聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/12/26 第一サムエル記17章「ダビデとゴリアテ」こども聖書㊵

2021-12-25 12:34:02 | こども聖書
2021/12/26 第一サムエル記17章「ダビデとゴリアテ」こども聖書㊵

 巨人ゴリアテと、少年ダビデの戦い! これは聖書の中でも最も有名な話の一つかもしれません。後の王さまとなるダビデの、純粋で勇敢な信仰を伝えてくれます。
Ⅰサムエル十七4一人の代表戦士が、ペリシテ人の陣営から出て来た。その名はゴリヤテ。ガテの生まれで、その背の高さは六キュビト半。5頭には青銅のかぶとをかぶり、鱗綴じのよろいを漬けていた。胸当ての重さは青銅で五千シェケル。6足には青銅のすね当てを着け、背には青銅の投げ槍を負っていた。7槍の柄は機織りの巻き棒のようであり、槍の穂先は鉄で、六百シェケルあった。…



 見上げる身長と怪力の巨人。そのゴリアテが率いるペリシテ人が、聖書の物語に出てきて、神の民を圧倒しています。今ここでゴリアテに飲まれて震えています。彼は、
8…叫んだ。「…一人を選んで、おれのところによこせ。9おれと戦っておれを殺せるなら、おれたちはおまえらの奴隷になる。だが、おれが勝ってそいつを殺したら、おまえらがおれたちの奴隷になって、おれたちに仕えるのだ。」

 このように言われるのは、イスラエル人にとって、自分たちだけでなく、自分たちの神、主をも馬鹿にされる、酷い屈辱でした。怒って立ち向かって当然でした。でも、彼らは何も出来ないのです。聖書には、本当の神様が、ここまで導いてくださった物語が続いていました。今までも、何度も救われて来ました。大きなエジプトの国に奴隷として捕らわれて暮らしていた所を、神の力によって救い出されて、ここまで旅をして来たのです。それなのにすっかり怯えています。そこにやって来たのが、少年ダビデでした。

 ダビデがその戦場に来たのは、戦うためではありません。まだ少年でしたから。ダビデのお兄さんたちが戦いに出ていたので、お父さんからお弁当を預かり「これを食べて頑張って」と言うためです。しかし、お兄さんたちもどの兵士たちも怯えてしまっています。ダビデはゴリアテの言葉を聞いて、驚いて、腹を立ててしまいます。

26ダビデは、そばに立っている人たちに言った。「このペリシテ人を討ち取って、イスラエルの恥辱を取り除く者には、どうされるのですか。この無割礼のペリシテ人は何なのですか。生ける神の陣をそしるとは。」

 これを聞いてお兄さんは、生意気な、と腹を立ててダビデを叱りますが、ダビデは黙りません。それを聞いたサウル王がダビデを呼び寄せると、ダビデはサウルに言います。

32…このしもべが行って、あのペリシテ人と戦います。」

 こういうダビデは、決して無鉄砲ではありませんでした。少年といっても既に十五歳よりも大きかったはず。そして、羊飼いとして羊を獣から守るため戦ってきました。

36しもべは、獅子でも熊でも打ち殺しました。この無割礼のペリシテ人も、これらの獣の一匹のようになるでしょう。生ける神の陣をそしったのですから。」37…「獅子や熊の爪からしもべを救い出してくださった主は、このペリシテ人の手からも私を救い出してくださいます。」

 この通り、ダビデはここまで戦ってきた経験がありました。またサウル王は自分の頑丈な鎧兜を貸してくれました。けれど、それはダビデには重すぎて、歩くのもやっと。ダビデはその鎧は断る勇気をもってお返しします。頑丈でも重すぎる鎧は、かえって危ない。そんなことを十代のダビデも十分知る経験値、現実を見る目を持っていました。

40そして自分の杖を手に取り、川から五つの滑らかな石を選んで、それを羊飼いの使う袋、投石袋に入れ、石投げを手にし、そのペリシテ人に近づいて行った。


 
近づいてくるダビデを見て、巨人ゴリアテはすっかりコケにします。

43~44節「…おれは犬か。杖を持って向かって来るとは。」ペリシテ人は自分の神々によってダビデを呪った。…さあ、来い。おまえの肉を空の鳥や野の獣にくれてやろう。

 こんなに笑われてもダビデはちっとも動じません。神様がいるのですから勇敢です。

45…おまえは、剣と槍と投げ槍を持って私に向かって来るが、私は、おまえがそしったイスラエルの戦陣の神、万軍の主の御名によって、おまえに立ち向かう。46…すべての国は、イスラエルに神がおられることを知るだろう。47…この戦いは主の戦いだ。主は、おまえたちをわれわれの手に渡される。」

 すると、ゴリアテはダビデに近づいて来ます。ダビデはゴリアテに走って行きます。

49ダビデは手を袋の中に入れて、石を一つ取り、石投げでそれを放って、ペリシテ人の額を撃った。石は額に食い込み、彼はうつぶせに地面に倒れた。51ダビデは走って行ってペリシテ人の上に立ち、彼の剣を奪ってさやから抜き、とどめを刺して首をはねた。



 こうして少年ダビデは巨人ゴリヤテを倒し、ペリシテ人は散らされてしまい、戦いに負けそうだった臆病なイスラエルの国は生き延びることが出来たのです。


 ダビデの神は、私たちの神です。世界を創り、私たちをも今日まで守り、導いてくださいました。それでも私たちは新しい壁にぶつかると、神を信じるより、絶望したり諦めたりしやすいものです。今までの恵みを忘れて、もうダメだと思い込んでしまう。そうした時、神は意外にもダビデのような少年を突破口とします。教会に来たばかりの人、未信者の家族、眼中になかった部外者、無神論者さえ、神は遣わされて、私たちの疑いを超えた、神の力を見せてくれる。そんな体験も聖書にはちりばめられているのです。

 何よりも神の子キリストがそうです。力強い英雄として現れることも出来たのに、小さな赤ん坊で現れ、田舎者として活動し、最も惨めな十字架に殺された。しかし、それは最も強い神が、人のあらゆる思い込みを超えた勝利でした。
 今、皆さんが恐れているのは、どんな敵でしょうか。ダビデがゴリアテを倒したように、イエスはすべての敵を打ち負かされるお方です。そのお方に私たちも信頼しましょう。そして、私たちもそこに加えられましょう。私たちのこれまでの小さな経験、信頼を、いや私たち自身を一つの石として、主の物語が進むために、どうぞ用いて下さい、とお献げしましょう。

「大いなる神様。1年の最後に、今日までの恵みを覚え、感謝と賛美を捧げます。クリスマスの、主の計り知れない謙りと十字架と復活の力を崇めます。その恵みに預かりながらも、今置かれている困難にはあなたの新たな力により道が開かれることをその都度必要としています。ここまで導かれた主よ、どうぞこれからも導いてください。それを信じさせて、そのために私たちをお使いください。そうして御名を崇めさせてください」
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