(今は風が光っている)
採用を 喜ぶ母や 風光る
人間は意地汚く出来ている。友の採用や成功、出世を心から喜ぶものはいない。いたらホモ同士だろう。しかし親子の場合は心からうれしい。
僕の親は僕の採用をカネヅルが出来たので心から喜んだ。父はめかけ遊びの障害だった僕が家を出て行くので非常に喜んだ。
僕自身は、短気者の悪人だ。バカにされると殺意をもち一生消えることはない。ひとつの欠陥だ。しかし、そんな僕のような悪人も我が子たちの就職には、人脈の限りを尽くし、刑務所に行く覚悟で脅迫し何とかいい会社に押し込んだ。
僕自身の反省があるのだ。バカ正直に努力して、試験に合格し就職しても出世なんか出来やしない。コネと閨閥で日本は動いている。僕なんか地方の役所か学校で飼い殺しになる運命だ。
そして組織の圧力に下の写真のように押しつぶされて死ぬ。
(車庫の門で圧死したヤモリにわが身を見た)
辞めると僕は満足したが、家族は世間体がよくなかったようだ。
人間は人生という限られた距離のレースをする。やり直しをするたびに残りの距離は短くなる。最初はその有限さに気がつかないでいる。
そうして僕は、限られた人生という自覚はなく、組織の奴隷、幕府の犬たちを散々罵ってきたが、じゃあお前は何だ、と問われたとき、最近これだと思えてきたモノがある。
バイク屋の親父が、「私はナットを締めているだけでも楽しい」といっているのを聞いた。僕もバイク修理は楽しいが、指が黒くなるのがいやだ。
これだ。直径1mmのビス3mm角のプリズム、今流行の太陽光起動。フリマで100円で買ってきて修理する。楽しい。
僕が就職して初めて上司と写真を撮りに行った。その上司の住所と名前が彫られたカメラを偶然手に入れた。すごい確率だ。いつも僕の味方をしてくれた数少ない人だ。
なぜボクをカバーしてくれたんだろう。とにかく死んだんだな。遺品はフリマか。
(一番奥のLEICAは分解修理できませんがボクのお気に入りです)