かっつん・あわー ~小さなアトリエにようこそ~

ヨコハマにある小さな絵画教室『あとりえカツヤマ』での生徒さんの作品や制作風景、自身の作品などを紹介しています。

嫗 ( おうな )

2014-11-13 06:39:22 | 作品
現在開催中の 『 ハマ展 』 に私が出品している作品は昨年と同じく 『 野毛山動物園 』 の “ ツガルさん ” 。 
残念ながら “ ツガルさん ” は今年の五月に亡くなってしまいましたが、私の中ではまだ表現したい “ ツガルさん ” がたくさん居り、これからも描いて行きたいと思っています。 今回もその中の一枚。

今回の作品の構図は昨年のものとほとんど変わりません。ちょっと首の角度が違うだけで同じ日に取材したものです。 では、どこが違うのかと言うと ・・・



ジャーン! 今回は 『 絹本 ( けんぽん ) 』 で描いてみました。
日本画は様々な下地の上に絵具を塗って描きます。基底材として和紙などの紙を使うものを 『 紙本 』 、それに対して絵絹に描くものを 『 絹本 』 と呼びます。
一般的に 『 絹本 』 は紙に描くのに対して繊細な描写やぼかしの表現に適した画材であると言われています。 そこで、 『 ツガルさん 』 の毛並みを表現するのに是非とも試してみたかったのです。



絹はパネルではなく、油絵のキャンバスに似た木枠に貼って描きます。
アップは木枠に貼った後、墨で下書きをし、濃淡を加えたところ。 本来はもっと繊細に描くべきなのでしょうが、『 ツガルさん 』 の持つ “ 勢 ” “ 生命力 ” は弱めたくないので荒いタッチを使っています。 ( 単に雑なだけ ? )



水干絵具や墨、胡粉などを使って彩色を進めて行きます。
紙の上に描く場合はやや粗めの絵具を使って画面上にマチエール( 絵肌 凹凸感 )などを施すことが多いのですが、
今回は絹地な為、薄い絵具を重ねたり、暈したりして描いて行きます。
また、絹本は薄いので、裏側から描くこともできます ( 裏彩色 うらざいしき ) 。画面に微妙な変化を与え、奥深さを出す技法です。今回は使っていませんが、今後是非とも試してみたい技法です。



さらに粒子の細かめの岩絵具で彩色を加え、面相筆などを使って毛並みを描き込んで完成としました。
タイトルは 『 嫗 』 ( おうな ) 。 『 翁 』 に対しする “ おばあちゃん ” の意味です。 

仕上がりとしては ・・・ うまく行ったところもあり、思うように描けなかったところもたくさん ・・・ 今後の課題。まだまだです。


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