のことをとりあげて書いたものなど私が学生のころにはあまりなかった。私が小著『数学散歩』(国土社)で書いたときにもまだそういうものはあまりなかったが、現在ではあからさまにLegendre変換のことを説明した書籍とか、インターネットのサイトができている。時代は変わったものだ。
それでもLegendre変換についてあまりご存じでない方もおられるかもしれないので、その文献をここで上げておこう。
Legendre変換は解析力学でのラグランジュ形式からハミルトン形式に変数を変えるときに現れてくる。それがLegendre変換だということはゴールドスタイン著『古典力学』第3版 下(吉岡書店)のpp.469-471に出ている。このゴールドスタインの第3版下巻の訳は2009年であるが、それ以前に初版や第2版が出ているので、よく文献を読まれる人は知っていたのであろう。
つぎに古そうなのはムーア著『物理化学』(東京化学同人)上のpp.99-100であろう。私が熱力学ポテンシャルの変数の変換はこのLegendre変換によっていることを知ったのはこの書においてである。それまではLegendre変換は解析力学のみで使われると思っていた。もちろん、場の理論で変数変換に使われるということはしばしば講義で聞いたことだったが。
Legendre変換は高橋秀俊、藤村靖著『高橋秀俊の物理学講義』(丸善)にもpp.19-28に出ている。これは私などが物理学会に入る前の物理学会誌に連載された記事だが、本として出たのは意外に新しく、1990年である。
つぎに古いのは私の著書『数学散歩』(国土社)のpp.119-124であろう。だが、この書は2005年の出版だが、もう出版社で品切れになって久しいので、むしろこれから抜粋してつくられた書『物理数学散歩』(国土社)のpp.48-53を見られた方がいいと思う。
最近の書では園田英徳著『幾何学的に理解する物理数学』(サイエンス社)のpp.84-92によりつっこんだ議論を見ることができる(付記)。
また、インターネットのサイトでは「FNの物理学」に藤田さんの詳しくて突っ込んだ議論をみることができる。このURLはいま手元にないが、「FNの物理学」で検索をすれば、このサイトに簡単に到達できるであろう。他にもwikipediaでも今ではLegendre変換の説明を見ることができるかもしれない。このことはしかしいま確かではない。
(2017.6.12付記)ちなみにこの書の第8章は微分形式がテーマである。