月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

家での楽しみ方

2016-05-31 | 生活
ゴールデンウィークから久しぶりに刺繍を始めた、という話は前に書いた。
その後も熱はさめず、入院している間もどうせ時間はたっぷりあるからと、刺繍を持っていくことにした。

私はどうも絵心がないので、ネットで刺繍キットを探していたら、フェリシモで見つけたので購入。

チクチクチクチク
ひたすらチクチク

子供の頃からずっとこうやって手先を動かして何か作っていれば幸せだった。
20年ぶりくらいにやったので最初は手が動きにくかったが、すっかり思い出してきれいに仕上がった。



あー、楽しい
次は何を作ろうかと考え中。やっぱりものづくりは楽しいなぁ。

山椒の下ごしらえも、今年はしんどくて無理かなぁと思っていたが、箱買いではなくパックで少しだけやることにした。



しかし、ちょっと手を抜いて「茹でるの1回+アク抜き一晩」にしたら、やっぱりやや「えぐみ」が残った・・・
早速、これでちりめん山椒を作ってみたが、いつものような上品な味に仕上がらなかった。
やっぱり手抜きはダメだ。

治療は辛いし、仕事はまともに受けられないし、生活の中で不自由なことは増えた。
だけど、治療が始まる時に決めていた。

動けるかぎり、動く。
時間を有意義に使う。

この治療期間の3ヶ月が、自分の人生における「空虚な意味のない3ヶ月」にならないように。
仕事ができないなら、家でものづくりをする。
生活の中で感謝できることを見つけて、毎日を楽しむ。
私のことで心を痛めている夫のためにも、これ以上心配かけないよう、いつも笑顔で過ごしていたい。

ケモ外来 ~骨髄抑制について

2016-05-30 | 癌について
今日は1クール目の1回目ケモ外来だった。

ケモとは「Chemotherapy(ケモセラピー)」のことで、抗がん剤を用いた「化学療法」のこと。
私の使っている抗がん剤は骨髄抑制が起き、白血球、赤血球、血小板などの数が減少してしまうので、投与から投与の間に3回病院へ行き、採血して数の確認を行わなければならない。
特に白血球の減少が著しいのだが、この数が戻らないと次の投与ができないのだ。

朝8時に採血。
そこから1時間半後に検査結果が告げられる。
値はどこも悪くはなく、肝臓、腎臓の機能もきちんと働いているとのこと。よかった。

しかし、やはり白血球の好中球数が減っていて、測定値は1350/μLだった。
一般的な基準値が2000~7500/μLというのだから、これがどれだけ少ない数値なのかわかると思う。
それも、まだ減り始めたところなので、おそらく1000くらいまで減ってしまうのではないかとのこと。
もちろん、時間が経てば、数はまた増えていくのだが。

これは抗がん剤治療をしていれば誰にでも起こることで、特別なことではない。
ただ、気をつけないといけないのが感染症。
好中球は感染症から体を守る働きをしてくれているので、減ってしまうと普段なら絶対かからないような感染症にも簡単にかかってしまうのだ。
また、減りすぎると高熱が出ることがあり、一度熱が上がれば自力で下げることは不可能。
「38度以上の熱が出たときには、夜中でも必ず電話するように」と注意を受けた。
感染症に関しては、マスク・手洗い・うがいの基本的な予防しか方法がない。(あとは人ごみを避けるとか)

実は、歯磨きの時以外に「うがい」というものをしたことがない私・・・
それくらい絶対的に感染症(風邪やインフルエンザなど)にはかからないという自信があったのだ。
でも、去年の冬、人生で最大・唯一といっていいほど長くツライ風邪をひいた。
今思えば、あの頃から免疫力が下っていたのかもしれないなぁ・・・

今はもう数値ではっきり出ているので、根拠のない自信に頼るわけにもいかず、ひたすら予防に努めるのみ。

外来の後、気分を上げるために、久しぶりにジュエ・ボワットへ寄ってパンを買い込んだ。
やっぱり美味しい



1クール目の山は越えた

2016-05-29 | 癌について
1週間経って、ようやく痛みの山を越えた。
痛みがなくなり、体が軽くなってくると、急激に活力を取り戻した。
私の中の細胞たちが敵(抗がん剤)を打ち破り、勝利の雄叫びをあげているのが目に浮かぶようだ。
大げさでなく、本当にそんな感じ。

この土日はかなり体力を使ったが、全く疲れる気配もない。
土曜は夫が気分転換に外へ行こうと誘ってくれたので、高槻まで行って買い物を楽しんだ。
途中で調子にのってタリーズコーヒーで冷たい飲み物を飲んだら、一気に体が冷えて困ったけれど。
帰って体温を測ったら34.9℃でびっくり!急いで体を温めた。

私は普段、女性にしては高めの体温で36.8℃くらいあるのだが、抗がん剤治療が始まってから、時々35℃台に下がる。
それでこの頃は体を温めることに力を入れている。
靴下が嫌いで常に裸足で過ごしてきたけれど、床床さんに勧められて、4枚靴下を履く「冷えとり」も始めた。
といっても、なかなか1日中徹底してやるのは無理なので、できる範囲で、という、ゆる~い感じのやり方だが。
あとは、基本的すぎるが、冷たいものを飲まないこと。
あまり「健康に気をつけてます女子」的なことが好きじゃないので、少し抵抗はあったが、そうも言っていられない。
やれることをやっていかないとなぁと思っている。

日曜は久しぶりのお客様!
としくんが日本出張で帰国していて、顔を見に来てくれたのだ。
いつものようにいろいろ作っておもてなしとはいかなかったので、串カツパーティーにした。
いろんな串を作っておいて、卓上フライヤーで揚げながら食べる。
美味しい、美味しいと、とても喜んでくれた。
あとは、夫の燻製盛り合わせ。
日本酒もいろいろ用意しておいた。

準備も食べている間も、私は少しも疲れなくて。
むしろ、久しぶりのお客様に興奮し、とても元気だった。
今年に入ってからというもの、毎週のように検査が続き、入院も既に三回。そして手術。抗がん剤治療。
仕事もほとんどできず、お酒も飲めない日が続き、私の日常はがらりと変わった。
そんな中、懐かしい旧友の訪問は、元気だった頃の日常を呼び覚ましてくれ、私は心から楽しいひとときを過ごせたのだった。
本当にありがたかった。

同じ45歳でありながら、アメリカでさらなるステージへ駒を進め、新しいことにチャレンジしようとしている友を見て、改めて尊敬の念を抱き、また、私もまだまだやれるんじゃないかと勇気づけられた。

しかし、その一方で、自分の暮らす世界が昨年までとは全く変わってしまったことにも気づかされた。
「自分の話題」がないのだ。
これまで私の日常は外へ外へと開いており、毎日のように出会いとときめきがが生まれ、世界は日々更新し続けていた。
それなのに、この5ヶ月間ずっと停滞したままだ。
いつも、自分が今やっていること、夢中なこと、感動したこと、苦悩や失敗、チャレンジしたいことなど、「話題」がたくさんあったのに、何一つ出てこなかった。
今の私の話題は、病気のことだけ。
当たり前のことだし、今は仕方がないことだけど、意欲を燃やす友を前にして、自分の日常がすっかり変わってしまったことに改めて気づいたのだった。

苦悩も自己嫌悪も失敗もない代わりに、出会いも感動もときめきもチャレンジもない、更新しない日常とは、なんとつまらないことか!
とりあえず3ヶ月の辛抱。
あと2回の治療に耐えて、今度こそあっちの世界へと帰還しようと誓った。

としくんが帰った後、片付けなどをしたが、それでも全く疲れることはなく、体力は十分戻ってることを確認。
乾杯ビールも二口だけ飲んだし、日本酒も味見程度に少しだけ飲んだが大丈夫だった。
ひとまず、1クール目の山は越えた!

抗がん剤治療6日目~変化

2016-05-28 | 癌について
投与3日目から始まった痛みは、今朝になるとほとんど引いていた。
よかった。
痛みがないだけで、かなり楽だ。
しかし、代わりに足の裏が少ししびれる。
歩くときに違和感。辛くはない。

しびれに関しては、治療が終わっても取れない人、むしろ酷くなる人もいると聞いてびびっている。
治療中はどんなことも我慢するので、治療が終わったら何も残らないでほしいと思う。

手術後からずっと不眠症と夜間頻尿で、夜中に何度も目が覚めたり、眠れなかったりしたのだが、2日前からぐっすり眠れるようになったのも変化の1つ。
眠りが深く、夜中に目覚めることがない。
さらに、朝の目覚めも良い。
毎日たっぷり7時間寝るようにしている。

体が再生のために睡眠を欲しているんだなぁと感じる。
どんなに痛んでも、ご飯が食べられるのも同じこと。
私の基本的な強い生命力が、絶対に体を弱らせるほうへと向かわせない。
体じゅうの細胞たちが、一緒に立ち上がろうとしているのを、変な話だけど、本当に感じるのだ。

だから、大丈夫だと思う。
今日は体調も良さそうなので、今のうちに仕事を少しでも進めておこうと、気持ちも前向きだ。

しかし、これから1週間は白血球が減少していく。
それによる辛さはないようだが、感染症が怖いので、マスク、手洗い、うがいは必須。
人ごみもできるだけ避けて、熱が出ないように、あまり無理に体を動かさないようにしなければならない。
これも、痛いよりは全然いい。
この間にしっかり原稿を書いてしまおう。

買い出し

2016-05-27 | 癌について
3クールでよかったとつくづく思う。
これを6クールも頑張る人がいるなんて、すごい精神力だ。

もうすでに逃げ出したい。やめたくなる。
体が破壊されていくみたいだ。
ただ、痛みに耐えるのみ。

今日はこうちゃんが休みだからと来てくれて、コープまで車を出してくれた。
ありがたい。
いろいろ買い出しができた。

不思議と食材を見ていると痛みが引く。
ウキウキした気分になって、体が動く。
私があれこれ食材を買い込むのを見て、こうちゃんはびっくりしていた。
会った時はあんなに辛そうだったのに、と。
やっぱり動いたほうがいいようだ。

家に戻って少しだけしゃべった。
手術後、こうちゃんに会うのは初めて。
とても心配してくれていた。
会えて嬉しかったが、またすぐにしんどくなって、あっという間に別れた。

のろのろと洗濯を取り込んで、休み休み畳んで。
夕食を作っていると、また元気が出る。
メニューは、野菜サラダ、ニラたまご、鶏の照り焼き、焼き空豆と簡単なもの。

量は多くはないが、ご飯が美味しく食べられるのだけは、本当に幸せなこと。
まだ大丈夫だと思える。