聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/1/17 創世記一章1-5節「光よ、あれ」こども聖書①

2021-01-16 11:49:48 | こども聖書
2021/1/17 創世記一章1-5節「光よ、あれ」こども聖書①

 今日から「こども聖書」を一緒に読んでいきます[i]。

 子ども向けに、聖書のお話しを、旧約聖書の創世記から新約聖書の最後の黙示録まで、順番に分かりやすく書いてくれています。今日のお話は、創世記の一番はじめの言葉を今読みました。
創世記一1はじめに神が天と地を創造された。
とありました。神様が、この世界をお造りになりました。その時の世界は、まだ何もない世界でした。真っ暗でした。神様が作られたから世界は始まったのです。けれども、神様が作られたその世界は、最初、何もない闇の世界だったのです。本も読みましょう。

ずっとずっとむかし、この世界がはじまる前のこと。神さまが天と地をつくられました。地は真っ暗で、どこまでいっても何もありませんでした。そう、どこまでも、どこまでも真っ暗闇だったのです。ずっとずっと昔、この世界はとっても寂しい所だったのですね。

 真っ暗な世界。それも、神が作られた世界でした。この最初の暗闇の世界も、神がお作りになったから始まった世界でした。寂しいようですが、創世記の1章2節には、光が照る前の世界でも、
「神の霊がその水の面を動いていた」
とありました。この「動いていた」という言葉は、母鳥が翼を広げているような言葉です。「舞い掛けていた」と欄外にあります。お母さん鳥が、巣の中の卵や雛の上に、大きな翼を広げて覆い、守っているような言葉です。神は、最初の真っ暗な世界にも、闇の中でも、そこにおられて、優しく、力強く守っておられました。そして、巣の中の冷たい卵が、ひび割れて雛が顔を出すように、この真っ暗な世界に、神の光の業が始まりました!
 その時です。神様が口を開かれました。
「光よ、あれ」
 そうです。神は、その世界に、光を差し出されたのです。すると光が照りました。
するとどうでしょう。光が出来たのです!
それは、どんな様子だったのでしょうか。世界がパッと明るくなったのでしょうか。ボワッと明るくなったのでしょうか。それとも、小さな光が見えたのでしょうか。でも、その小さな光でも、闇の世界は大きく変わったはずです。まだ、光の当たっていない闇もありましたが、それでもその光は、闇の世界を一変させた輝きでした。
 神様はこの光を喜ばれました。光は、世界を明るく照らし、金のような輝きをもって、世界を温めてくれます。
 暗い所が好き、という人もいるでしょうし、明るすぎるのが苦手、という人は少なくありません。それでも、神様が光を作らない方が良かった、とは思わないでしょう。光がない真っ暗闇だったら、世界はどんなになるでしょうか。真っ暗な世界に、光が照ったのは、本当に嬉しいことです。真っ暗だと、何がいるのか分からなくて怖いです。寒くて、冷たくて、不安です。でもその世界に、神は光を照らしてくださいました。神はその光を見て「良し」とされました。喜ばれ、満足されました。神は、喜んで私たちを照らして温めてくださるお方です。今でも神は、この世界に光を照らしてくださいます。
 この光に満足された神さまは、次にこの世界をクルクルと、優しく回されました。明るい所と暗い所が出来るよう…。そして、明るい所を昼、暗い所を夜、と名づけました。
 神様は「光よ、あれ」と仰有って、光を照らされた時、それで闇がなくなったわけではありませんでした。闇の部分もあって、光の部分もあるのですね。闇がなかったら、「夜」と名づける部分もなかったでしょう。
 神様は最初から光のある世界をお作りになることも出来たのに、闇の世界に光を照らされたのはどうしてでしょう。闇のない世界ではなく、闇もある世界をお作りになったのは? 神様は闇がお好きなのでしょうか? 私は小さい頃、闇が嫌いでした。真っ暗な所は怖くて、夜トイレに行くのも怖くて嫌でした。神は、光を照らして喜ばれるお方ですが、闇もお作りになりました。世界を真っ暗に作った上で、そこに光をお作りになりました。神様は、闇の世界の中に、光やいのちをお作りになるお方です。どんな夜のような時も、いつまでも暗いままではありません。神がこの世界に夜を残しているのは、その夜も、朝にしてくださるからです。夕があり、朝があります。夜が来て、昼が来る。そういう世界が、この時から始まったのです。この世界を、神様は昼と夜がある場所、光と闇の両方がある場所となさったのです。光を世界一杯に照らして、闇を無くしたり、最初から、光が照っている世界になさることも出来たのに、神様は、闇の世界を作り、そこに光を照らし、闇の夜と、光の昼が交互に来るようになさったのです。
わたしは光を造り出し、闇を創造し、平和をつくり、わざわいを創造する。わたしは主、これらすべてを行う者。イザヤ書45章7節
 この後、人間は神様から離れて、闇の方に逃げてしまいます。神様の前から隠れて、嘘やごまかしを始めます。人間の心が、闇になり、真っ暗になってしまいます。しかしその人間の闇の中に、神様はこれからもいて下さいます。そして、罪の暗い中にも、新しい道を開いてくださいます。人間の力ではどうしようもない所に、神は不思議な希望をおはじめになります。神様は闇に光をお作りになるお方です。この事が、聖書の中で最後まで強く繰り返されるのです。ですから、私たちも、この世界をお作りになった方は、光を作られた方だと、ここに帰って来ることが出来るのです。
「闇の中から光が輝き出よ」と言われた神が、キリストの御顔にある神の栄光を知る知識を輝かせるために、私たちの心を照らしてくださったのです。Ⅱコリント4章6節
 さあこれから何が始まるのでしょうか。聖書の最初で、神が作られた世界に何をなさるか、この光の中で見せて下さいます。ワクワクしながら読んでいきましょう。そして今も、神がこの世界に何をなさっているのか、私たちを生かしてくださっているこの場所に何をしてくださるのか、神が下さる光の中で、見せていただきましょう。
神が最もすばらしいみわざをなさるのは、日が昇る前のまだ暗いうちなのです。[ii]

「神よ、あなたは沈黙のうちに世界を闇の中にお作りになり、その後「光よ、あれ」と最初の言葉を口にされました。そして、今も闇の中にも働かれ、光をお作りになるお方です。あなたご自身が光です。どうぞ、私たちを、あなたの光によって導き、闇の中でも私たちを守り、ゆくべき道を示し、あなたへの信頼をもって歩ませて下さい」

脚注:

[i] 『こども聖書 かがやく神さまのことば』、メロディ・カールソン文、デニス・オッシナー絵、フロイラン・規子訳、新生宣教団、1998年。

[ii] ナディア・ボルツ=ウェバーの言葉。中村佐知『まだ暗いうちに』(いのちのことば社、2020年)290頁より。


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