月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

揚げたての天ぷらを食べながら、知的好奇心を刺激される。

2020-08-24 | 生活
先週は原稿に追われていたうえ、食事会の予定も2日あり、ややバタバタした1週間だった。
Aちゃんとのランチの翌日は、かなり久しぶりにT社長に誘われての食事会。(先日電話があり、その時に近いうちに食事でもと話していたのを早速実行してくださった)
15時ギリギリまで原稿を書いていて、なんとか提出。用意をして17時に間に合うように家を出た。
場所はホテル阪急インターナショナル。2階のティーラウンジで待ち合わせ、お上品なカモミールティーで一息。
社長に会うのは2年ぶりくらいだろうか、全く変わりなく元気な笑顔だった。

その後はホテル内にある「一宝」へ。肥後橋に本店がある老舗の天ぷら店だ。
ホテルも店も閑散としていて、コロナの影響を強く感じた。
ソーシャルディスタンスで席数も半数近く減らしているとのこと。

カウンターに座り、紙エプロンをつけてもらって、生ビール(小)を1杯。
「本日はこちらを揚げさせていただきます」と店主がバットに並んだ食材を見せてくれる。
海老、とうもろこし、キス、水茄子、蓮根、オクラ、ホタテ、あなご、海老の大葉巻などを1つずつ天ぷらにしてくれる。
天ぷら屋さんに来るなんて、何年ぶりのことか。やはり揚げたては旨い。サクッと軽い衣でいくらでも食べられる。
途中、日本酒を選んでいいと社長が言うので、宮城の「浦霞」を1合だけいただいた。
上品な天ぷらを邪魔しない、いいお酒だ。口の油をさっと流しながらも素材の旨さを引きたてる。

1つずつ揚がる天ぷらをゆっくり食べながら、社長の話を聞いていた。
少し前に送ってもらったユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」の話で盛り上がる。
本の内容で「認知革命」が衝撃的だったと私が言うと、社長も「そうそう」と同意し、独自の見解を話された。
社長には、私が絶対に自分では手に取らないような本を何冊も教えてもらったなぁと思う。本当にありがたい。
この日は『発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい』という本をいただいた。(何冊も買って会う人に配っているとのこと)
発達障がい(ADHD)である著者は株式会社LITALICOの社長であり、発達障がいのある子どもたちの通う教室を運営している。8000人も通い、待機児童も何千人もいるという。
まだ最初の章しか読んでいないが、私も数年前に精神障がい者と働くためのポイントをまとめた冊子を書かせてもらっているので、興味深い内容だ。

本の話やコロナの話を中心に、時々TVドラマや教育、政治の話などもして、楽しい時間だった。
天ぷらもすべて美味しく、ご飯の上にかき揚げをのせてお茶をかける「天茶」で締めた。(いい塩梅!)

以前なら、「もう1軒行きましょう」と北新地のなじみの店に誘われていたが、やはりコロナのことがあるのでここでお別れ。社長はタクシーを呼んでJRまで、私は阪急梅田まで歩いた。
夜の梅田を歩くのなんて、いつ以来?半年は経っていると思う。人通りは少なく、金曜の8時前の茶屋町とは思えない。
もう1軒ふらっと寄りたい気持ちを抑えて、電車に乗った。
コロナでまだいろいろ不自由だけど、6月末くらいから、たまにはこうして気を付けながら外食もできるようになったのが嬉しい。
特に4月から5月25日の緊急事態宣言の解除までの期間は、またこんな日が来るのだろうか、もう二度と外食できないんじゃないかと疑ったほどだったから。

T社長の元気な姿を見られて、知的好奇心を刺激されるような話をたくさんできてよかった。(天ぷらも最高!)
ZOOM飲み会をよくやると言っていたので、お礼に日本酒を送った。三重県の「作」。気に入ってもらえるといいな。

独創的な感性と心が込められた料理を堪能!

2020-08-20 | 美味しいもの
日本酒仲間のAちゃんが転職して、無事に就職できたというので、お祝いとして食事に誘った。
ずっと行きたくてチェックしていたお店で、まさにこういうお祝いにもぴったりの「Kyo gastronomy KOZO (キョウ ガストロノミー コウゾウ)」さんへ。
ランチの予約をしたので12時に店内集合。


カウンターとテーブル席(3つ)があるが、コロナ対策だろう、カウンターは使用せず、ランチは3テーブルで12時からの1回転のみ。自分の連れとしか向き合わないし、もちろん入口でのアルコール消毒は必須で、シェフはマスク姿だ。
コロナ前やディナーの時はどうなのかわからないが、ランチのスタッフはKOZOシェフのみ。コースで同時提供とはいえ、一人で滞りなくまわすには3テーブルが限界だと思われる。
美しくセッティングされたテーブルを見て、期待がどんどん高まった。


この店に来たかった理由は2つ。
まず、シェフの独創的でアーティスティックな料理に興味があったこと。私の感度の良い「おいしいものアンテナ」も激しく反応していた。見かけ倒しではあるまい。

もう1つは、日本酒のペアリングコースがあること。料理に合わせてシェフが選んだ日本酒が提供されるのだが、S、M、Lのサイズ違いを選べる。
自分で好きな酒を選ぶのも楽しいが、プロのペアリングは勉強になるので好きなのだ。

1品目、KOZOシェフの代名詞ともいえる「スペシャリテ 苔テラリウム」。
これを実際に見たかったし、食べてみたかった!
金魚でも飼えそうな大きめのガラスボウルに美しい苔。
・・・と思いきや、すべてが食べられるのだ。
食べるのがもったいないねと言いながらスプーンを入れ口に運ぶと、これがまたうまい。


アップにしても、本物の苔にしか見えないのがすごい。
白味噌のマッシュポテト、フォアグラのクリームがベース。パンを乾燥させたものを岩に見立てたり、コーンスターチを固めたようなものを砂利に見立てたり・・・。


こちらのペアリングは京都の松本酒造の「澤屋まつもと」
しっかりとした米の旨味があるが、重たくはない。苔テラリウムによく合った。


2品目は「鶏と冬瓜の冷製スープ」
具だくさんで食べ応えのあるスープだ。冬瓜に出汁がよくしみておいしい。


3品目が圧巻の旨さ!「鮎のコンフィ」
ズッキーニの上に低温調理されて骨も頭もすべて柔らかくなった鮎が美しく盛り付けられていた。
器もきれいだし、ソースやあしらいも含めて、もうこれ自体がアート!
鮎がほろほろと口の中で崩れ、鮎本来の旨さを感じさせながらも、ソースで味わいが何重にも複雑に広がる。
いろんな味がするのだが、どの部分をとってもうまい。
(食べ終わって、「もう1匹食べたい!」と私は言った)


合わせるのは、奈良の今西酒造さんの「みむろ杉 純米吟醸」
「みむろ杉」は家で年間何本も消費する大好きな酒の1つだ。
これは「渡船」という酒米を使用している。私の記憶が間違っていなければ、渡船を使うのは今年初めてじゃないのかなぁ。
若手蔵元の中では、間違いなく全国で1、2を争う旨い酒で注目度も高い。(雑誌でも特集が組まれるほど)


4品目が「鴨ロースのステーキ」
付け合わせの野菜まで凝っている。ノーザンルビーという品種のジャガイモをマッシュした上に、茄子やアスパラ、モロヘイヤを揚げたもの。
ソースは柚子っぽい?和のニュアンスがよかった。


日本酒は滋賀県の松瀬酒造さん「松の司 AZOLA 純米大吟醸」!!
これ飲めるのか~!とテンション上がる~!
蔵のある竜王町の契約農家で、無農薬の山田錦を育ててもらい、その米でケミカルなものは排除して造った酒。
飲みたかったけどなかなか店には置いていないし、ネットで買うにしても家飲み用としてはやや高めなので躊躇していたのだ。
昨年11月に取材に行ってから大好きになった「松の司」。
今どきの酒とは違って酸や甘みは抑えられていて、オーソドックスなんだけど、上品できれいな米の旨味がスーッと喉を通る。キレの良さとさりげない余韻がまた心地よく、しみじみと「いい酒だなぁ」とため息。
この蔵の酒を飲むといつも造り手のプライドを感じる。


楽しい時間はすぐに終わるもの・・・。興奮冷めやらぬ間に「ごはん」が運ばれてくる。
たこと枝豆の炊き込みごはん、赤だし、自家製の昆布。


デザートは、「ほうじ茶のブランマンジェ」
ほうじ茶は一保堂さんのものだと言う。こういうところがやっぱり京都ね。
ブランマンジェの上にチュイルがかぶせてあって、上にアイスクリーム。仕上げとして冷凍(?)の粉末状のものを目の前でかけてくれる。チュイルをサクッと割ってブランマンジェと一緒に食べる。


食後の飲み物は、コーヒーか煎茶(一保堂)を選べるので、私もAちゃんも煎茶にした。
これで終わりだと思っていたら、これまたおしゃれな枯山水に見立てた小菓子が登場。
アーモンドの焼き菓子の下に不思議な食感のマシュマロが隠れていた。


以上。
大大大満足のランチだった。
1つ1つが美しく、料理への愛を感じた。そういうのって伝わるものだ。美味しいだけじゃなく、新鮮な驚きと感動があった。
シェフは若くて気さく。謙虚な話し方にも好感が持て、すっかりこのお店のファンになってしまった。
「ここ」でしか食べられない料理があるというのが素晴らしい。他で代わりが利かないということは、どの世界でも何でも一番の強みになる。そのことを実感できた。

コースの内容は毎月変わるようなので、月1で来たい。もっと新しい料理に出会いたい。
自分では決して作れないレベルの料理というのはお金を出して食べに行く価値があるよなぁといつも思う。
コロナでほとんど外食や飲み会がなくなったし、お金を使わなくなったから、月1くらいここで贅沢するのもいいんじゃなかろうか。(ちなみにランチは5000円、ペアリング(L)が3000円)
ディナーはお酒の種類が増えるというので、ディナーでペアリングコースも試してみたい。

というわけで、Aちゃんのお祝いでご馳走したという話だったのに、想像以上においしくて、久しぶりにバリバリに熱のこもった「おいしいお店」紹介ブログとなった。

リハビリ

2020-08-19 | 想い
夫がよく「小説書いてほしい」と訴えてくる。
そのたびに言葉を濁し、逃げる。

先日も酔っ払った時に同じやりとりがあり、文芸学部(中退)の夫が「俺はお盆休みに1本短いのを書く」と言い出した。
出会ってからの15年で、何度この言葉を聞いただろう。「書く」と言いながら書いたことなどない。
「はい、はい」と聞き流していたら、お盆休みに私の部屋に何時間もこもっている。(夫の部屋にはエアコンがない)
仕事だと思っていたら、夜になって「ショートショート書いた。原稿用紙にして11枚」と言って、プリントアウトしたA4用紙を持ってきた。
「本当に書いたの?!」
「うん。初めて三人称(神の視点)で書いたから、うまくいってないかもしれないけど、とりあえず書いたから、読んで」
そう言って私に用紙を手渡す。

わくわくする反面、怖くもあった。
ものすごくしょうもなくて、ツッコミどころ満載で、いい感想を言ってあげられなかったらどうしようかと思った。
でも、私は彼の文章が好きだ。ナルシストな感覚で飾った言葉の羅列が、耳に心地よい音楽みたいで。
少し急ぎの仕事をやっていたこともあり、私は大事にその用紙をしまった。
「明日ゆっくり、大切に読むね」と。

それは、今のコロナの時代を切り取った、ある夫婦の日常が描かれていた。
なんということのない会話。その会話から伝わる作者の思考。
ショートショートというような明確なオチはなく、長編小説のプロローグのような。
ツッコミどころはたくさんあったし、訴求するものも弱い。

だけど、私は心からすごいと思った。
「書いた」という事実が、それだけで価値があると思ったのだ。
さすがに文章もきれいだったし、少し肉付けしていけば面白い小説になるような気がした。

いや、そういうことじゃない。とにかく「書いた」こと、それだけでもう私はノックアウトされた。
夫は「リハビリ」だと言った。
そうだ。何年も書いていない人が、もう一度真っ白な紙に向かい文章を綴る。それがどれほどハードルが高いことなのか、私はよく知っている。まさに「リハビリ」なんだ。

20代の、あの若くて何者でもなかった頃の夫が書いたものとは全く違う、40代に突入しようという立派な大人としての、そして「コロナ禍」という「今」しか書けない物語がそこにあった。
ひたすら感心して、二度その短編を読んだ。

主な登場人物は、勇二と恵子という夫婦。
主人公は勇二であり、勇二の想いが神の視点から書かれている。
ふと、この物語を恵子の視点で私が書いてみたらどうだろう、と思った。「冷静と情熱のあいだ」みたいに。
そう思いつくと気持ちが浮き立った。
もう何も書きたいものなんてないと思っていたのに、急に私の頭の中で「恵子の物語」が広がっていき、そのことに自分で驚いた。
誰に見せるわけでもない。夫と二人で交換する文化的なお遊びだ。そう思うと気楽に書ける気がした。

夫に提案してみると、夫も乗り気になった。
書く前にキャラや背景を正確に共有していく。
舞台は東京?大阪?
この姪っ子は、どっちの兄弟の娘?
そんな細かいことを話しながら、輪郭を明確にしていく作業は楽しかった。

書きたいものなんてなくてよかったんだと思う。
「書く」という行為そのものに価値がある。
それに気づかせてくれた夫に感謝。

これから私もまず1本書いてみようと思う。
20年のブランクを埋めるのは難しいけれど、埋める必要もない。
リハビリってそういうものだよな。


谷瀬つり橋の里キャンプ場

2020-08-15 | キャンプ
クライアントである大手メーカーの休暇に合わせるため、毎年夫の夏休みは長い。今年は6日~16日までだという。
そこで、去年の夏に行った北海道キャンプの楽しさが忘れられず、世間がお盆休みに入る前の6日~11日に今年も北海道キャンプをしようと計画していた。
しかし、世間のムードはあまり「Go to」でもない。家庭の事情にもよるが、帰省すらやめるという声も聞かれていた。
そのうえ、天気を見ると北海道は6日~ずーーーーっと雨か曇り。
リスクがある中、お金と時間をかけて行って、雨の中で5泊もキャンプをするのもどうなのか・・・?
天気が変わるかもしれないと、3日まで粘ったが、結果的には断念した。
あーあ、残念・・・。

ただ、休みが長いし、三連休に入る前なら人も少ないので、近隣でキャンプに行こうということになり、6日~8日まで2泊3日で奈良県の十津川村へ行った。
日本一長い谷瀬のつり橋がある場所だ。
キャンプ場は2つあるのだが、今回は「つり橋の里キャンプ場」にした。(トイレが広くてきれい。ゴミを捨てられる。これが決め手)
コロナ対策で普段は150組入れるところ、およそ半数の70組までにしているという。それだけでも随分すいているのに、6日行ってみるとガラガラ。広い敷地内には私たちを入れても3組しかいなかった。

私たちは林間にテントを張ったが、この向こうが川で、その川原のまわりにもテントを張ることができる。とにかく広い。
これで感染するなら、どこに行ってもするだろう。


ちょうどつり橋の下がキャンプ場になっている。
真下にも張れるけど、あまり近づくと橋を渡る靴音が響いてうるさいので、少し離れたところにした。


今回は2泊で時間があるので、久しぶりにプランクBBQをした。
専用のひのきの板を2時間ほど水に浸漬させておき、この上に食材を置いてアルミの蓋をし、炭の上で蒸し焼きにする。すると、木の香りがほのかに付いてスモークしたようになる。
おすすめはサーモン。レモンの輪切りを乗せてオリーブオイルをたらして。
付け合わせにトマトとマッシュルームも。


翌朝は、シンプルにホットドッグ。
キャベツの千切りと炭火で焼いたウインナーを、温めたコッペパンに挟むだけ。こんな普通のものがやたらと旨い。


この日は川に出て、浮き輪を使ってちゃぽちゃぽと浮いたり、石を積んでダムを作ったりして遊んだ。
深い山の中なので、猛暑にも関わらずとても涼しい。水も冷たかった。

夜はまたバーベキュー。
翌朝は土鍋でご飯を炊いて、レトルトカレー。
キャンプの食事は何でもおいしい。

最終日も夫は川へ遊びに行っていたが、私はタープの下の日陰で本を読んでいた。
風が気持ちよくて、とてもいい時間だった。こういうのを本当の「贅沢」というのかもしれない。
ただ、私は人の3倍くらい蚊にかまれやすい。ちょっと靴下を脱いだ瞬間をねらわれ、足首まわりだけでなんと16カ所もかまれた!!
まさかこんなことになると思っていなかったので、油断していたのも悪かった。最終日は強烈な蚊取り線香を4つも焚いて、ハッカ水を吹きかけて徹底防御したのでこれ以上は増えなかったが、時すでに遅し・・・。
両腕、両脚、合わせてなんと55カ所も!!病気になるで、マジで・・・

帰りにつり橋を渡りに行った。
以前も来たことがあって、その時はどんどん渡っていたら、夫が「板が外れるかも・・・」と言い出し、想像力の強い私は途中で板が外れるイメージしかわかずに引き返した。
今回は心を無にして瞑想状態で渡ろうと決め、途中までは大丈夫だったのに、また夫が「あかん。もういい。引き返す」とUターンしたので瞑想が途切れた。
その瞬間にまた板が外れるイメージがわいてしまい、私も夫の後を追って引き返した。
(夫は高所恐怖症、私は高いところは大丈夫なのだが・・・無駄に強い想像力が邪魔をする・・・)


ちなみに、地元の人はここを原チャリで走る。
すごい!!

WELCOME BACK!

2020-08-14 | 癌について
3週間ぶりにセカンドドクターのところへ行った。
普段は2週間に一度行くのだが、検査や検査結果が挟まっていたので、少し間が空いてしまった。でも、良い結果報告ができるのが嬉しかった。

2か月も放置していたのに、わずかでも小さくなっていたという結果を告げると、先生も喜んでくれた。
主治医は不思議そうだったと言うと、「私たちにとったら、当然の結果ですけどね」と言う。
さらに、主治医のほうから「3か月経過観察」を提案してくれたので治療もしなくていいのだと言うと、「一番望んでいた展開ですね」と言って、私のCT画像を見ながら「元々小さかったのに、これがまだ小さくなっているんだから、もうほとんど治っているようなもんじゃないですか」とまで言ってくれた。

西洋医学では、ガンを完全に消滅させようとする。切って、焼いて、薬を盛る。消滅させないことは「死」につながると考えているから。
これが統合医療になると全然違うんだなと思った。
ガンという局部を見ない。カラダ全体を見る。ひいてはココロにも何か原因があるという見方をする。
ガンを物理的に取り除くことに必死にならない。体や心、魂まですべてを見て、すべてのバランスを整えることを大事にする。
逆に、西洋医学を否定もしない。手術や放射線で取り除けるなら取り除く。だけど、それで終わりではなく、根本的な原因を探らなければ、本当の意味で健康にはならないと考えている。そういうことがだんだんわかってきた。
そして、一番大事なのは、医者や医療が私を治してくれるのではなく治すのは自分自身だということと、自分には治す力があることを信じること。その力を引き出すことが今の私に与えられたミッションなのだ。

午後からは瞑想。
瞑想の先生もこの結果をとても喜んでくれた。
ここに通うようになって早10ヶ月。瞑想のレベルもどんどん上がってきて、最近は少し難しい。
やりすぎて、片岡鶴太郎さんみたいになったらどうしよう(笑)

検査の結果を日本酒の雑誌のY編集長にも伝えた。4月号は創刊7年目にして私の記事が初めて1本も掲載されず(心配性のクライアントの意向で取材に行かせてもらえなかったから)、7月号はコロナで休刊。この1年でたった2蔵しか取材に行かせてもらうことができなかった。
だけど、治療もしていないこの秋からはもう少し行かせてもらえるんじゃないかと思っている。そんなことをYさんにお伝えした。

そうしたら、Yさんから「WELCOME BACK!」という文字の画像が送られてきた。文字の下に何か赤いものが切れているのが見えるので「ちょっと見えている赤いものは何ですか?」と尋ねると、「しょうがないな」というコメントと共に、画像の全貌が・・・。
なんとそれは、広島カープのユニフォームを着た黒田のイラストが描かれたTシャツの画像だった。赤いものはカープの帽子だったのだ。
(この人はユーモアのセンスが抜群だ)
私が爆笑の顔文字で返信すると、次に来たメッセージが泣けた。

「みんなが待ち望んでいる。本当に愛されるべき人」

うう・・・。カープファンに申し訳ないよ。こんな偉大な選手に例えてもらえるなんて。
それから続けて、「あなたの原稿が好きだからなぁ」とも言ってくれた。
ありがたくて、ありがたくて、何度もそのメッセージを読んでから寝た。

まずは健康になることだ。元気があれば何でもできる。
そして、この気持ちに、言葉に、きちんと返せるようなものを書いていきたい。
与えられた3か月を大事にしよう、体の声を聞きながら整えていこうと強く思った。