『セガ的基礎線形代数講座』(日本評論社)の巻末に書かれた、球面線形補間の解説を昨夜読んだ。まずは代数式による導出については面倒な計算を行って、確かにそれで球面線形補間の式が導出されることを確かめた。
これについてはあまり詳しい言及はこの書にはない。球面補間の式の係数の求め方の方針だけが示されているが。
ところが問題はそこではない。詳しい図形が描かれてあってそれに簡単な説明があるのだが、なかなかわからなかった。これは私が物分かりが悪いこともあるだろうが、やはり書き方がよくないと思う。
たぶん、球面線形補間のことを日本で一番よく知ってるかもしれない私だと自負(これはもちろん、誇大広告です)しているが、その私が読んですぐには理解できなかった。一時、いい加減なことを書いているのではないかと、ちょっと腹が立つ時間帯もあった。
しかし、説明ではなくて描かれた図をよく見ているうちにわかってきた。やはりこれは説明があまりよくないのではないかと思っている。ごまかしとは全くないことがわかったが、説明はよくない。
きちんと図を使った説明をすべきであった。言葉でちょこちょこと簡単であるかの如く書いたのでは、これはすぐには理解できないだろう。いや、世の多くの方は、この説明で十分理解できる秀才と才媛の方ばかりなんだろう。著者自身が秀才なんだろうから。
この本はたぶん四元数のことに関心がある人も購入して読むだろうが、ここは書き換えてほしい。それは間違っているからではなく、わかりやすくするためである。球面線形補間についてわかりやすく知りたい方はもちろん小著『四元数の発見』(海鳴社)を読めばよい(注)。
だが、きちんとした説明がこの本『セガ的・・・』にも出ている。説明をわかりやすくしたいとの気持ちはわかるが、それに成功はしていないだろう。かえってこの説明では読者に難しく感じさせてしまうのではないか。
おかげで私にはこの『セガ的・・・』の球面線形補間について補助的な説明をするという仕事ができた。『セガ的・・・』の著者様、ありがとうと感謝すべきかもしれない。新しい仕事を与えてくださったのだから。
(注)4つの方法で球面線形補間の式の導出を書いたためだろうか、アマゾンコムの『四元数の発見』の書評で「先生面をして、いけ好かない」とか「俺はこんなことまで知っている」といった風なことまで書かれている。
まあ、他人がどう思おうと他人の思うことをコントロールできないが、そういう気持ちはまったくなかったことだけは断言できる。あれは自分が自分を納得させるために書いたのだから。