京都大学の北野先生からPoissonの括弧について「一般の物理量のF(p,q)の時間変化から導出されたと考える方のが自然です」というご指摘を頂いたので、私も調べてみて「そうですね」とコメントで返事をさせてもらったのだが、この返事を補足してブログの本文の方へも載せておく。
伏見先生の「古典力学」(岩波)を見てみたら、p, qを粒子の運動量と座標としてそれの一般的な関数である物理量F(p, q)の時間微分をとり、pとqとの時間微分をハミルトンの運動方程式で置き換えるとその式が物理量FとハミルトニアンHとのPoissonの括弧になっている。
それでハミルトニアンHをpとqとの任意の関数Fで置き換えると, これが一般のPoissonの括弧の定義式になっている。これがPoissonの括弧の導出の由来でしょうというのが北野先生のご指摘であった。これはまったくその通りです。どうもあまりよく調べないで勝手にいかに自己流の考えをしているかが分かってしまって恥ずかしい次第でした。
ただ、それにしてもこの一般の物理量Fの一例として運動量pまたは座標qをとると, これがHamiltonの運動方程式になっていて、元の形ではちらっと見えた非対称性が形の上で隠れてしまい、対称な形に取り扱えるというのはあまりにも整合的すぎているようにも思われる。整合的で何が悪いといわれるかもしれないが、この整合性は自然が整合的にできていることを示すともとれるし、またさらに理論を進める手がかりがないという捉え方もある。
それはともかく、このPoissonの括弧を用いたHamiltonの運動方程式がDiracによって交換子に置き換えると量子力学のHeisenbergの運動方程式となることはやはり不思議である。
最後にわざわざご指摘を頂いた北野先生に感謝します。