定外と言いつつ準備不足というか実務能力に対する想像力の欠如としか言いようがないのですが、これは官邸の設計が悪いとしか言いようがないので菅首相の責任ではない。
トップが現場へ行くということの可否は議論があって私は行くべきではなかったと思っていますが、何が起きているかさっぱりわからない中での苛立ちがヘリでの現場視察となったと思います。
冷却水として海水注入をするのに一時菅首相が止めたと言われていますが、状況を追っていくと海水注入の影響を首相を訪ねたことはあっても止めた事実はない。そもそも官邸は海水注入をしていることを報告受けていなくて知らなかったということなので止めようがない。
因みに菅首相が海水注入を止めたということをブログで安倍が指摘して責任を追及しているのだが、これは誤報というかフェイクニュース。このブログについて記者の取材申し込みに安倍は返事をしていない。
計画停電については東京電力は独断で日程を決めていたのだが官邸には事後報告で、大混乱。結果半日遅らせたのだが、東京電力はいろいろな影響をどこまで考えていたのか。在宅医療の人も増えていて、電気がないと生きていけない人も多い現状を知っていたのだろうか。結局厚生労働省を中心に徹夜で各方面に連絡して影響を最小限にしているのだが、たぶん東京電力の計画を立案する人の頭の中には大口需要者のことは考えても、そんなことは考えもしなかったんだろうな。
2号機がいよいよ危なくなって、いつ爆発してもおかしくないとなった時、制御不能ということで東京電力は福島第一原発から撤退を検討し出している。全員撤退ではないとか言っているのだが、ことの本質はもはや制御不能だからとかあきらめるるかどうかということで、何人残すとかいう話ではない。いろいろな証言をつなぎ合わせると東京電力は明らかに撤退を考え清水社長はそれを政府側に通告しようとしていた。もし諦めていて制御不能のまま爆発していたなら東日本全体が避難区域になりかねなかったし、日本という国はめちゃくちゃになっていたかもしれない。結果的には武田邦彦さんの言うことを信じるなら爆発してもおかしくなかったのだけどもいろいろな幸運があって何とか爆発せずに済んでいるのだが、その時の東京電力に日本の命運を背負っているという覚悟があったとのか。清水社長は黙して語っていないが、責任者としての社長として万死に値する。あの時菅首相は東京電力に乗り込んでいき撤退はありえないと言っているのだが、やもすると怒鳴っただけといわれているけど、そこは怒鳴らなければいけない場面だった。
もうひとつ全く生かされなかったspeed1について。外務省を通じて在日米軍には情報がもれなく流されていたのに、肝心の官邸にはその存在すら知らされずに避難に当たって全く生かされなかったspeed1。保安院は情報を得ていたのですが、これは文科省の所管だからと報告をすることなし。文科省は予測はちゃんと保安院に送ったのだがそれをどう使うかは災害対策本部という。縦割りの中で責任逃れされて、誰も災害対策本部に報告していない。少なくとも菅首相も枝野官房長官もそんなものがあることさえも認識していなかった。怒鳴りまくるだけで官僚を信頼していなかった政治家には報告しにくいのなら危機管理監にはちゃんと説明してあげるべきだったと思うのだが。風下の避難して浴びなくてもいい放射性物質にさらされた人にどういうのか。
読んでみて、東京電力、原子力保安院、安全委員会と専門家たちはこの事故に対して全く当事者能力がなかったことが分かる。呆然自失して急激に進行する危機的状況に対して予測不能になり何ら有効な対応策を打てていなかった。
官邸を弁護するつもりはないが、まともな情報が上がってこないで原子力の専門知識もないまま、訳が分からないのに日本国としての重い決断を迫られることばかりの状況ではよく頑張ったほうだと思う。もちろん判断を誤ったことや余計な混乱をもたらしたことも多々あったのだがあと知恵でなく当事者としてはよくやったのでは。菅首相のパーソナリティが余計被害を拡大したように言われているが、責められるべきは東京電力であり保安院を始めとした官僚組織。あえて言えば自民党政権時代から綿々と続いてきた体制です。安倍さんだったらうまくできたのかというのは疑問です。
それにしてもこういう大惨事が民主党政権時代にめぐり合わせるというのも歴史のあやか…
あの時原発が爆発する危険もあって日本が危機的状況だった時に首相官邸はどうだったのか。
著者は朝日新聞の記者ですが、実名での当事者への取材によって緊迫の3月11日から15日までの国家権力中枢の状況をあぶりだしています。各章の注釈には取材先、発言した人とか状況が詳細に記されていて、徹底した取材をもとにしていることが分かります。違うというのなら出て来いということですね。

原発事故での対応については菅元首相がいら立って怒鳴り散らすだけで混乱を招いたと何となく悪者になっていますが、この本を読んだ印象ではあの状況の中で精一杯頑張ったみたいです。むしろ東京電力とか原子力安全保安院が危機に際してほとんどまともに機能していなかったことには唖然としてしまいます。自らよりどころとしていた原発安全神話が崩壊したときにパニックとなって思考停止して呆然自失となったということでしょうか。
本来なら原発事故に対して何が起きていて何をすべきかを首相をはじめ官邸中枢にレクをしていかなければいけないのに、まったくと言っていいほど状況を把握できずに、首相の質問にもまともに答えられていなかった。
起きるはずがないと言われていた爆発を官邸のテレビで初めて知るなんて言うのは唖然とする。
もちろん危機管理室の部屋が通信機能がないだので連絡するにも一苦労などというのは想定外と言いつつ準備不足というか実務能力に対する想像力の欠如としか言いようがないのですが、これは官邸の設計が悪いとしか言いようがないので菅首相の責任ではない。
トップが現場へ行くということの可否は議論があって私は行くべきではなかったと思っていますが、何が起きているかさっぱりわからない中での苛立ちがヘリでの現場視察となったと思います。
冷却水として海水注入をするのに一時菅首相が止めたと言われていますが、状況を追っていくと海水注入の影響を首相を訪ねたことはあっても止めた事実はない。そもそも官邸は海水注入をしていることを報告受けていなくて知らなかったということなので止めようがない。
因みに菅首相が海水注入を止めたということをブログで安倍が指摘して責任を追及しているのだが、これは誤報というかフェイクニュース。このブログについて記者の取材申し込みに安倍は返事をしていない。
計画停電については東京電力は独断で日程を決めていたのだが官邸には事後報告で、大混乱。結果半日遅らせたのだが、東京電力はいろいろな影響をどこまで考えていたのか。在宅医療の人も増えていて、電気がないと生きていけない人も多い現状を知っていたのだろうか。結局厚生労働省を中心に徹夜で各方面に連絡して影響を最小限にしているのだが、たぶん東京電力の計画を立案する人の頭の中には大口需要者のことは考えても、そんなことは考えもしなかったんだろうな。
2号機がいよいよ危なくなって、いつ爆発してもおかしくないとなった時、制御不能ということで東京電力は福島第一原発から撤退を検討し出している。全員撤退ではないとか言っているのだが、ことの本質はもはや制御不能だからとかあきらめるるかどうかということで、何人残すとかいう話ではない。いろいろな証言をつなぎ合わせると東京電力は明らかに撤退を考え清水社長はそれを政府側に通告しようとしていた。もし諦めていて制御不能のまま爆発していたなら東日本全体が避難区域になりかねなかったし、日本という国はめちゃくちゃになっていたかもしれない。結果的には武田邦彦さんの言うことを信じるなら爆発してもおかしくなかったのだけどもいろいろな幸運があって何とか爆発せずに済んでいるのだが、その時の東京電力に日本の命運を背負っているという覚悟があったとのか。清水社長は黙して語っていないが、責任者としての社長として万死に値する。あの時菅首相は東京電力に乗り込んでいき撤退はありえないと言っているのだが、やもすると怒鳴っただけといわれているけど、そこは怒鳴らなければいけない場面だった。
もうひとつ全く生かされなかったspeed1について。外務省を通じて在日米軍には情報がもれなく流されていたのに、肝心の官邸にはその存在すら知らされずに避難に当たって全く生かされなかったspeed1。保安院は情報を得ていたのですが、これは文科省の所管だからと報告をすることなし。文科省は予測はちゃんと保安院に送ったのだがそれをどう使うかは災害対策本部という。縦割りの中で責任逃れされて、誰も災害対策本部に報告していない。少なくとも菅首相も枝野官房長官もそんなものがあることさえも認識していなかった。怒鳴りまくるだけで官僚を信頼していなかった政治家には報告しにくいのなら危機管理監にはちゃんと説明してあげるべきだったと思うのだが。風下の避難して浴びなくてもいい放射性物質にさらされた人にどういうのか。
読んでみて、東京電力、原子力保安院、安全委員会と専門家たちはこの事故に対して全く当事者能力がなかったことが分かる。呆然自失して急激に進行する危機的状況に対して予測不能になり何ら有効な対応策を打てていなかった。
官邸を弁護するつもりはないが、まともな情報が上がってこないで原子力の専門知識もないまま、訳が分からないのに日本国としての重い決断を迫られることばかりの状況ではよく頑張ったほうだと思う。もちろん判断を誤ったことや余計な混乱をもたらしたことも多々あったのだがあと知恵でなく当事者としてはよくやったのでは。菅首相のパーソナリティが余計被害を拡大したように言われているが、責められるべきは東京電力であり保安院を始めとした官僚組織。あえて言えば自民党政権時代から綿々と続いてきた体制です。安倍さんだったらうまくできたのかというのは疑問です。
それにしてもこういう大惨事が民主党政権時代にめぐり合わせるというのも歴史のあやか…