かっつん・あわー ~小さなアトリエにようこそ~

ヨコハマにある小さな絵画教室『あとりえカツヤマ』での生徒さんの作品や制作風景、自身の作品などを紹介しています。

清閑亭について ⑤ 蔵

2011-08-30 03:52:10 | ちいさな旅
『清閑亭』について色々とご紹介してきましたが、では、なぜ清閑亭で個展を?

“ウメ子展”を彼女が育った『小田原』の地で開催したいと会場を捜していた私ですが、初めてこのお話を伺った時は正直とまどいがありました。
それは、本来絵画とは部屋に飾って楽しむためのものであり、しかも『日本画』と言えば、和風の家には最適のように感じられるかもしれません。 ところが・・・今、私の制作している作品はどちらかと言うと“展覧会”や“ギャラリー”での展示を目標としたものが中心となっています。
ですから、本末転倒のような気もしますが、一般的な室内に飾ることをあまり意識されていません。
想像してみてください。展覧会用の150号、100号の絵が自宅に欲しいと思いますか? (このことについては先々もっと考えながら制作に向き合わなくてはとは思いますが・・・)


清閑亭はご紹介してきたとおりの純和風建築、数寄屋造り。



しかも、あのNHKの『美の壺』でも紹介されるほどの歴史的な建造物です。 むやみに釘を打ったり、ものを移動させたりは出来ません。 とても作品の展示には向かないのでは・・・


そんな思いを解決してくれたのがこちら



『蔵』の存在です。

私が初めて『清閑亭』を訪ねた4月の時には、まだ蔵として荷物置き場のようになっており、一般の方は“立ち入り禁止”状態でしたが、聞けば近々“ギャラリー”用として改装されるということ。(現在は立派に作品が飾れるようになっています。)



ここならば、大きな“ウメ子”も飾れるかもしれない! 
しかも、天井が高くて、ちょっと薄暗く、落ちついた空間がウメ子が育った“象舎”を偲ばせるものがあり、ここならウメ子も喜んでくれるのでは・・・

後日、スタッフの方にお願いして作品を借り置きさせてもらいました。



いかがでしょう?


清閑亭での個展は9月14日(水)から、いよいよ後2週間あまりとなりました。

勝山治実個展 『ウメ子イン清閑亭』、委細はこちらを。

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清閑亭について ④ 意匠

2011-08-29 06:52:26 | ちいさな旅
『清閑亭』は“数寄屋造り”。数寄屋(すきや)とは茶室の意。 ですから建物のそこここに客をもてなす精神にあふれた洗練された意匠を見ることができます。

たとえば


襖の引手。七宝焼きで植物がデザインされた凝ったものです。



こちらは菊の花型ですね。



扉の小さな取っ手にも細工が・・・



お居間と次の間の天袋と地袋には金銀一対の“雲母摺り(キラずり)”の紙の表装です。紙にはキラだけでなく、なんでも布を混ぜ込んで摺っているのだとか・・・不思議な模様が浮かびます。



こちらの天袋は“網代張り”です。幾何学模様がおしゃれですね。杉の木などを薄く細く切った板を組み込んで作ります。



一方、こちらは2色の網代を張り込んだ網代天井。 これ、建物の何処にあると思います?

なんと、男性用のトイレの中・・・
竹の縁取りで二段仕上げになっていて臭気抜きの役目も担っているとか・・・ 他にもトイレ回りには、



曲がった竹や木が面白く使われていたり、手洗い場の天井が



こんなに綺麗だったり・・・
これならトイレの神様も大満足ですね。


このように数寄屋造りの建物には目立たぬところにまで(こそ)入念な細工が施されているのが特徴なんだそうです。 他にもきっとさまざまな仕掛けが・・・ご入館の折にはお見逃しなく!
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清閑亭について ③ あかり

2011-08-28 05:22:36 | ちいさな旅
清閑亭のご紹介。 昨日は自然の採光を巧みに取り入れた作りになっているというお話をしましたが、一方で、現代のような明るい照明設備はありませんので、北側の室内や遅い時間になってくると、やや薄暗い印象もうけます。 そんな時、清閑亭のまた違った一面が見せてくれるのが“あかり”ではないでしょうか。

当時のままのレトロな灯りがよく残されているのは廊下です。



清閑亭の廊下はすべての部屋を取り巻くようにつくられた“回り廊下”。素材的にも北山杉などがふんだんに使われた贅沢なつくりです。

そこを照らすのが、





いかがでしょう。

『清閑亭』 ちょっとノスタルジックな時間旅行が楽しめます。

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清閑亭について ② 建物は

2011-08-27 03:08:01 | ちいさな旅
『清閑亭』は数寄屋造り。 建物は雁行型と呼ばれる上空から見ると雁が並んで飛ぶ姿をしている配置で、有名な『桂離宮』や『二条城』にも見られるものです。 もちろん『清閑亭』は個人の別邸ですので、それらに比べると規模は小さい(と言っても普通の家よりは・・・)ですが、素敵な空間を作っています。



居間から二階を臨んだ一枚。雁行型の折れ曲がった感じがわかるかな?


“雁行型”の特徴は採光や通風、眺望が良くなることとされますが、清閑亭でもその気配りが随所によく感じられます。

たとえば



客間にある雪見障子。客間は茶が点てられるように炉が切られた部屋ですが、障子を閉めたまま庭の景色をうかがうことができます。

お居間にある櫛形窓 と 客間の釣鐘型の障子窓





床の間にやさしい光を通します。どちらもとても美しいデザインですね。

こちらも斬新なデザイン


階段上の窓です。 暗くなる階段を明るくするのと同時に、階段を上がって振り向くとそこには“海”が・・・切り取られたような眺望が楽しめます。

こちらも二階



窓の上にもさらに曇りガラスが。

壁も自然素材を巧みに生かしながら、空気の通りを良くしています。



こちらもお二階、欄間の光琳桐の透かし彫り。



欄間は建物全体に多くみられますが、どれも凝った造りでただの壁面とは大違い。


このように『清閑亭』は建物自体にも魅力がいっぱい。 是非一度足をお運びください。
あっ、もちろん、私の個展の時だとなお嬉しい・・・。
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清閑亭について ①

2011-08-25 03:46:47 | ちいさな旅
9月に私の個展がある『清閑亭』についてもう少しご紹介を

清閑亭の建つ小田原は明治20年頃から多くの文人や政財界の要人が別荘、別邸をかまえたところ、都心からほどよい距離で夏涼しく、冬暖かい、海に近く、山(箱根の温泉など)に近いなどが魅力だったのでしょう。

 
盛夏、清閑亭2階からの眺め。
相模湾に面し、正面右から左に伸びるのが真鶴半島、写真の右手はもう箱根の山々につながります。


清閑亭もその中の一軒です。
主は黒田長成(くろだながしげ)侯爵。あの有名な戦国大名黒田孝高(官兵衛・如水)の子孫で最後の福岡藩主黒田長知の長男。 明治26年から30年間も貴族院の副議長を務めた人物だそうです。 書や漢詩にも造詣が深く漢詩集『桜谷集』を遺しています。


通常公開時の館内には黒田長成候の見事な書が掛けられています。

建物は戦後浅野侯爵家を経て、第一生命保険会社の施設として使われてきましたが、平成17年に母屋が国の有形文化材に登録され、翌年には敷地が国の史跡に登録。平成20年に小田原市の所有となりました。 

現在はNPO法人小田原街づくり応援団さんが市の委託を受け、運営を行っており、通常は建物を無料で公開、声をかければ、スタッフが館内を案内してくれます。 また、様々な講演会やコンサート、美術展のイベントも行われる市民憩いの場所となっており、私の“ウメ子イン清閑亭”もそのイベントのひとつとして開催されることになったわけです。
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ウメ子イン清閑亭

2011-08-20 04:40:01 | 展覧会
以前にちらっとご紹介しましたが、小田原での勝山治実の『ウメ子』展まで1カ月を切りましたので、ここで正式にご案内します。 上のアップは今回のちらしです。

今回の展覧会は“小田原”での開催。 小田原は私が描かせて頂いている象のウメ子の育った地、必ず展示をやらなければ・・・と思っていましたところ、前回の『みゆき画廊』での個展に来て頂いた方から『清閑亭』をご紹介していただき、現在同邸園を管理しているNPO法人小田原まちづくり応援団さんの主催で実現することになりました。

今回の展示では、前回の『ウメ子展』に新しい作品を加えた20点あまりで構成したいと考えています。
また、展示期間中の17日(土)・18日(日)には、小田原映画祭実行委員会様の協力で短編映画『小田原城のウメ子さん』の上映会も実施できることになりました。この映画は昨年の小田原映画祭で公募したウメ子の貴重な写真や動画をもとに編集、作成されたものです。 是非この機会にご覧ください。

勝山治実個展 『ウメ子イン清閑亭』

2011年9月14日(水)~19日(月)

11:00~16:00 絵画展無料  映画上映会17日・18日 1000円(お茶・菓子付き)要予約

展覧会・上映会についてのお問い合わせは

小田原邸園交流館 清閑亭  神奈川県小田原市南町1-5-73   0465-22-2834
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キャンバスに描こう!

2011-08-19 05:00:50 | アトリエ
“あとりえカツヤマ”での夏休みこども教室、続いては毎年定番の『キャンバスに描こう!』、アクリル絵具を使ってキャンバスに思いきって絵を描く課題です。



アトリエでは静物をセットしてあるのですが、生徒さんが描きたいものを直接持って来たり、アイデアを考えて来る場合も多く、

H・Oくんは



大好きな『リニアモーターカー』を描きました。

お兄ちゃんのN・Oくんも『リニア』希望でしたが、こちらはちょっと我慢してもらい・・・



静物を中心に、その背景に『リニア』のポスターが貼ってある状態という難しい課題にチャレンジしました。

一方、女の子でひとり参加のYUちゃん、こちらもすでにイメージが固まっているようでしたので自由に制作。



『宇宙空間』をテーマにした作品です。

“星雲”の所はハブラシを使った



“スパッタリング”で表現してみました。


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屏風を作ろう! ②

2011-08-18 05:33:22 | アトリエ
アトリエ、夏休みこども教室での“屏風作り”は屏風に貼る絵の制作に入りました。

今回は墨を使って一気に描きます。 Aくんが描いたのは・・・



大きな龍。 まずは全体のラインを



そして、鱗などの細かい部分を描きます。

墨だけでも魅力的なのですが、今回はその上から彩色も



薄く溶いたアクリル絵具を使いました。

絵が完成したら今度は屏風に貼る作業。
そのままだと大きすぎて素人には難しいので、十分に乾いた絵を半分に切断。(これでも難しかったので右半面はさらに二分の一にしました)



裏側にのりをつけた絵を屏風に貼りつけます。ふたりがかりの作業です。 絵がズレたり、しわが入ったりしないように・・・本人もこの作業が今回一番難しかったと言っていました。

さらに回りに化粧紙をつけて整えれば・・・




四曲一隻、『龍図屏風』の完成です!
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屏風を作ろう! ①

2011-08-17 06:03:45 | アトリエ
あとりえカツヤマの夏休みこども教室はまだまだ続きます。今回挑戦したのは“屏風絵を描こう!”。
『屏風』とは室内に立てて風をさえぎり、また物を隔てるために使われた道具で、その壁面に描かれた絵が屏風絵です。 安土・桃山期の豪華な屏風を想像する方が多いと思いますが、その歴史はとても古く、中国の漢の時代にはすでに存在していたそうです。日本にも奈良時代に朝鮮半島より伝わったことが文献にあります。正倉院の『鳥毛立女屏風』なんて有名ですね。 

そんな伝統ある屏風作り・・・アトリエお薦めの企画だったのですが、丁度お盆とも重なり、また『屏風』の知名度、利用度の低さ(そうですよねぇ、屏風のある家なんて見たことありません)、「大きな作品はちょっと・・・」(本当は畳めるのでとてもコンパクトなんですが・・・)という声もあり、な・なんと、参加者はひとり・・・

気を取り直して、『Aくんの屏風作り始末記』、ご覧あれ。


まず、屏風そのものを作ってもらうことから。



本来は木で作った骨組に紙や布を貼りますが、今回は簡易的にダンボールと厚紙で作りました。木枠の制作は時間的にも費用的にも無理ですし、重くなるのはちょっと・・・、今回のサイズならば、そう歪まないと踏みました。



屏風板の完成。 板をつなぐ紙製の蝶番は実際には前後に開閉できる仕様になっているのですが、今回は片面だけの使用なのでやや簡略化しました。 でもなかなか立派でしょ。 折りたたむとダンボール1枚分に収まります。

絵の制作に入ります。



今回はやや厚手の障子紙を使い、墨を使って一気に描いてもらうことに。

さて、Aくん何を描くかな?  続きはまた明日。
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庭先で

2011-08-16 05:04:50 | 動物・植物
庭先で見つけました。



ちっちゃいのに・・・

となりの赤いのはポストです。せいぜい2cmってところでしょうか。

懸命に威嚇しております。



わたしたちも
こんなもんなんでしょうね。

がんばって生きな!
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