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物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

困った迷信

2009-04-20 18:53:02 | 物理学

高校の物理学では微分積分を使わないで物理を教えるようになっているので微分積分の演算を使わないで大学のリメディアル物理学でもそうしてほしいとの要望が担当の教授からメールで入っていた。

これは毎年いつも担当教授と学生とからいわれる注文なのだが、どうも困った迷信である。というか授業の実際をむしろ知ってほしいと思う。微分積分の概念を使った方が却って物理学が簡単になるということを分かってもらえないもどかしさである。

そのために毎年はじめの授業で微分と積分の話をしており、また途中の講義で微分積分の考え方を説明している。これは計算技術でもないし、単なる考え方なのだが、それがなかなか分かってもらえない。

まったく説明なしで微分と積分を使うのならば、非難されても仕方がないだろう。だが、懇切な授業をしているのだ。またそのためのプリントも配布をしている。

どうも自分たちのレベルを大学に入って上げるのではなく「教授内容を低めよ」とのことである。学部の教授の指示または学生からの要求にしたがってはいるが、それは「まったくあほらしい」と思う。ものの本質を教えているのにそれをまったく聞こうとしないのだから。

基本的には中学校の数学と理科の知識で全部済ませるようにしている。もし、何か難しいことがあれば、説明をその都度する。ところが全学生の程度が違うから、ある学生の質問に答えるとそれは他の大部分の学生には余分で難しいことになる。だが、そういうところは聞き逃せばいいのだ。これは質問に答えているだけで全員に必要なことではない。

ある特定の学生の個人的な興味答えている場合と誰にでも知っていてもらいたいことがあるのだ。授業の理解には必要がないということも言ってはいるのだが、どうもそこが分かっていないらしい。これからは進んだ質問にはあえて答えないという措置も必要なのかもしれない。


2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Goldstein の下巻が本屋さんに並んでいるのを見ま... (M)
2009-04-20 22:57:51
Goldstein の下巻が本屋さんに並んでいるのを見ました。お金を貯めて近いうちに買いたいと思います。


ところで、私にはそういった要望をされる教授の考えが理解できません。10年近く前の話になりますが、或る大学で、力学の試験の監督をしていました。で、見回っていたときに驚いたのですが、相変わらず加速度 a(つまり)定数で問題を解いていました(確か単振動の問題でした)。これはもう学生側の責任(勉強不足)になるのですが、見ていて悲しくなりました。

力学で微積を使わないとなると、電磁気ではベクトル解析を使えないと思います。量子力学は Heisenberg 形式で講義するのでしょうか(それはそれで興味深いですが)。それで学部の教育をしたことになると本気で考えているのであれば、とても不安です。

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Mさん (あおやま)
2009-04-22 19:52:28
Mさん

コメント有難うございます。Goldsteinは上巻より少しだけ値段が下がっていますが、これは訳者である私たちの労働奉仕の結果です。この労働奉仕は印税にはまったく反映されません。とはいえ値段がまだ十分に高いですね。すみません。

本題に入りますと当該の薬学部の学生定員の満たなさ程度にも問題があるようです。初年度はなんとか定員が満たされていたのにここ数年で定員を満たさなくなってしまったらしい。

それを今朝友人に電話して教えてもらい知りました。それにしても創設数年で定員が満たされなくなるとは学部の先生も気が気ではないでしょうね。
これは先生の問題ではないのでしょうが。

やはりどうやって低い程度の学生をレベルアップするかということですが、学生にやる気があるのなら方法はあるというのが私の結論です。問題はやる気をどうやって起こさせるか。それはかなり難しい。

力学で微積を使わないといっても結局は使うことになっているのですね。それも個別、個別の措置としてですが。それならいっそのこと微積分の考え方をマスターして使った方がよいと思っています。

電磁気ではベクトル解析はもってのほかでしょうね。でも分からなくてもいいから、その式を示しています。だがこれも普通のオームの法則のて適用例として電気回路の話とか昨年からするようにしましたので、1時間だけです。

量子力学は私は授業は勤め始めた数年を除いてHeisenberg形式でしたことはほとんどありませんでした。もっぱら微分方程式を解く方を採用していました。もっともそれだからか私の講義は不評でした。30年以上にわたって講義の改良に努めてきたのでしたが。

現在の講義ではありませんが、基礎的な講義の1時間目はTaylor展開を教えることにしていました。もっとも関数がべき関数に展開できるという仮定はしていました。

数学ではなかなかTaylor展開を学ぶまでに時間がかかることと数学でのTaylor展開の重点は剰余項の証明にあるので、物理での用途にはあいませんからね。

これはしかし私の独創ではなくSlater & Frankの古典的書籍「理論物理学入門」に学んだことです。難しいことを教えているようですが、まったくTaylor展開は難しくはないことを学生に理解させたいという気持ちでした。その気持ちの一端は「電気電子工学科ミニマム」から分かられると思います。ちなみに
このURLはhttp;//www18.ocn.ne.jp/~yano.t/minimum.pdfです。お暇なときでも覗いてみてください。

くわしい数学的基礎付けのためにこそ数学があるので、それは後から学べばいい。数学の専門家ではない私たちはもっと自由にやりたいとの考えです。
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