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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

本居宣長

2010-07-31 17:54:24 | 本と雑誌

小林秀雄ではない、高島さんの本の続き、夕べは飲んだくれてたので本居の章で飛ばしてたとこがあった、これをちゃんと紹介しとかないとどうして「本居の思想がもてはやされるのがいい時代のわけはない」のかわからないから高島さんに対して公正じゃないのだ

本居宣長は「国学」を始めたヒトということになってるけど本人は「国学」なんて言わなかった、日本人なんだから日本のことを学ぶのがホントの「学問」、漢籍を学ぶのは漢学とか儒学とか言えばいいと言ったのだった、当時の日本で学問と言えばもちろん漢学のことで(たぶん蘭学もちょっとは入ってたハズ)日本の本なんか本のうちに入ってなかった、だから日本の古典を研究しようというのは別に悪いことではなかったのだが、宣長はいささか度を過ごしていた

いわく「古事記にあることは何でも正しい、アマテラスは太陽そのもので地球は太陽のおかげで生きている、つまり日本は世界で一番エライ国なのだ」(原文知らないからこと通りかどうかわからんけど)
またいわく「ホノニニギが日本へ来て(天孫降臨)から神武天皇の即位まで百七十九万二千四百五十余年と日本書紀にあるから日本の歴史は神武以後と合わせて百七十九万五千年

アマテラスが太陽かどうかはともかく(天の岩戸は日食という説なくはないし)、百七十九万年という数字は日本書紀にしかない、古事記には確かニニギの次のホオリ(山幸彦)が在位五百何十年(これは飛びぬけて大きな数値)とあるだけだと思う、そも日本書紀というのがけっこう漢籍を引っ張って格好つけてる、宣長流に言うなら相当に「漢意」(カラゴコロと読む)なシロモノで、そんなこと漢籍も十分に読み込んでた宣長が知らんわけはない、「昔のヒトもいいかげんなこと書くよなあ、アッハッハ」と言って当然だった-のがどうも日本の史書のことになると合理主義者が正気をなくして神がかりになってしまったらしいのだ

そう、こんな思想がもてはやされる時代、いいわけはない、それはまことにその通りだった、考えてみれば(みなくても)津田左右吉ってのは本居宣長の対極にあったヒトで、そのどちらも評価される高島さんは公正な方なんだなあ-と浅学の読者は改めて感心するのであった、この項オワリ


津田左右吉

2010-07-31 11:20:46 | 本と雑誌
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いやもうメッチャメチャおもしろい、本を読んで笑うことは年中あるが、ここで話題になってるようなヒトたちって普通ならアッハッハとおかしいことはあんましないのじゃないか-新井白石、本居宣長、森鴎外、内藤湖南、夏目漱石、幸田露伴、津田左右吉、柳田國男、寺田寅彦、斎藤茂吉-でも実に意外なネタがいっぱいでとにかくおかしい、何でもものすごく長い録音(テープかICかわからない)をその道のプロが編集してできたものなんだそうで、編集したヒトがよっぽどいいところばかし選んだってことかもね

わけても意外だったのがこのヒト、知らんかった、そも又聞きだけで著書を一行読んだことすらないけど、東大の井上光貞、京大の直木孝次郎という日本史学者の中でも正統派中の正統派が、このヒト以外まともな先達はおらんみたいに崇め奉ってるから、よっぽどの大物かと思えば、どうやら戦時中に「出版法」という(今見れば)しょーもない法律にひっかかって訴えられた(戦争が終わってウヤムヤになった)から戦後になってもちあげられただけらしいのだ、まあ内藤湖南(京大)に対抗した白鳥庫吉(東大)のゴーストライターだった、白鳥の業績はほとんど津田が書いたという話だから、全然大物じゃないわけでもないようなんだが、しっかし一人の弟子もいなかったてのはサビシイやね、複数の後輩からこれほど評価されてるのに

この本の著者高島さんも「古事記や日本書紀は後世の創作で歴史の事実ではない」という津田の議論を「戦後のわれわれからみればいかにもあたりまえのこと」としておられる、ああそうですか、やっぱしなあ、日本人のご先祖様が書いた歴史書なんか全然問題にしておられないんだ、よーくわかりましたです、支那と支那語に関しては文句なしの碩学として心から尊敬申し上げるし、これからも御著書を楽しませていただくけど、国史の古いところに関しては一線を画するということでよろしく

付記-これだけで終わっちゃ不公平だね、本居宣長のことは「その思想がもてはやされる時代がいい時代であるわけはない」とおっしゃるにもかかわらず、「合理主義的な学者」だとしてたいへん高く評価しておられるのだった、公正な方なのだ、これもまた私ごとき浅学にとっちゃ目からウロコ、まことにありがたいことなのでアル