月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

コピーライター・ブルース

2012-06-29 | 仕事
最近は仕事でバタバタしているが、夫もかなり忙しそうだ。
今週も水・木曜と東京だった。来週も2回東京出張があるらしい。

大事なプレゼンがあるとかだったけど、「うまくいったよー」とメールが来たのでホッとした。
東京にプレゼンで行く前日は、その資料を作るのに時間がかかるようで、いつもだいたいタクシーで帰宅する。
ただでさえ毎日12時~1時に帰宅するという異常な生活を送っているのに、朝3時半くらいまでやって、少し寝て東京へと向かう。
そして、1泊して大阪へ戻って仕事して、昨日も帰宅は12時過ぎだった。
さすがにお疲れモードでぐったりしていた

それでも、先日、私が仕事のことで落ち込んでいたら、ケーキを買ってきてくれた



クレープの中にプリンが入っていて、下はベリー系のフルーツとチーズケーキ。
プリン大好き、甘党の私には、これくらいでちょうどいい。
めっちゃおいしくて、「あと3個くらい食べたい!」と思った。

このお店のケーキ、好きなのだ。
http://www.factory-garnet.jp/index.html
夫の会社の近くにあるのだが、普段はこういうクリーム系の生ケーキをあまり好まない私が、このお店のものは喜んで食べる。

夫は、いつも私が落ち込んでいると、ここのケーキを買ってきてくれる。
(間に合わないときはコンビニプリン)
優しい人である

出逢った頃は、今の会社に「音楽好き」ということだけでボブ・ディラン好きの上司に採用されたものの契約社員で、安い給料で毎日15時間働かされていた。
当時のブログを見たら、駅のホームでふらふらしていたりと、なんだか危なっかしい。
「広告業界が華やかだと思っていたらとんでもない!」とコピーライター・ブルースをぶちまけていた。
大学中退だし、忙しいのに給料安いし、精神不安定だし、この人、大丈夫なんかなぁと、彼よりもっと不安定な私が気にすることもあった。

でも、この間話していて、「そんなに経つのか・・・」と思ったけれど、もう勤めて9年経つらしい。
その間に正社員になって、給料もウンと上がった(最初が安すぎ!)。
忙しいのは相変わらずだけど、それなりに仕事の面白さを感じているようだ。
最近では、夫が中心になってやっていたプロジェクトが成功し、良い結果が出たということで、来週表彰されるらしい
7月からは昇格することも決まった。
まあ、9年間、ほぼ毎日夜中まで働いているんだから、妻としては「それくらいやったって!もっと褒めたって!」という感じなのだが。
何にしろ、嬉しいことである。

この1年くらい、私は夫がやっているのと同じようなカタログやサイトの制作に関わるようになった。
もちろん、夫の会社から仕事をもらっているわけではなく、まったく別の制作会社からの依頼なのだが。
(実はライバル会社)

そして、いよいよ今月は本当に同じメーカーのカタログに携わることになった。
これも何かの縁かなぁ。

自分は「ひ孫」くらいの位置にいて、末端でコピーを書いているわけだけど、今回このカタログをやってみて、夫のやっている仕事がよく見えたように思った。
ディレクターさんの仕事ぶりを見ていて、「あー、夫もこういうことを毎日してるんだなぁ」と。

それから、どうして毎晩あんなに遅いのか、なんでそんなにたくさん仕事があるのか、それもわかったように思う。
大きなメーカーを相手にしていると、たくさんの人たちが絡んできて、その人たちがあれこれ自分の意見を言い合うから、とにかく「修正」が多いのだ。
もうカンペキかと思うほどの形にしても、「方向性を変えます」と誰かが言い出して、ほぼ白紙に戻ったりする。
1ヶ月間やってきたことが、またふりだしに戻る。

私もこの間、ディレクターさんと打合せして、「もっとC向けにしてほしい」と言われ、説明っぽいコピーも少しキャッチーに、具体的なシチュエーションも入れながらコピーを書いた。
ディレクターさんからはOKが出たが、その上のディレクターさんからはダメ出し。
わかりやすくていいコピーだけど、最初のトーンから変わりすぎ。クライアントが冒険を好まないから、これは却下される恐れがある。最初の感じに戻してくれ、というのだ。

こうやって、伝言ゲームのように、クライアント→Mさん→Oさん(デザイン事務所)→私という形で指示がくる。
ひ孫はつらいよ!

夫がやっているのは、上で言うとMさんの立場。
クライアントとデザイナーの間でいつもひぃひぃ言っている。
あっちにお願いして、こっちの意見を聞いて、あっちに提案して、こっちにお願いして・・・
企画提案と進行管理と。

私みたいに、ひ孫職人は言われた通りのものを作るだけだ。
人のマネジメントをするような仕事、私には無理だなぁ、と思う。面倒見はいいけど、いらちだからやらないほうがいい
すぐキレるしね・・・

職人に徹するのみ!

というわけで、今日も頑張って原稿書きます・・・
もうこんな時間!
(あー、飲みに行きたい)

セイケツシラク

2012-06-28 | 生活
先日、2週間ぶりに鍼に行った。
仕事が忙しくなるとストレスで酒飲みまくりなので、何か言われるかなぁとヒヤヒヤしながら行った。

有吉先生は必ず最初に「約束事」を確認する。
「あれはできていますか?」「これはどうですか?」・・・と。

正直、私はもう通うのを辞めようかなと思っていた。
それは先生との約束をほとんど守れていないから。
せっかくお金かけて鍼をやっても、家でむちゃくちゃな生活していたら意味がない。
先生に「どうですか?」と聞かれるたびに心が痛み、罪悪感に襲われる・・・
そのことを言おうかと思っていたら、先生が言った。

「続けることが大切なんです。だから、しつこいかもしれないけれど、僕も毎回聞くんです」

・・・また心読まれた?!

なんだかわからないけれど、先回りして言われたら、もう少し頑張ってみようという気持ちになった。
1口30回噛むのは結構できているし、体調も悪くない。
もう一度心を入れ替えてがんばってみようと思った。

まずは、甘いものをやめる。
あんなに「甘いものをやめなさい」と言われていたのに、この2ヶ月ほど毎日甘いものを食べていた。
自分では買わないのだが、人から手土産などでもらうことが多くて。(今も夫のお母さんにもらったゴーフルがある)
チョコレートやクッキー、ケーキ・・・やめるのは辛いけど、当分は我慢しよう。

そして、お酒・・・
「週3日の禁酒」はまだ2回しか成功していない

まずいなぁと思っていたら、私が何も言っていないのに、先生が言った。
「お酒は・・・。週2日禁酒でもいいですよ。ストレスになったら逆効果なので」

・・・また読まれた?!

なんか怖いなぁ・・・すぐ読まれるよ。
でも、週2日と聞いてホッとした。「週2」と「週3」って、全然違う。
これならできる気がしてきた。

で、いつものように鍼が始まって、お灸が終わる頃、先生が女性スタッフに「セイケツシラクの準備しといて」と言った。
セイケツシラク?

どんな字だろう・・・清潔死楽?
いやいや、なんか怖いな
きっと「ケツ」は「血」だから、「清血指楽」じゃないかな?
・・・なんて考えていたら、その道具がやってきた。

有吉先生を見ると、美容院のカラーリングのときにはめるみたいな、ピチッとした白いゴム手袋をはめてる。
なんか手術するみたいな・・・

私の表情に気づいたのか、先生は「セイケツシラクしますね」と言った。
「セイケツシラク・・・」
私が道具をベッドから覗き込んでいると、「指先に穴をあけて血を絞り出します」と言った。

・・・

明らかに動揺した私を見て、「痛いですよ」と有吉先生。
「えっ!!
「いや、嘘です。チクッとはしますけど」

・・・おちょくられた!!

そして、親指の爪の下辺りに、専用の針みたいなので穴を開けた。

イタっ!
嘘じゃないやん、結構痛いやん・・・
一瞬だから我慢できるけど、3秒だったら「ぎゃー!」って言うような痛さ。

そして、先生はその穴からぎゅーっと血をしぼり出した。
ひぃーーーー!
私、血はほんまにあかんねん・・・

「あの・・・これは何をしてるんでしょうか・・・」
おそるおそる尋ねてみると、ぎゅうぎゅう絞りながら、先生は言った。
「今日は咳してたでしょう。邪気が入ってるので、悪い血を取り出しています。悪い血が全部出れば、もう絞っても出なくなりますから」

そういえば、今日私はコホコホと咳をしていたのだった。
そして、ぎゅうぎゅうと絞り出した後、まったく血は出なくなった。驚き!!
合計4箇所、そのセイケツシラクをやられた。
「子供が風邪ひいたときとか、自分が扁桃腺腫れたときもこれやるんです。やったそばから腫れが引いていきますよ」とのこと。
アトピーなどにも効果があるというので、自称「アレルギーのデパート」であるアトピー体質の夫に勧めてあげたいと思った。

毎度のことながら、すごいな、東洋医学!
誰が考えたんだか・・・

確かに喉はすっきりしたが、もともと鼻が悪くなっていて痰が絡んでいたのが原因だったので、そこはあまり効果がなかった。
(有吉先生は風邪で喉が悪くなっていると思っていたみたいだ)

セイケツシラクか~
なんか怖かったけど面白かったな~と思いながら院を出た。

電車の中で早速、「セイケツシラク」を検索。
正しい漢字は、「井穴刺絡」だった。
「市井」の「セイ」ね。これは思いつかないなぁ。

サイトを見ると、なんかすごく効果が出やすい治療法みたいだった。
こんな感じ。
http://www.geocities.jp/seiketusiraku/

鍼の後は元町まで行って、なじみの整体の先生とチラシの打ち合わせ。
この先生も「点穴療法」というのを使ってツボ押しをする。
自分で靴下も履けないほどの腰痛に2ヶ月も悩まされていたのに、この先生に3回診てもらったらウソみたいに治った。
それ以来、私は東洋医学を信頼している。
この先生に出逢っていなかったら、鍼に行っていたかはわからないなぁ。

チラシの打ち合わせはすぐに済んで、ちょっとだけ世間話をして(先生の家庭の話など)、近くの上島珈琲で遅い昼ご飯(3時半)を食べて帰って来た。

もうちょっとだけ鍼は続けてみようと思った。
甘いもの断ちと、週2日の禁酒も、1口30回、腹八分目、毎日お灸も。
ダイエットもしたかったし、ちょうどいい。
それに、なんか毎回おもしろいことあるしなぁ


「はうどぅゆどぅ」の呪縛からの解放

2012-06-26 | 仕事
今日は例のガイジン社長の取材。
昨晩と今朝、ずーっと資料とにらめっこ。

7月にアメリカ村にオープンするので、いずれわかるだろうけれど、北欧の雑貨ブランド。
ヨーロッパ16カ国、150店舗ほど展開している。
そして、アジア圏に進出しようと、手始めに日本へ。
それも珍しく大阪からの出店!

スターバックス、ルイ・ヴィトン、イケアなど、どんな業種でも海外の大手チェーン店が日本に進出するのは、必ず東京からだった。
それがこの企業は大阪からということで、嫌でも流通業界では注目が集まる。

なぜ大阪を選んだのかはもちろん、同じ北欧ブランドとして、イケアやH&Mの日本での成功をどう思っているのかは気になるところ。
また、100均ショップと比較されるほど、価格が安い。
その低価格を実現できるのはなぜなのか。
そして、日本の100均ショップの市場が既に成熟期に達しているといわれている今、なぜこのタイミングで出店を考えたのか。
まあ、いろいろと聞きたいことはあり、質問のシミュレーションはバッチリだった。

ただ・・・
気になるのは、そう、「ガイジン」。
通訳付きってことは、日本語は無理ってことだろう。
取材は通訳の人がちゃんとやってくれるとして、最初の挨拶くらいは英語でしないと悪いだろう・・・

そう思って今朝はずーっと「ビジネス英会話 初対面」で検索して、失礼のない英会話を勉強していた。
「笑顔と相手の目を見て話すことが大切です」
と書いてあるので、アホみたいに鏡の前で笑顔を作って、「はうどぅゆどぅ」「まいねーむいず・・・」というのを繰り返していた

あかん!!
自意識過剰やから、ガイジン社長よりも同じ日本人の通訳の人に笑われるのが恥ずかしい・・・
やっぱり英語、必要なんちゃうか?と生まれて初めて真剣に思った。

余談になるが、うちの夫、今年から英会話に通っている。
最初は頑張っていたのだが、最近少しおろそかになっていた。
・・・と思っていたら、自分でも気づいていたらしく、選択授業切り替えに合わせて、心を入れ替える決意をした様子。
「自分を甘えさせないために、今の実力よりちょっと上の授業を選択した!」とのこと。
気合入ってる~

ただ、塾で何人も自分の実力以上のクラスに行きたがって、仕方なく入れたら結局成績が落ちていく・・・というパターンを何人も見ていた私としては、やや心配。
「かおり、お願いがあるねん」と真剣に夫が言ってきたので何かと思えば、
「これから英語の予習に付き合って」とのこと。

最初は「もう英語見たくないねん。ほんまにイヤやねん。英語キライやねん。申し訳ないけど、勝手に一人でやって!」
と言っていたのだが、何気にテキストを見せてもらったら、ちょっとした問題集みたいになっている。
長文があって、それについての設問がある形式。

久しぶりにそういうのを見たら、急に「私、まだどれくらいできるんだろう?」と残り少ない能力を確かめたくなって、読んで問題を解いてみた。
そしたら、予想以上にわかる
そのうえ、久しぶりに使っていなかった部分の脳みそをフル回転して、ちょっと気持ちよかったり・・・(笑)

夫と答え合わせもして、予習を完璧にして、夫は英会話にでかけていった。
「どうやった?」と終わってから聞いたら、
「うん・・・なんか、テキストが間違ってた」とのこと。

なんと、テキストの配布が間違っていたらしく、当日は予習したテキストは使わず、別のプリントを渡されたらしい
なんやねんな・・・

という余談。

夫はえらいなー、がんばるなー、私は絶対英語なんかやらんぞーと思って生きてきたが、今回の取材のようなことがあるのだと初めて知り、「あー、英語~」と思った。

しかし、どうなるものでもなく、「はうどぅゆどぅ」を練習して、取材へと向かった。

いろいろと資料を見たところ、社長はどうやら日本好きらしい。
「髪の毛をくくるか、おろすか」を悩んでいたのだが、日本好きならストレートの黒髪女性に優しいかもしれない・・・というなんとも安易な考えが浮かび、髪をおろすことに。
さらに、必死に伸ばしてきれいにしていった。

最寄り駅に降りたのは、取材開始時刻の20分前。
地図で確かめると(グーグルさん、ありがとう!)徒歩6分。
だけど、私は超方向オンチなので、初めて行く場所は、いつも実際にかかる時間プラス15分くらいは見ておく。
グーグルさん地図で見ると、1回曲がるだけなので道も簡単。
これは余裕だなぁと思って、駅を降り、歩き出した。
そして、10分前にビルに着いた。

ちょっと早いけど、いいか・・・と思って入ろうとしたら、ビルの入り口がない
駐車場の入口になっていて、徒歩の人は入れない。
慌てて探すと、ビルの横に細い道があり、奥に入れるようになっている。
おそるおそるそこを歩いていくと、部屋の番号を入れて呼び出すとあけてもらえるシステムになっていた。
ほっとして、番号を入れて呼び出しボタンを押したら、

びびーーーーーー

明らかになんだか違う音が・・・

焦って何度かやってみたが、同じこと。
なんか間違ってるかも・・・と思い、オフィスに電話を入れた。
状況を話すと、「えーと、たぶんビルの裏に来ていると思うんです。表にまわってもらうと、正面玄関がありますんで」と言われた

時計を見ると、もう3分前!!
慌てて走ってぐるりとまわり、ビルの正面玄関へ!!
エレベーターに乗り込んだときにはもう汗だくだった。

オフィスに入ると、通訳の女性が対応してくれて、席についた。
でも、汗ぼとぼと(私は異常な汗かき!!)

「すいません、遅れてしまって!!」と謝ると、
「いいえ、ビルがわかりにくいので、こちらこそすみません」と言ってくださった。

そんな会話をしながらも、汗ぼとぼと。
ハンカチで拭くけれども、本当に、信じられないくらいの汗なのだ
「いやー、すみません、走ってきたので・・・」と言うが、あきらかに相手は引いている。

そこへ、ガイジン社長登場。
名刺を持って立ち上がり、挨拶へと向かう。
ほれ、今朝20回くらい繰り返した、「はうどぅゆどぅ」を試すときが来たで。

意気込んで汗ぼとぼとのまま社長の前に立ったら、

「○○デス。ヨロシクオネガシマス」

・・・

「は、はい。○○です。よろしくお願いします」

フツーに日本語しゃべって名刺交換終了・・・。
私のあの猛特訓は?!

そうして、失意と動揺のままに取材が始まったわけだが、まー、私の新陳代謝をなめるんじゃないよ。
一度運動して熱く燃え始めた体は簡単には冷めない。
座って話し始めても、後から後から、滝のように汗が吹き出て、ハンカチでずーっとぬぐっていた。

すると、ガイジン社長が通訳に何か言った。
通訳が答えた。
社長がホッとしたような表情をした後、笑った。

不思議なもので、英会話がまったくダメな私もこういうことはわかるのだ。
訳してみよう。

社長「ちょっと待って。どうしてこの人はこんなに汗ぼとぼとなんだい?体調が悪いんじゃないのかい?」
通訳「あー、社長、そうじゃないんですよ。彼女はビルを間違えて慌てて走ってきたのでまだ汗がひかないんです」
社長「走ってきた?あー、そうなのかい。それならいいよ、安心したよ」

ほとんど英語はわからなかったけれど、「ランニング」という単語だけははっきりと聞き取れたし、身振りなどでこのようなことを話していることはわかった。

「すみません、汗だくだくで!走ってきたので!!ランニング!!」
私も唯一わかる「ランニング」という英語だけをまじえて、変な言い訳をして謝った。

すると、社長が立ち上がり、何か持ってきた。

・・・ティッシュ!!

「どうぞ、汗をこれで拭いてね」(←たぶん)

「おー、ありがと。サンキュー、サンキュー。お気を遣わずに」

と、ルー大柴的な返事で返しながらも、せっかくのご好意なので、ティッシュで汗を拭いた。

・・・あかん!!
何が「黒髪ストレートの日本女性に弱いかな?」やねん・・・
既に髪を振り乱して、汗で化粧も落ち、ティッシュで流れる汗をぬぐうだけの女である・・・

穴があったら入りたいって、こういう時に思うんだろうなー、なんて、ぼんやりと思いながらも、いやいや、仕事やし穴に入ってる場合でもない!と気合を入れなおして、取材を始めた。

その後、ぴったり2時間。

取材は本当によかった。いい取材ができた。話も面白かった。
ちなみに、汗も15分くらいでやっとひいた。

社長も素敵な人だったし、通訳の女性がまた才色兼備で。
これまで「日本に住んでいるんだから、英語なんて必要ない!!」と言い続けてきたが(陸で暮らすんだから泳げる必要もない!も言い続けている)、英語しゃべれるって、めっちゃカッコイイ~

あー、そうかと今日は思った。
子供の頃からこうやって、英語ペラペラの人を見せればいいんだ。
そうすれば、「カッコイイ~」から始まって「ああなりたい」「なれるように頑張ろう」と自然に英語を勉強するはずだ。
考えてみれば、自分の周りでこんなふうに英語をしゃべる人を見たことがなかったんだよなぁ。

めっちゃカッコイイ!!

通訳の女性はそのうえ美人で、優しくて。ほんと、素敵だった。
取材が終わってからも「すみません、汗ぼとぼとで」と言うと(←まだ言ってる)、「そんなの全然構いませんよ。それより、お一人で大変ですねぇ」と気遣ってくれた。
めっちゃいい人。

夢中になって取材して、オフィスを出たら、右腕がしびれていることに気づいた。
2時間、メモとりっぱなしだったからなぁ。
(私はテープ起こしがキライなので、基本的にメモをとるタイプのライターだ)
でも、なんかわからんけど、充実感
ほんま、楽しかった。

思えばここ数週間、この取材の内容じゃなく、最初の挨拶「はうどぅゆどぅ」のために心を悩ませて生きてきた
それがようやく終わった!という思いが「汗ぼとぼと」の記憶にも勝るほど強く、帰りはかなりの開放感を味わっていた。

あー、ビール飲みたい!!

その一心で梅田で電車を降り、ふらふらと地下街を歩いていたら、
おおー!「前菜5種盛り+ビールセット 980円」の文字が・・・!!

ふらふらとその文字につられて店に入ると、そこは去年、床床さんと来たお店だった。
カウンターに座って、「ビールセット」を注文。

ビールを飲めたらよかったんだけど、なんかいっぱい付いてきた



一人、ビールを手に持ち、心の中で、乾杯!!

・・・うまい。

いいよなぁ、仕事の後のビールは。
ずーっと「はうどぅゆどぅ」のことで悩み続けてきたので、開放感は格別だった。
ひと仕事終えた後のビールは本当にうまい。
この1杯のために仕事をしていると言っても過言ではない。

店の中には同じく早々と仕事を終えたおっちゃん一人。(16時半)
いいねぇ、こういう空間が大好き。
結局のところ、店で一人で飲むのが好きなんだなぁ、私は。

取材がとてもよかったので、もう汗ぼとぼとの一件など気にならなかった。
いい記事が書けそうだ。

この数日間のあれこれとドキドキとわくわくと。

2012-06-24 | 仕事
最近、ブログをあまり更新していない。
見ると、この10日間で1日だけ。

書けないほど忙しかったわけではない。
が、時間的にというより、精神的に余裕がなかった。

昔から「大らか」からはほど遠い性格だが、最近、その自分の細かいことが気になる性格によるストレスに押しつぶされそうになることが増えた。

単純に、歳をとって「処理能力」や「記憶力」が衰えたからかもしれない。
古いパソコンみたいに、あまり詰め込みすぎると、処理速度が落ちたりフリーズしたりする。

とにかく毎日「あれやって、これやって、あれやって、これやって」と、考えている時間がすごく長くて。

たとえば、1日に10個のことをやるとする。
普通は朝起きて、「今日はあれやってこれやって・・・」と10個を自分の中で確認したら、その後はただそれをやっていくだけでいいと思う。
それが同じ10個のことをやるのでも、1つ終わるごとに「えーと、次はあれやって、これやって・・・」の確認が始まり、勝手に追われている気持ちになってストレスがたまっていく。
そうしているうちに、翌日や翌週の予定が少しずつ埋まっていくと、そのたびに「えーと、明日はあれやって、来週はあれやって・・・」と、今日以外のスケジュール確認まで始まって、最後には「わぁ~~~」となる。

この間、電車に乗っているときに、またそれが始まったので、スマホの日記アプリに全部書き出してみた。

たとえば、この日はこんなふう。
・高槻の無印でパンフもらう
・帰ったらパンと鶏肉を冷凍
・アジの南蛮漬け作る
・ブロッコリー、ほうれん草、小松菜をゆでて冷凍
・Kさんに取材日程をメール
・○○の取材予定確認→決まれば、□□会社のTさんに連絡
・布団カバーを洗って干す
・実家に電話
・店を探して予約
・■■のサイトのコピー変更
・Hさんに頼まれた文章作る
・Aの資料を読み込む
・お弁当の準備
・Jの資料読み込む
・借りた本を読む

伏字やイニシャル以外はメモのまま。
こんな感じで仕事の細かいやりとりから、家事の細かいことまである。
たいしたことはないのだけど、全部この日にやらないといけないことで、「忘れたらあかん!」と何度も復唱していた。

不思議なことに、書いたら気持ちがラクになった。
今まで忘れないようにとずっと復唱を続けていたことが、書いた事によって「これで忘れない」と安心できたのだ。

なんや、こんな簡単なことかと(笑)

実は、私は持ち運びできるスケジュール帳というものを持たない。
毎年のように1年の始まりに買ってみたりするのだが、結局2月には使わなくなってしまっている。
で、何年も使い続けているのが、無印で売っている大きなスケジュール帳。
縦20センチ、横35センチくらいのカレンダーみたいなもので、1日ごとにスケジュールを書き込めるようになっている。
それも縦軸。
横軸のスケジュール帳を一度使ったけど無理だった。

白紙の部分も多いので、そこには電話がかかってきたときのメモや、お弁当のおかずのスケジュールなどを書き込んでいる。
お金を計算したり、まあ、いろいろ使える。

もうこのスケジュール帳以外は使う気がないのだが、あまりに大きいので持ち運びができない。
それでいつも電車の中などで「To Doリスト」を自分の頭の中で作っていたのだが、老化により、どうも記憶しきれなくなったみたいだ
前は一度頭にインプットしたら、全部覚えていられた。
それが、何度も復唱しないと忘れそうで怖くなってしまって・・・

いつまでも若いつもりで、前と同じ仕事のやり方をしていたらダメだなぁと実感。
こうやって全部書き出してやれば、安心してリラックスできるのなら、そうすべきなんだと思った。

とりあえず、この件は書き出すことで解決したわけだが、最近精神的に追い詰められて余裕がなかったのはもう一つ。
今抱えている仕事の重圧が大きくて。

チャンスだ、チャンスだと思っているので、意気込みが強すぎてしんどくなっている。
今日もコピーをこれから仕上げるけれど、この間書いていた某メーカーの社運をかけた新製品のカタログ。
火曜日に打合せして、方針が決まった半分だけコピーを書き上げた。
通用するのかどうなのか・・・ドキドキして返事を待っていたら、ディレクターさんから電話があり、
「カンペキでした」
とのこと。

嬉しすぎて、酔っ払って、夫にこの話を10回もした(笑)

第一段階は突破したわけだが、今日この後半を仕上げる。
この仕事はどうしても成功させたいのだ。
「クリア」するだけじゃ絶対に嫌だ。
「期待を超えるものだった」と思ってもらえないと、次につながらない。
そういう緊張感があって、ずっと製品の性能の分厚い資料を読み込んで、言葉と向き合っている。

そうしている間にも、別の取材も入ってくるわけで。
水曜日は久しぶりに転職サイトの取材に行ってきた。
不動産会社だったのだけど、この時代に右肩上がりで、活気があっていい会社だった。
何十社もこれまで取材してきたけれど、総じて「右肩上がりの会社」というのは活気がある。人がいい。
そして、社長が信念をもって、業界にイノベーションを起こしているということが多い。
単純に古いものを守るのではなく、新しいもの、新しい価値観を作り出す。
これが成功の秘訣なんだろうなと思う。

たとえば、この会社は不動産は「サービス業です」と言い切った。
ちょっと悪い人が影に潜んでいるような印象すらあった不動産業界。
クリアでオープンで、ホスピタリティを重視していて、「常にお客様に尽くす」ということを理念にしている。
そのための戦略も(ここには書かないが)、業界の常識を覆すやり方。

昔、お世話になっていた社長がよく言っていたっけ。
「業界の常識は、お客様の非常識」

業界の常識にとらわれている限り、お客様のほうを向いたサービスはできない。
いったんゼロに戻して、自分たちを否定して、現状否定して、新しいものを作り上げる。
そういう会社こそが生き残れる時代なのだと。

取材したのは、まさにそういう会社だった。
こちらが好感をもって話を聞いていれば、相手にもそれは通じるもので。
取材内容にはかなり満足してもらえたように感じた。
終了して、帰ろうかと片づけを始めていたら、取材していた人事担当者の人が言った。
「フリーでやっているんだったら、他の仕事でも助けてもらえませんか?」

実は、この会社は不動産以外も手広くやっていて、人材派遣の会社も経営している。
そちらでのサイト関連のライティングを任せたいとのこと。
まだ具体的には決まっていないけれど、とりあえずこれまでの実績や過去の作品などを送ってほしいといわれた。
それによっては仕事をもらえるみたいだ。

営業してないのに、仕事が来たよ・・・

まだわかんないけど、仕事につながってもつながらなくても、一度話しただけで信頼してもらえてこういう話をもらえたことがとても嬉しかった。

で、この記事はいつもより気合を入れた。
過去の作品を見るよりまずこの取材記事をちゃんと書けているかを見ると思ったので。

今、ディレクターさんのチェック段階で、先方まではまわっていないが(月曜日に先方チェック)、とりあえずディレクターさんからは良い評価だった。
「仕事の内容、会社の雰囲気も分かりやすくて
ターゲット設定も明確な原稿ですね。」
とのこと。

とりあえず、ホッとした。

でも、来週は例のガイジン社長の取材もあり、昨日いっぱい資料が送られてきた。
また読み込んで頭に入れないといけない。

いつも自分自身に対して祈るような気持ちでいる。
もうちょっとだけ「もってくれ」、と。
頭の老化が進んで、覚えられる量も処理能力もどんどん衰えていく。昔できていたことができなくなる。
だけど、まだまだやりたいこと、勉強したいこと、知りたいことが山のようにあるのだ。
酒飲んで脳細胞が死滅していくし、あと何年同じような仕事ができるんだろうかと怖くなることもある。

毎日毎日、新しいことを覚えて、勉強して、フルに感性使って、言葉と向き合って。

それでも仕事だけになることは嫌なので、先週もきっちり遊んだ。
火曜はゆうちゃんといわさきっちと3人で京都へランチ。
木曜の夜はこうちゃんが来て、一緒に夜中まで飲んでしゃべった。
昨日は夫の実家へお母さんのお誕生日祝いに。

そりゃ、ブログ書く余裕もないわな(笑)

こんなふうに充実した毎日の中で、いつもある「焦り」のようなもの。
明日はまた鍼に行く。

なんだかね、もういっぱいいっぱい。

1つ1つをきちんとやりあげているけれど、心はいつも余裕がなくて、家ではむすっとしていることが多い。
自分で造った船なのに、いつも「乗りかかった船だから」みたいな気持ちでいるのはなぜなんだろう。
乗るのはこの船で正解だったのか?

でも、今はそんなことをじっくり考えている時間もない。
とりあえず乗っている船から落ちないよう、必死にバランスをとっている。それで精一杯。

人生には、自分の目の前にリムジンがとまることが何度かあるという。
いわゆる、チャンスってやつだ。
躊躇している時間などない。
もう二度と停まってくれるかわからないのだから、とりあえず乗り込むだけだ。
行く先がどんな場所であったとしても、せっかく停まってくれたリムジンを見送るのは嫌だ。

「今、いい流れが来てるね」と、この間、あんこちゃんが言ってくれた。
私もそう思う。

なんだか毎日ドキドキする。
ストレスがたまっているから、ちょっとしたことでもぶわーっと涙があふれてくる。

一番やりたかった書籍
一番好きな流通業の業界誌
取材の中で一番得意な企業取材
実績とお金になる有名メーカーの広告
(それもこのメーカーは夫のメインクライアントと同じ!!だからいろんなことを指導してもらえる)

これらがこの春くらいから一気にやってきて、私は本当に毎日が緊張状態。
とにかく、おもろなってきた
20代のがむしゃらに走り続けていた時みたいに、どきどきわくわくが止まらない。

頼むから、頭と体がもってくれ!!

言葉の面白さ

2012-06-18 | 想い
友のブログを見たら、ネーミングについて言語学的思察された文章が書かれていた。
「なるほどなぁ」と感心すること多々あり。

私も言葉に携わる人間で、幸いにして夫もそういう人種だから、
しばしば呑んでいる最中にそんな話で盛り上がることがある。
こういう話ができる人を伴侶にできたことは何よりの幸運だ。

例えば、最近、人が間違って使っている言葉が気になる・・・という話。

「敷居が高い」

たぶん、「格式が高い」というような意味と勘違いしているのだろうが、ちょっと値の張るようなお店や、京都の一見さんお断りみたいなお店に対して「敷居が高いお店」という表現を見かける(もちろん素人さんが書いたもの)。

この間、食べログのクチコミを見ていたら、「敷居が高い」どころか、「しきりが高い」と「敷居」すら間違えて書かれていた。
言葉の意味って時代によって変わっていくというし、それは別に構わないと私は思っているのだが、
こんな間違いはやっぱり「え?」と思ってしまう。

そういえば、前に一緒に仕事をしていた人がいつも「こさくやわ~」というのが気になっていた。
なんだろうかと最初は思っていたのだが、どうやら流れから推測すると、「姑息」のことを言っていたようなのだ。
おそらく彼女は「姑息」という漢字は思いついていなかったと思われる。
もしかすると、「小作」だったのでは?
小手先でなんとかする・・・みたいな感じで?(いや、これは私の推測)
まあ、「一時しのぎ」という意味からすれば、そんなに遠くはないのだが・・・

そんな感じで、言葉が気になって仕方がない。
そういう自分もたぶん間違って使っていることがあるのだろうけど・・・。

でも、気になった言葉はいつもすぐに調べるようにはしている。
日本語はなんとなく使ってしまうが、言葉を使うことを職業にしていると、「あれ?」と思うことが多々あり、そのたびに一応調べてみて、「へー」と思うことも多い。

例えば、「ひとしお」。
自分が文章の中で「喜びもひとしおだ。」と書いてみて、その後、「ん?」と思った。
「ひとしお」って、名詞?副詞?何?

調べてみると、藍染にするための布を1回浸したものを「ひとしお」というらしい。
名詞でもあるが、今はそこから副詞的に使われる。「いっそう」と同じ意味で使えばいい。

でも、その語源から考えると、「いっそう」とはまた少し違う。
布を染めるときのように、じわじわと、しみこんでいくような感情。
そういうときに使うのが正しいと思われる。

語源を知ると、言葉がまた楽しくなる。

皆が普通に使っている「明日(あした)」。
中世の頃までは「朝」という意味だった。
それがいつしか、前夜に特別なことがあった次の日を指すようになり、その後、「翌日」という意味に変わった。

そう考えると、やはり昔の人も「朝」を何か新しいことの始まりととらえていたのだとわかる。
「明日」は「朝」なんだ。

3.11の津波の後、もう使えなくなった車のドアに「明けない夜はない」と誰かが書いていたのをテレビで見た。
書いたのはもちろん、当事者だ。

「明けない夜はない」
この言葉は人が人に対して言う励ましの言葉じゃない。
自分が自分に対して言う言葉だ。
何度暗闇の夜が続いても、「いや、明けない夜はないんだ」と、そう自分を奮い立たせるための言葉だ。
その言葉を使うことに自分自身が意味がないと思うならば仕方がない。
でも、私はいつも暗闇に閉じ込められたとき、「明けない夜はない」「長いトンネルもいつかは抜けられる」と自分に言い聞かせてきた。

今日がどんなに悲惨でみじめで苦しくて悲しくて、もう立ち直れないと思った日であったとしても、
明日はわからない。絶対に。何人にも、明日はわからない。
まずはそう信じることが大事なんだと思う。

そう思っていたら、明日(あさ)が来た。
長かったけれど、やっぱり明けない夜はなかった。

「明日」
好きな言葉だ。