goo blog サービス終了のお知らせ 

物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

丹下健三氏の復権

2008-10-03 11:46:56 | 科学・技術

丹下健三氏は世界に誇る日本が生んだ建築家の一人です。今治の出身ですが、あまり今治の人にはいいイメージがない。

彼の設計した市の公会堂は造形的には優れているかもしれないが、自然の照明を活かすという風ではなく不経済であると昔から言われていました。

今日の朝日新聞の愛媛欄では今治での丹下氏の復権ともいうべき活動が起こっているということを伝えていました。今治中学(現今治西高)を出てから、広島高校へと進み、それから東大へと進んだ。

実は、私の実家は丹下氏の大きな実家のあったところから歩いて数分のところでとても近く、1945年8月の空襲で丹下氏の実家(大きな邸宅でした)は焼けましたが、戦後その屋敷を含む敷地が現在の今治小学校になっています。

その今治小学校には大きな蔵が残っていて、小学校の運動会のときに使う用具が収められていましたが、そこはもともと丹下氏の実家の蔵だったのです。このたび新聞報道でこの空襲で丹下氏のお母さんが亡くなられたことをはじめて知りました(注:私の母校の今治小学校も少子化のために廃校となっている)。

丹下氏は高校の頃には勉学以外のほうに精を出したためにその当時としては珍しく、高校卒業と共に大学へと進学することができず、1年浪人をしたといいます。しかし、そのことが彼の後世の建築の仕事のために役立ったと思われます。

もっとも偉人は必ずしも郷里では受け入れられないとの点は今治だけの問題ではなく、彼の卒業した広島高校の同窓生にもあまり受け入れられなかったと下世話話に聞いたことがあります。

私は今治西高(今治中学の後身)の卒業生ですし、また、広島高校の後身の広島大学教養部でも学んだ者ですから、彼を貶めるつもりで言っている訳ではありません。彼は高度成長時代にふさわしいきわめて優れた建築家だったのだと思います。

しかし、一方で彼の設計した建物は年が経つと雨漏りがする(雨漏り健三)とかの憎まれ口もきかれたのは事実です。これは本当は設計者の問題ではなく、施工した建築業者の問題なのでしょうが。

偉大な人々の業績も時代の枠を出ることはなかなか難しいものだと感じています。


2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
うちの会社の工場(印刷屋です>うちの会社)も丹... (さいらなおき)
2008-10-08 00:44:41
うちの会社の工場(印刷屋です>うちの会社)も丹下健三の設計だと聞いています。たしかにうちの会社では「よく雨漏りする」と言われてあまり評判は良くないようですが、フランク・ロイド・ライトの建築物もよく雨漏りすると言われたそうです。こうした先進的な設計には、なかなか建築技術が追いつかないことがあるようで、うちの会社の工場も、そういう例なのではないかと、特に根拠もなく(^^;)考えています。私自身はめったにその工場には行かないのですが、けっこう好きなんです>その工場。
返信する
丹下健三氏は「雨漏り健三」というあだ名があった... (あおやま)
2008-10-08 13:07:13
丹下健三氏は「雨漏り健三」というあだ名があったと聞きます。このブログにトレースバックされた記事では東京都庁の建物は500億円の維持費が毎年かかっており大変だとか書いてあります。

造形的には優れていてもそれを支える技術はなかなかのようですね。

ともかくこれからの建築家はやはり維持費が経済的なことも大切な要素になってくるのだと思います。またエコ環境であることとか必要になるのでしょう。

やはり、時代はその時代にふさわしい人材を生むということでしょうか。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。