か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

物資は揚州に集まり世界に散った。

2013年02月10日 | 旅行

揚子江の対岸から揚州に入った。サメの骨格標本みたいに内部ががらんどうになっているフェリーだ。そのフェリーにはわずかな自動車と多くの自転車やバイクと、気違いになってしがみついている支那人たちがいる。

かつてここは日本の駆逐艦も遡上した、川というより完全に海だ。アメリカ海軍なら重巡も入っただろう。そこを30分以上かけてのんびり対岸の揚州に渡った。僕の一番好きな街揚州だ。

で、ここからすこし物理の話をしますので拒否反応の出る人は下のほうに読み飛ばしてください。ブリッジは入ることができなかったのでそこへ行く階段に腰掛けてどんな操船をするか観察していた。

一般に川は中央が深い。そうすると流速も早い。このように部分的に流速のことなる川を横切るとき目標に向かって一直線に船を動かすと膨大な距離と燃料の浪費になる。それは船に対して直線で対岸に近づいているが、河に対してはずいぶん無駄な軌跡を描いているのだ。川の中央ではほとんど船を上流に向けなければならない。船の推力成分のうち対岸に向かうベクトル成分はわずかなはずである。

ここで船の燃料と軌跡と二つの話があるので軌跡に限る。川に対して最小の軌跡を描くよう操舵するのが合理的である。

川は水である。つまりニュートン流体である。つまりせん断力はせん断力からの距離に比例して小さくなるから、深いところは早く流れる。

==

船はいったん目的地のある対岸と逆方向に上流へ進んだ。そこは流れがゆるやかだからだ。そして無理をせず流されるまま下流へ向かった。わずかにエンジンをまわし目的地のはるか下流についた。そして流れの緩やかな船着き場に向かった。

船は大きなエス字を描いて川を渡った。陸地にたいしては大きなロスのように見えるが時間から言っても燃料から言っても距離から言ってもこのエス字が一番合理的だ。

船員はつまらなさそうに操船を続けた。この船員はもっと称えられなければならない。合理的な曲線を描きつつ方程式を見出すのは日本の高校生には無理だ。どんなに数学ができてもこのグラフの概形は書けない。日本のような教育をしてチイチイパッパお遊びしましょの数学ゴッコでは絶対解けない。

船員は経験的に学びとっただけだろう。ただ、ぼくは連想してしまった。数学オリンピックでいつまでたってもブザマな成績しかとれぬ日本の学生の哀れさよ。周辺に広がる学問に興味を向けるゆとりも能力もないからだ。中国の子供はまず紙拾いから始める。それを綴じてノートをつくり日本なんかに負けるもんかと頑張っている。

日本人は与えられた問題を上手に解こうとする。そんなやつどの会社にもいらない。与えられない問題には見向きもしない。どうして飛躍的、革命的製品が登場しようか。

Posted at 2013/01/14

最新の画像もっと見る