爽やかな、秋の時候となりました。
(十月の初旬のころの書き出しです。投稿時の今は秋も深まっています)
とは言っても、天高く馬肥ゆる秋にふさわしい、清々しい澄んだ青空はなかなか仰げなかった当地ですが。
最近は、やっと秋らしい気候が連日続くようになってきました。
酷暑の頃とは、心身の軽やかさが随分違います。
お庭に出て草花を愛しみ、手入れに励む心の余裕が、私に多少は生まれてきたでしょうか?。
異常な暑さ、背骨の圧迫骨折、その他の体調不良、夫の介護と、三重苦のかなり厳しい暮らしだった今夏。
ガーデニングを愉しむ、心のゆとりをなかなか持てませんでした。
草花は生き物ゆえ、それを理由に世話を怠ると、たちまち命が絶え、枯れてしまう。
十分そのことは承知していたはずですのに。
細々とでも、世話と手入れをやっていたつもりでしたが・・・・・・。
無残な姿が、お庭のあちこちに見られ、心が痛みます。
後悔先に立たずですね~
今更どうすることもできません。
修復には、相当の支出を覚悟しなければならなくて、悩みの種です。
数年、家族の一員の如く私と共に暮らし、さりげない姿で私を元気付け励ましてくれた植物の死は、とてもショック。
自分にはガーデニングをする資格なんてないのかもしれない、なんて感じ、かなりの自己嫌悪に。
けれど、今に始まったことではありませんでした。
毎年の思いです。
ポーチの階段下のコニファー、玄関横フェンスのアイビーの一部、そばに置いた鉢植えのアジュガ、庭の花壇のアクセントとなり私のお気に入りだったエレモフィラその他数種。
今はすっかり哀れな姿となり、蘇りは絶望的。
酷暑も理由の一つですが、エレモフィラは毎年、梅雨の加湿に耐えられないようです。
そのような場所には、新しい植物を植え替えることになりますが、経済的無駄の現実思考も、頭をよぎり・・・・・・。
多忙極まる生活ゆえ、年を重ねた今、庭の手入れまでは無理な所があるようです。
けれど、その苦労が報われるに十分な喜びが味わえ、心を潤おしてくれるのもガーデニング。
まだしばらくは、止められそうにありません。
細々とでも、続けていきたい。
私の理想の庭を目指して・・・・・・。
近影の花壇お様子です。
テクスチャーの異なる常緑の葉物を多くして、手のかからない庭を目指したい、と。
出来れば可憐な花が、ある時期には咲き、私の心をときめかせてくれるものがいいですね~
多種多様な変化に富んだカラーリーフの中に、季節の草花を多少取り入れましょう。
緑とお花が素敵なハーモニーを奏でてくれる、そんなしっとりした雰囲気の花壇にしたいものです。
色彩の強い華やかな花壇は、私の理想からは程遠くて。
野趣を帯びたナチュラル感漂う庭になってほしいものですが、夢を追うばかりの私。
まめな作業が伴いません。
我が家は南東向きですが、花壇の奥行きがなく、樹木とフェンスに絡む植物のために、ほとんど半日陰状態。
そこに、好きな植物を、適性も考慮しないで勝手に植えつける、無慈悲な庭主の私。
期待通りに育ってくれないのは当然です。
猛省ばかり。
一方、怠け者の庭主にお構いなく、今夏の厳しい暑さをいつもと変わらない趣で、元気に乗り越えてくれた植物たちも結構ありました。
そんな草花たちへの有難さと愛しさは格別。
枯らしてしまった草花には、心からごめんなさい。
一方、元気に乗り越えてくれた草花には、心からありがとう、を言いたい気持ちで一杯です。
我が家の家族の一員になり切り、今後も私の暮らしを見守り続けてくれることでしょう。
夫が私の父のように、植物に心を寄せる人であったなら、庭が、闘病生活の励みと潤いになったことでしょう。
庭のテラスが、心を癒すこの上ない空間になったに違いありませんが。
そんな趣味からは縁遠い人なのが、とても残念です。
せめて、私の介護暮らしの励みと暮らしの潤いのために、毎日たとえ数分でも、一度は庭に出て、草花に声をかけましょう。
日々の怠らない手入れの継続が何よりも大切、と改めて痛感するこの頃です。
下にご紹介した文は、私が若い時ファンだった草柳大蔵氏の書物からの引用です。
最近、また再読しました
下記の引用文の如く、私も草花のさざめきが聞え、時には花壇のお花たちと語らうことができる感性を身につけたいものです
「獅子文六さんが遺言代わりに書いて、机の引き出しにしまっておいた作品に『牡丹』という小品がある。
獅子さんは自分の病気がどうやらガンらしいと分かって、毎朝、庭に出てゆっくりと花を眺めるようになる。そうすると、
『牡丹が口をきいてくれるのです』と、獅子さんは言うのです。牡丹と獅子さんが、朝の庭でひそひそと話しあうということでしょう。
中略
文芸評論家の小林秀雄さんは、獅子さんの『牡丹が口をきいてくれるのです』という言葉に打たれて、『そのように、花の声が聞こえるというのを文学者というのです』と私に語ってくれたことがあります。なぜか小林さんも私も涙ぐんでしまいました。」
ご覧下さいまして有難うございました。
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花のように泉のように