物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

マイクロウェーヴ3

2024-03-09 11:13:18 | 物理学
電子レンジのマイクロウェーヴではないが、電磁波関係の研究のこぼれ話を一つ。第2次大戦中に日本でも科学者が集められて電波兵器の開発をしなくてはいけないことがあった。

そのときに、後でノーベル賞物理学賞を受賞することになる、朝永さんなどもそれに参加されたとか。それらの研究の一つに殺人光線の研究があったという。

それでその成果は、30分くらい豚をどこか狭いところに閉じ込めて電磁波を当てるとようやく死なせることができるという程度の全く役に立たないものであったという。
  
このときの研究で朝永さんとその共同研究者は戦後になって学士院賞を受賞した。才能のある人は何をしてもすごいという証明みたいなものである。

そういう類似の話であるが、アメリカで太平洋戦争中にレーダーが開発された。それは占領した箇所の取得物にアメリカの雑誌にYagi antenaという語が出て来るとか、見たことのない形のアンテナがあった。捕虜にしたアメリカ兵に尋問したところ、これの原理を発見したのは日本人であり、八木という学者であることがわかった。

八木さんはかつて東北大学でマイクロ波の研究をしていた研究者であったが、湯川秀樹さんが大阪大学に赴任したころに理学部長をしていたのが、この八木さんである。だが、日本では八木さんたちの電波を受ける指向性アンテナの研究の成果はまだ一般に知られていなかったらしい。