聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/4/25 創世記6章9-19節「ノアの箱舟」こども聖書⑪

2021-04-24 11:40:24 | こども聖書
2021/4/25 創世記6章9-19節「ノアの箱舟」こども聖書⑪

 今日は、こども聖書の11番目の話し、「ノアの箱舟」です。船は大抵、前にとがった形をしていますが、四角い形の船を箱舟と呼びます。聖書に出て来る「ノアの箱舟」は神がノアに作らせて、沢山の動物たちを乗せたことで知られている有名なお話しです。

 神がお造りになった世界で、人間は神様との約束を捨てて、どんどん神様から離れていきました。前回お話ししたのは、弟アベルを殺したカインのお話しでしたが、その後の子孫たちは全員が、カインとなってしまったのです。創世記六章にはこうあります。
主は、地上に人の悪が増大し、その心に図ることがみな、いつも悪に傾くのをご覧になった。それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。
 そうです、神様は、人が人を傷つけて、乱暴にしたり、騙したり、裏切ったり、盗んだり、嘘をついていることを見て、心を痛められた。神様に背を向けても、人間が幸せだったのに、神様が腹を立てて、人間を滅ぼしたのではないのです。神は、神ご自身への背きより、人間が人間を踏みつけている状態に心を痛めました。全員が憎み合い、殺し合っている世界は、当然メチャメチャになって、最後は滅びていくしかありません。そのような、真っ逆さまに破滅に向かっていく世界を、神はご覧になったのです。そして、神ご自身を忘れている以上に、人間が滅ぼし合っている状態に、心を痛められたのです。人間の悪を怒ったり、裁いたりするよりも、神は、その心を痛め、悲しまれた。
11地は神の前に堕落し、地は暴虐で満ちていた。12神が地をご覧になると、見よ、それは堕落していた。すべての肉なるものが、地上で自分の道を乱していたからである。
 この状態を見て、心を痛めた神が、遂に決断したのが、大洪水という方法でした。ですから、この大洪水から、どんなに、神が人間を心に留め、愛し合い、正義を行うことを願っているか、人間が滅びることを決して願っていない神であるかを覚えましょう。神が人間を滅ぼしたのではなく、人間が滅びに向かっていたのです。その悲惨な転がり落ちる世界を止めるために、神は洪水という方法で世界を洗い流すほかなかったのです。
 その世界に、ノアがいました。
「ノアは主の心にかなっていた。[主の目に恵みを見出した。]…ノアは神とともに歩んだ」。
 それは、世界にたった一人の小さなノア、世界の暴虐を止める力もなかった一人でしたが、神はそのノアを見落とすことなく、目を留めてくださったのです。ノアは、神がこの世界の悪に心を痛める方であり、だからこそ、その世界の中にある一人の人の正しさをも、見逃さずに、心に留めてくださる方であることの証です。神は、この世界のために悩み、私たちのために心を砕かれる方です。
Ⅱペテロ二5[神は]…かつての世界を放置せず、不敬虔な者たちの世界に洪水をもたらし、義を宣べ伝えたノアたち八人を保護されました。

 神は、この世界を愛され、人間が滅びることを深く嘆かれるお方です。私たちの幸せを願い、私たちの小さなやさしさ、神とともに生きようとする願いを、神は喜んでくださいます。神に逆らう罪も、人間の間の暴力も、神はこの世界から洗い流してくださいます。そして、ノアも私たちも保護してくださるお方です。そのノアに仰せられました。
13…「すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ようとしている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。見よ、わたしは彼らを地とともに滅ぼし去る。14あなたは自分のために、ゴフェルの木で箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外にタールを塗りなさい。15それを次のようにして造りなさい。箱舟の長さは三百キュビト。幅は五十キュビト。高さは三十キュビト。
 これは、どんな大きさでしょう。長さ137m、幅は22.8m、高さは13.7m。大きな船のようです。家よりも、飛行機よりも大きいのです。

 ノアの家族が乗るだけなら、小さな車で十分です。それなのに、神がこのような巨大な船を造るように仰せになったのはなぜでしょうか。そう、ノアとその家族だけでなく、動物たちも救うためでした。
17わたしは、今、いのちの息のあるすべての肉なるものを天の下から滅ぼし去るために、地上に大水を、大洪水をもたらそうとしている。地上のすべてのものは死に絶える。18しかし、わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたは、息子たち、妻、それに息子たちの妻とともに箱舟に入りなさい。19また、すべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二匹ずつを箱舟に連れて入り、あなたとともに生き残るようにしなさい。それらは雄と雌でなければならない。
 神は、この世界を人間だけでなく、動物たちも生きる世界をとしてお造りになっていました。人間の最初の仕事は、動物たちに名前をつけることでしたね。それぐらい、人間は神様が造られた世界で、神様の造られたすべてのものを大事に守る使命を与えられているのです。ですから、神様はこの世界が滅びていくのを嘆かれた時も、ノアの家族を救うだけでなく、動物たちも救って、ノアがそのお世話をするようにと願われました。

 自分たちだけのためのシェルターを造るのも大変だったでしょうに、動物たちのためにも大きな箱舟を造ることは、どんなに大変だったでしょう。創世記の6章に「百二十年」という数字が出て来ますが、これは箱舟を造るためにかかったのではないかとも言われます。こんな大きな木の箱を、見たこともないものを造るのは、どんなに大変だったかしれません。ノアは、神が言われた通りに、この箱舟作りをしたのです。

ヘブル十一7信仰によって、ノアはまだ見ていない事柄について神から警告を受けたときに、恐れかしこんで家族の救いのために箱舟を造り、その信仰によって世を罪ありとし、信仰による義を受け継ぐ者となりました。

 ノアの箱舟作りは、世界の滅びを望まない神からの大事業でした。この世界の悪や暴力を、神は決して見過ごしにされません。なぜなら、この世界は神が手塩にかけて造られ、長い時間を掛けて育てられ、そこにいる動物たちも、私たち一人一人の小さな心までも愛おしんでおられる、そんな世界だからです。神はこの世界を必ず新しくされます。

「世界の造り主なる主よ。あなたを忘れた人間は、互いにも背を向け合い、幸せを望みながら、滅びていくしか出来ません。今もこの世界があるのは、この世界を滅ぼすまいとしてくださるあなたの御心があるからです。どうぞその御心に私たちが信頼して、世界を造り育てるあなたの業に、私たちも仕えさせてください。世界の悪や暴力を嘆きつつ、あなたの憐れみとよいご計画に根ざして、主イエスとともに歩ませてください」
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