版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

ドキュメント10.21 その5「絵描きの仕事」

2013-02-21 11:05:28 | その他 Other


10月21日(日)午後5時前

帰りの電車の10分間で いっきに老けてしまった感じの私は
疲れ切ってようやく我が家へたどり着きました。


「ただいま......」

相方
「お帰りなさい!! どうだった!」


「うん..... 多分..... 十中八九.....     これは詐欺だな.....」

相方
「えっえーーーー 本当! 詐欺って どうゆう事?」


「うん..... 寸借詐欺..... だと思う」

相方
「お金取られたの?」


「うん..... まぁ.... 1万
 丁度養清堂ギャラリーからの支払い分 持っていたから
 それと 作品1点...... 」

相方
「さっき言ってた 口座番号って?」


「今度の木曜に作品20点分160万 振り込まれる事になってはいるんだけど.....
 まず 間違いなく   無いな.....   嘘だと思う」

相方
「でも.... それならまだ決まった訳では ないんじゃない?」


「そう 詐欺と決めつける証拠は 今は無いんだ.....
 だから相手にも 何も言えずに戻ってきた.....」

今日の本間氏との経緯を簡単に説明した私は がっかりした相方を慰める言葉はありませんでした。

相方
「さっき 母に良い知らせがあると電話しようと思ったんだけど
 よかったわ 止めて.....」


「あぁ そりゃぁ良かった......
 んーーー  うかつだった.....
 うまい話しにはウラがあるってことだなぁ  情けない.......
 つい Kさんからの話しなんで 信じてしまった....
 そうそう Kさんもやられたか 電話してみるよ」



私は仕事場へ行ってKさんの自宅に電話してみましたが 留守らしいので 携帯にかけてみました。


「もしもし.... Kさん? 水落です」

Kさん
「あぁ どうも!どうも! どうでした? 沢山売れました?」


「うん.... いや..... あのねKさん 今日 本間さんにお金か何か 貸しました?」

Kさん
「えぇ? いや そんなこと しないですよ 貸しませんよ」


「あっそう 良かった!」

Kさん
「どうかしました?」

電話の向こうは何やら賑やかな音がしています。
もしかすると どこか飲み屋に繰り出して 300万の祝杯をあげているのかもしれません。


「いやね 多分この件は    言いづらいんだけど
 それにまだ決まった訳じゃないんだけど..... 詐欺だと思う......」

Kさん
「まさか! 何言ってるんですかぁ 証拠でもあるんですか!
 いや何か実害があったんですか?」


「うん.... 大した事じゃないけど 本間さんに1万渡したんですよ」

Kさん
「でも それだけじゃ まだ解らないじゃないですか 詐欺と決まった訳じゃないでしょっ
 例えもし 詐欺だったとしてもですよ 解った時点で その1万 私が払いますよ!
 私の責任ですから でも..... 詐欺だなんて!」

Kさんは少し酔っているようで 何度も1万は私が出しますと 繰り返しています。


「いや そう云う事じゃなくて..... Kさんに被害が無ければ いいんです じゃぁ 」
と言って 後味悪く電話を切りました。

頭から信じて祝杯をあげているKさんが驚くのは無理もありません。
純粋なKさんです 私にこれは詐欺だと言われても すぐには納得できないのは当然です。
私に腹を立てているようでもありました.....





そして問題の4日後の木曜日
時間が経つにつれ 私は詐欺であるとの確信が増々強くなっていたので
すぐに確かめに行く気になれず ついでの用事があった土曜に銀行へ行ってみました。
もちろん 入金などありません。
その10日後 Kさんからもやはり 詐欺でした との 沈痛なメールがきました......

私が想像するに かの本間氏 Kさんの質素で禁欲的な生活を見て
彼からは金をせしめるのは無理と判断したのでしょう。
あるいはKさんには まったく「すき」がなかったのかもしれません。
そこで偶然私の版画を見つけ Kさんから話しを聞き出し 標的を私に替えたものと思います。
友人・仲間からの紹介と云う事で 私も何の疑いも無く すぐに信じてしまいました。
人を介して信用させる..... 多分これは詐欺師の常套手段なのでしょう。
そしてかの本間氏 世事に疎く 人のいい美術家連中専門に寸借詐欺を働いていたと思われます。

それにしても Kさんと忠良さんの経緯の件といい
アメリカへの土産用の版画の話 部下へ見せる版画を預かる などなど
良く練った綿密な仕込みを考えたものです。
でも 結局彼は 八王子駅から遠いKさんのアトリエから 大宮・上尾まで足を運んで
この日手に入れたのは 1万円と2万相当の版画(画廊や古物商に持ち込んでも1万以下) 切符650円.....
1日の稼ぎとしては まったく割に合わなかったに違いありません。

よく考え込まれた今回の詐欺ではありますが エセ本間氏は重大なミスをしでかしています。
それは 絵描きの仕事は絵を描くということを忘れていた様です。
それも 映像での記憶が得意と自負する私と 2時間以上も一緒にいたのです。
その上私は 名高い本間宗家の人間とはどんな人なのか 大いに興味もあって
じっくり観察したのですから......

今回の長いドキュメントの最後に 自称本間氏に一矢報いるべく
これが絵描きの仕事というのをお見せします。

そう 本間氏の似顔絵です。

正面


横顔


年齢 70~75歳位
身長 170cm程 痩せ型
髪  白髪で短く刈り込んでいる
日焼けは中程度 メガネは無し
言葉は標準語ですが さ行が微かに潰れる音(しゃ しゅ しょ等)が混じるので
おそらく西日本出身ではないかと思われます。まず北日本ではないでしょう。

もしこの様な人を見かけましたら是非
「本間さんですか?」と 声をかけてみて下さい。
そして
「インターネットであなたの似顔絵が出ていますよ」と 教えてあげて下さい。






長々とお付き合いいただきまして ありがとうございます。

さて 次回はガラッと趣を変えまして
NORIKO先生から送ってもらった 寒くて暖かい ホッコリする写真集をお送りします。










最新の画像もっと見る

コメントを投稿