事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

さらなるユリシーズ

2012-03-28 16:48:06 | 本と雑誌

テキストファイルをみつけた(こちら)、Azonと違うのはコピペ可能ということ、そんなんコピペしてどうするって、柳瀬尚紀の訳がアップされてる(こちら)のでちょっと比較してみようかと(余計なことすなって、ハイ)、第7挿話「アイオロス」と言いたいとこなんだが、元ネタにその文字列はない、みつけるのに苦労したぜ、たまたま大文字(新聞の見出しをパロってるとのこと)で始まってなかったらまずわからんかった、日本語訳は親切だ

IN THE HEART OF THE HIBERNIAN METROPOLIS

Before Nelson's pillar trams slowed, shunted, changed trolley, started for Blackrock, Kingstown and Dalkey, Clonskea, Rathgar and Terenure, Palmerston Park and upper Rathmines, Sandymount Green, Rathmines, Ringsend and Sandymount Tower, Harold's Cross. The hoarse Dublin United Tramway Company's timekeeper bawled them off:

--Rathgar and Terenure!

--Come on, Sandymount Green!

Right and left parallel clanging ringing a doubledecker and a singledeck moved from their railheads, swerved to the down line, glided parallel.

--Start, Palmerston Park!

THE WEARER OF THE CROWN

Under the porch of the general post office shoeblacks called and polished. Parked in North Prince's street His Majesty's vermilion mailcars, bearing on their sides the royal initials, E. R., received loudly flung sacks of letters, postcards, lettercards, parcels, insured and paid, for local, provincial, British and overseas delivery.

愛蘭土首都中心部
 
ネルソン塔の手前から車体が減速 、路線変更、列車の行き先はブラックロック、キングストン・アンド・ダルキー、クロンスキア、ラスガ―・アンド・テレニュール、パームストン公園とアッパー・ラスマイン、サンディマウントグリーン、ラスマイン、リングスエンド・サンディマウントタワー、ハロルド十字路。ダブリン鉄道組合のダミ声タイムキーパーの怒声が響く。
―ラスガー・アンド・テレニュール!
―こっちだ! サンディマウントグリーン!
 
左右並行、ぎしりぎしりとニ両編車と一両編車が終着点から向きを変え、下り線へと身を翻す。平行。

―パームストン公園行きィ、発車ァ!   戴冠者  郵便局の軒先で靴磨きが客を呼び込み、磨き上げる。ノースプリンス通りに朱塗り郵便配送車を停め、車体側面を王室の頭文字E,Rに向けて、ブン投げられた麻袋を受け取っていく、手紙、葉書、封書、小包、確認及び支払済、地方発送、イギリス及び海外発送。

一目見てわかるのは「戴冠者」の前後で改行するのを忘れてること、単純ミスで実際活字になる時には直されるんだろうけど

駅のシーンではラトガー、テレニュール行きとサンディマウント行き、どっちかが二両でどっちかが一両な2つの電車がこの駅ではまだ平行な線路をいっしょに滑り出したと言ってるんだよね、この日本語でわからんことはないけどもうちょっとわかりやすく言えるんじゃないか、「平行。」ってglidedはどこへ行ったんだ?それとringingは「チンチン」じゃないの?柳瀬ってちょっと眼高手低なとこがあるのじゃなろうか(ゴメンナサーーイ)

ちなみに丸谷才一その他訳は以下の通り

ヒベルニア(アイルランドのラテン名)首都の中心で

ネルソン塔の前に来ると、電車は速度をゆるめ、ポイントを切り替え、ポールを移し変えて発車する(地名略)ダブリン合同市電会社の発車係はしゃがれ声で電車を追い立てた(略)
二階立て電車と普通の電車が、右と左に並んで、がたがた車体をゆすり、りんりん鈴を鳴らし、発車場を離れ、ぐいっと回って下り線にはいり、並んで走った
-パーマーストン・パーク、発車

王冠をいただく者

(一部略)手紙や、葉書や、郵便書簡や、書留小包の袋が、どさりどさりと車に投げ込まれる。市内向け、地方行き、イギリス本国行き、海外行きなど

いろいろ確かめにゃいかんことはあるけど一つは絶対言える、丸谷先輩が「日本語になってない」なんて柳瀬後輩に言われるスジアイはないってこと、後輩は損だと思うよ、たぶんね

3/29追記-一番の問題はダブルデッキとシングルデッキ、これはどっちも正しくないのじゃあるまいか、電車のデッキとはつまりは乗降口のことなんだから電車にツードアとワンドアの2種類があったというだけのことじゃないかと愚考する次第(残念ながら電車マニアと連絡がつかないので断定はできない)、また市電はやっぱチンチンとベルを鳴らしてもらいたい、年長世代がリアルで知らないハズはないと思うんだが

さらに追記-レターカードが封書はおかしい、封書はただのレターだろう、郵便書簡=折りたたんで封筒の形にできる便箋(ややっこしいな、日本では航空便以外まず使わないし)が正しいと思う、insured and paidはparcelsにかかって書留小包の意味という解釈もまずは妥当なんじゃあるまいか、ここは先輩の勝ちと判断する(私ごときに判断に意味はないが)

枝葉末節だうでもよいじゃないかって?まーね、だけど一事が万事とはこういう場合にも言えるんじゃないかな?