路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

湖に光の華や大試験

2011年01月19日 | Weblog

 もろもろ一人で懐かしがっていたりしたら、週末から病室で過ごすことになった。病室の主ではなくその従者の方。
 センター試験の前日に年寄りが転院して、慌ただしいままに土日を新たな病院で過ごす。
 新たな方の病院はできて10年くらいか。高層で立地もオシャレ。大病院で職員の数も相当なものだが、その人たちがみんな例外なく親切である。ことに看護婦さんがみんな美人で応対がやさしい。これは奇跡的と言ってもいいのではないか。彼女たちの仕事の過酷さを見るにつけ、本当に感心する。そして頭が下がる。

                     

 付き添いといっても基本暇だから、病院の中を散歩したりボケッとしたりして時が過ぎる。
 借りた小山清を読んだりする。再読か三読くらいではあるが、読んで時々泣きそうになる。「前途なを」も「朴歯の下駄」も「落穂拾い」もこんなにもよかったかと思う。才乏しくも(敢えて言えば)ひたすら真摯でひたすら優しいということは、やはり人の心を強く打つ。これは病室で読んだからではなく、やっぱりワシが歳とったからであるだろうな。若くして読んではいけない、読んでも意味がない、そういうものがあるのでありますよ、たぶん。で、どうしても、作者のその後、悲惨としかいいようがないその末路を思ってしまうのでありました。

                       

 連日晴天。
 ビルの高層から眺めていると、現実のセカイが嘘のように思えてくる。