今日が一番素敵

丁寧な暮らしを心がけながら、日々、折々のの心模様を素直に語ります。
今が一番素敵との思いを込めて。

続 私の心の支えとなった友人の言葉

2016-07-15 07:16:53 | 想い出

中高時代は、まだ自我が確立されておらず、悩み多き、ひ弱な学生に過ぎなかった私。

そんな私を心配されたのでしょう。

高校時代の恩師、H先生が私に贈って下さった卒業時の言葉は、「大地を踏みしめて歩いていこう」という、特別なものでした。

友、Iさんは、おそらく私のその印象が、完全には拭い切れておられなかったのかもしれません。

 

その友人のお父さまに当たられる小学校の恩師、I先生のお墓参りを兼ねた同窓会が、伊勢で開かれた時、数十年ぶりに彼女に会いました。

昔と変わらない、楚々とした慎ましい雰囲気のIさん。

今は茶道の先生をなさっておられるようでした。

私が前々回の記事で綴った、日本古来から伝承されてきたお稽古事を、マスターの域まで極められたお手本のような人。

清楚な凛とした佇まいでいらっしゃいます。

その時久し振りに、いろいろ語り合うことができた私達。

 

その半年後の年明け、私は久しぶりでしたが、彼女に、夫が亡くなったことを知らせる喪中葉書を出しました。

このたび、ご紹介させていただいた彼女の言葉は、そのお返事に書き留められていたものです。

 

「腰の痛みにかかわらず貴女が、どんなに幸せな人生だったか、すぐわかりました」

 

素直に嬉しく、この言葉を幾度もかみしめた私です。

 

 

もしかすると、彼女は、中高時代との私の変わりように、驚かれたのかもしれません。

多少趣が違いますが、40代後半の頃でしたでしょうか。

妹に、「過去のお姉さまと、今のお姉さまは別人のよう」などと言われたことがありました。

 

確かに私自身も、青春時代を含めた若かりし時の自分より、厳密にいうなら、30代後半頃からのの自分の方が遥かに好きです。

夫の海外赴任で、米国に在住した頃に重なります。

一皮むけられたのは、この時代に出逢えた、良き友人達の薫陶のお蔭だと思っています。

とはいえ、相変わらず、妻として母親として試行錯誤の連続でしたが、大地を踏みしめて、私なりの人生をしっかり歩めるようになっていました。

理想は高いながら、自分の弱さには勝てず、矛盾を一杯抱えながら、それを乗り越え乗り越えの暮らしでしたが。

努力が一つ一つ成果となり順調に実る、幸運な人生だったように思います

その私の人生を陰になり日向になり、ずっと見守り続けてくれたのが、夫です。

 

 

結婚当初は、世間知らずで、何事に臨んでも要領が悪く、未熟そのものな女性に過ぎなかった私。

そんな私にもかかわらず、全幅の信頼を寄せ(?)、家事全般、子育てに至るまで、すべての事を私にまかせてくれた旦那さまでした。

時には、その重荷に耐え切れず、「もっと手伝ってよ」との愚痴を述べたことも再々ありましたが。

夫のこの姿勢のお蔭で、娘時代とは見違える程、私は逞しくなり、恩師の言葉通り、大地をしっかり踏む締めて歩けるようになりました。

 

寡黙な旦那さまで、優しい言葉などかけてもらった覚えはほとんどないけれど・・・・・・。

夫が私に寄せてくれたこの信頼こそが、何よりの優しさだったと思うこの頃です。

 

文句や愚痴を述べたことがほとんどない人。

投資で、ひと財産を失うといった愚行を私が犯した時でさえ、咎め立ての言葉一つ言わなかった人でした。

娘たちを叱ったことも一度もありません。

子供たちを叱る憎まれ役は、私と決まっていました。(笑)

 

 

おおらかな気持ちで私たち家族を常に見守り、経済的にも何不自由のない暮らしをさせてくれた旦那さま。

私はその庇護のもと、伸び伸びと、自分が立てた夢多き人生設計の道を、幾度も脱線しながらも、幸せに歩むことができました。

 

私の友人の「貴女がどんなに幸せな人生を・・・・・・」の言葉は、すべて夫のお蔭によるものです。

 

命日になるとお花屋さんから、花束が届きます。
Mちゃん!ありがとう

 

がんが骨に転移し、激痛に苦しんでいる頃の旦那さまは、弱音も幾度か吐きました。

とても強い人だっただけに、最後の変わりように、私は驚きもしましたが。

「傍にずっといてほしい」とつぶやいたその当時の旦那さまへの愛しさが、今は切なさと共に、一層募って仕方がない私です。

今なお、「ありがとう」の言葉しか浮かんでこない暮らしの日々を、私は送っています。

 

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花のように泉のように

 

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