秋が深まリ、折々、紅葉に見惚れるこの頃です。
我が家の小さな拙庭も、シャラ、花水木、紫陽花の葉が染まり、緑の季節とは粧い、趣共に新たに。
赤葉、黄葉と色鮮やかな樹木の姿が、まるで私の心まで、秋色に彩ってくれるよう。
私の人生は十分齢を重ね、まさにその秋色。
季節と重ね合わせて受け止めますと、人生で一番素敵な時のようにも感じられてきます。
秋同様、もののあわれを感じ、心深くなる今の年齢が。
春色の青春を謳歌する人達への負け惜しみかしら。
たとえそうであっても、「今が一番素敵」が信条の私ですから、この気持ちを大切にしましょう。
年相応にこの時期を素敵に過ごしたいもの、と強く願います。
そういえば「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざがありました。
実るほどに成長できていない私ですし、頭は呆けかかって軽くなる一方。(笑)
このことわざを噛みしめますと、ちょっと複雑な心境になりますね~
あら!少々ひねくれた受け止め方過ぎました。(笑)
私なりに多少は成長はしたでしょうから、心の頭は垂れて(姿勢は凛として)、謙虚に慎ましく暮らしていかなくては。
そして願わくば、秋色のまま人生の終焉を迎えたいものと。
突然、そんなことを思った私です。
ところが、この年末は、一時的にしろ、旦那さまの人生は、季節通りに冬の時代を迎えそうです。
一昨日、退院したばかりのYさん。
とは言え、体調が余りよいとは言えません。
微熱があり、下痢が止まらず(普通の便も出ているとか。)、肛門痛もあるようです。
主治医のお話しでは、放射線治療の副作用なので、止むをえないとのこと。。
二週間ほど経過すれば、この症状が治まってくるようです。
本当にそうなってくれるでしょうか?
夫の病室 病室の窓からの眺望
旦那さまは寡黙な人。
あまり詳しく自分の状態を語ってくれません。
ゆえに、今ひとつYさんの症状が飲み込めない所がある私です。
入院し、検査、放射線治療を受け退院するまでに、ほぼ二カ月を要しました。
しばらくの期間、副作用は全くなく、とても元気だったのですけれどね~
後半となり、放射線照射が残すところ、あと4~5回という時になって、急に夫の容態が芳しくなくなってきました。
或る日、旦那さまに体の調子を尋ねたところと、何と、「最悪!」と言いました。
「最悪???」
余りに夫に似つかわしくないこの言葉に、大変驚き、ショックを受けた私です。
何故なら、結婚以来、そんな感情的表現を夫が口にしたのは、初めてのように思ったからです。
「何が最悪なの?」と訊いても、相変わらずの反応で、よく私にはその症状が掴めません。
下痢がとても不快らしいのですが、腹痛はないようです。
下痢だけで何故?といった気持が、その当時はありましたが・・・・・・
今は肛門痛もあり、その辛さがとてもよく理解できます。
退院に備え、食事指導は受けた私でしたが。
ご飯も柔らかめ程度でよく、不溶性の食物繊維の多い食材や揚げ物、刺激の強い香辛料を避けるくらいだったでしょうか。
魚、肉共にいいようですし、果物(缶詰の方が良好だったかしら)、ヨーグルト、牛乳等、ほとんど口にしていいものばかり。
とてもホッとしましたが、旦那様は食欲がまるでありません。
日頃は、お痩せさんなのに、結構な大食家です。
私の料理ブログに掲載した献立程度でしたら、あっという間に、残さず食べてくれます。
私は自分のお皿には、夫の半分程度しか盛らなくても、よく残しますのに。
ですから、その急激な食欲減退ぶりが信じられなくて、心配が募る一方ですが。
でも昨日の朝は、簡単にこしらえた朝食を全部食べてくれ感激しました。
退院の日の昼食は、ぶりの照り焼き、卵焼き、冷ややっこ、お粥でした。
夜はタラチリに、カボチャの甘露煮。
食欲が多少でも出て、散歩ができるようになれば、体力が付いてくるのでしょうが。
下痢と肛門痛が止まらないと、それも無理で、先がまだ見えない状態です。
下痢とは言え、一般の認識の下痢とは、なんだか異なる様ですし。
夫のお迎えで、車を出してくれた物理学者、次女婿のHさんが、放射線の影響、効果等の出方を説明して、わたしを多少安心させてくれました。
うろ覚えでも、その時のお話しを紹介してもいいのですが、間違ったことを書くと、彼に申し訳ないので止します。
私が言い方を間違えたに過ぎなかったのでしょうが、以前、放射線を放射能と書き、ずいぶん厳しく問い詰められた事がありましたから。(笑)。
先生からも、治療終了後に放射線の効果が表れ、がん細胞が急速に縮小していく、と聞かされています。
夫は十時過ぎ、主治医に最後の診察を受け退院。
次女のお婿さんの案内で、物理学部の校舎を教えてもらったりしながら、大学構内を抜け、自宅へと向かいました。
自宅用に買い足した医療品の大荷物を車に積み込んで。
帰宅後の看護が、とても不安な私でしたが、パパと一緒に迎えに来てくれたK君の明るい笑顔とおしゃべりに、ずいぶん心を癒され助かりました。
構内をデジカメ散歩した時、Y講堂は残念ながら工事中でした。
Y講堂の裏に物理学部、工学部があるそうです。
安保闘争時さながらの古い建物に、改めて驚きました。
その後は、半ば看護師の心境で夫の世話をしている私です。
放射線治療はほぼ一カ月過ぎまで、その効果をチェックすることが出来ないのが、何ともじれったいですが。
くよくよしても始まりませんもの。
元気になることを確信し、年内予定の検査入院と手術を待ちましょう。
秋風が、一層冷たく身に染みる、この頃の私です。
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