「チコちゃんに叱られる」というNHKの番組がある。
なかなか面白いものでときどき見るが、これに関係した話しである。内容うんぬんではない。
要するに、この「チコちゃんに叱られる」では、ある疑問を提出して、その理由をただすというのが基本である。
ところが、ところが、この疑問の方は頭に残るのに、その理由の方はたいてい頭には残らないという事実である。
簡単な例でいうと、「鏡に映った自分の像はなぜ左右反対か」というのがある。これについてはいろいろ昔から議論があり、私も物理学者のなんとか先生の説明を聞いて、納得してそれが正しいとは思ったが、その説明は頭に残っていない。
それどころか、その説明をされた方の名前も覚えていないという始末である。もっともこの方はブログを書かれており、それも物理学の範疇のブログなのですぐに調べることもできる。
私自身に関したことでも、大学に勤めていたころには、授業の中で、こういう疑問を出して、しばらく学生に考えてもらい、それについて後で説明するという方法をしばしば用いた。
簡単な例でいうと、原子核から電子が飛び出す現象をベータ崩壊というが、では原子核の中に、素人考えでは、電子が存在しそうである。ところが原子核の中には電子が定常的に存在するわけではない。
「どうして定常的に原子核の中に存在しない、電子が原子核から飛び出してこられるのか」と、しばらく考えてもらう。
答えは「ベータ崩壊は原子核の中に存在する中性子が、陽子と電子とニュートリノに崩壊して飛び出してくる」である。
この答えを物理屋は知っているので、別に驚かないが、素人には難しいかもしれない。そして、その答えが私の教えた過去の学生に定着したかどうかは極めて疑わしい。たぶん質問も答えも頭には残らなかっただろう。
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