月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

社風ってある。

2012-08-31 | 仕事
東京から帰って来た。
今度はしばらく原稿に追われる。

何の取材に行っているかというと、某スーパーの社内報制作。
この仕事を貰えるようになって三年以上たつ。
最初に窓口を担当してくれていた人は一年前に代わった。
今は30才くらいの男性Sさん。
一年前までは普通に店舗で刺身とか作ってたのに、突然人事部へ異動。
社内報を担当することになった。

店舗をまわるときはずっとSさんの車。
店舗が郊外型で、車じゃないと移動が難しいのだ。
昨日も9時から17時までずっと車で取材先をまわった。

一年前、最初にSさんに会ったときは不安だった。
いい人だけど、おしゃべり上手というわけでもないし、いろんなことをそつなくこなすタイプでもない。
初めは私のほうが、こうやって取材するんですよ~とか、こんなふうに指示してくださいね~なんてリードするくらいだった。
前の担当者がシュッとしたキレ者でおしゃべり上手、気配り上手だっただけに、同じようにやってくれるのかなぁと心配していた。

それが、今回一緒にまわったら、すごくしっかりしている!
すっかりこの仕事にも慣れて、人事部の空気まで身にまとっていた。

先週と今週、2回も取材があって、朝から晩まで、かなり長い時間を二人で車移動した。
一番遠い店は片道一時間半。
ちょっとしたドライブだ。
お昼ごはんも一緒。
普段、人と話すことに何の不安も持たない私だが、さすがに前夜、「明日、車の中で何を話そう・・・」とネタぐりをしたくらいだった。

ほぼ初対面の仕事相手といきなり車で半日ドライブ(を4日間)。
結構おしゃべりに自信がある人でもしんどいし、人見知りとか無口というタイプの人にはほとんど拷問みたいな時間だろう。
でも、私の心配も杞憂に終わった。
意外に波長が合うのかな・・・気負いなくしゃべれるし、話題に困ることもなかった。
ふわっと人の話を吸収するというか・・・
とりあえず、楽しかった。

お昼は回転寿司に行った。
回転寿司経験も少ないうえ、夫以外の人と一緒に行ったことがなかったので、ちょっと緊張した。
14貫食べたのだけど、これは適当な量だろうかと後で気になった。
Sさんは私が食べるものと同じものしか注文しなかったので(私は回転寿司でも回っているのはあまり取らない)、私のペースに合わせて食べてくれていた。
もしかして女子の平均は8貫くらい?
まさかね・・・

ちょっとした気配りも前任者とそっくりになっていて、やっぱり「会社」というところはすごいなぁと思った。
「社風」という言葉があるけれど、良くも悪くも社員はみんな同じ空気を纏うようになる。
たぶん、合わない人は辞めていくので、淘汰されてよけいに似ている密度が濃くなっていくのだろう。
前任者も普通に店舗で精肉部門のチーフをやっていたような人で、毎日スーパーで肉を切っていたのだ。
でも最初に会った時にそれを聞いても信じられなかった。
人事部をやるために生まれてきたように思えたからだ。
そして、Sさんもまた、たった1年で、もう刺身を切っていたようには思えなくなった。
「すっかり人事部の人になりましたね。空気が同じ」と言うと、
「え、そうですか?本当だったら嬉しいですね」と言っていた。
順応したSさんもすごいけど、そのポテンシャルを見抜いた人事部の幹部もすごいなぁと思った。
たくさんの社員が店舗で働くのを見ていて、「こいつなら」と引き抜いてくるのだから。

まあ、そんなわけで今回の取材も楽しく過ごすことができた。
例によって、夜ご飯はまた社長から美味しいものをごちそうになった。

前にも連れて行ってもらったお店で、野菜とお豆腐がメインのヘルシーなコースが出る。
日本酒のラインナップもいい。
十四代と而今がある。


前菜はこんな感じ
この盛り付け方はあまり好きじゃないけどね・・・


これが「お造り」になる。
トマトの中に、湯葉と刺身と野菜が詰められていて、サラダ風に食べられる。

生麩と野菜を豆乳で煮込んだお鍋が出た後、焼き物。


天ぷらもあって、最後に3種類のお豆腐。
トマト、枝豆、紫芋の味。


食事とデザートで終了。

社長と、そのスーパーの総務の方と3人で行った。
社長は原発推進派なので、自分が知らないこともあり、勉強になる。
(私は脱原発派だが、仕事にイデオロギーを持ち込みたくないので黙っている)
3時間くらいいろんな話を聞いた。
歴史、経済、政治、原発、流通業界・・・
私が口を挟む隙はほぼない。

思想の違いはともかく、社長はすごいなぁといつも思う。
60歳を超えているのに、自分で取材もしまくっているし、英会話も通い、本もよく読み、とにかく勉強家だ。
足腰もシャキッとしていて歩くのが早いし、まったく疲れを見せない。
自分が人生で出会った人の中で一番バイタリティがあるのではないかと思う。

社長といつまで仕事をさせてもらえるのかはわからないが、この人と3年間、仕事をさせてもらえたということは、私にとって一つの財産だ。
いつも本当に心から感謝している。

私ももっと頑張らないといけない。
今日からシャキッと規則正しく生きようと、人生でもう何十回目になるかわからない決意をした

今日は風が涼しくて気持ちよい。
太陽が出ると暑いけれど、風の中にはもう秋を感じている。
昨晩は風があまりに冷たく寒いので、布団をしっかりかぶって眠った。
(久しぶりにうなされ、例によって大声で叫んで目が覚めたけど

これから夜までしっかり集中して原稿を書くぞ!
夜は、高校生クイズがある!
私はなぜか高校生クイズが好きでたまらないのだ。
普通のクイズ番組って自分も一緒に解答を考えたりするものだが、高校生クイズは問題すら何を言っているのかわからない。
もちろん答えもわからない。
聞いたこともないような単語もいっぱい出る。
それを平然と答える高校生が面白くて私のツボで、笑い転げて見ている。
また、アスリートのように頭を鍛えまくっている彼らの情熱にも感動する。

私は、人間の飛びぬけた能力というか、人間離れした技などを見るのがとても好きだ。
(中国雑技団とか・・・)
高校生クイズもそんな感じで見ている。(ヘンかな?)

まあ、今晩の放送を楽しみに、仕事をがんばろう!

酒のうた

2012-08-29 | 想い
今日も酔っ払っていたら、
帰って来た夫が、さだまさしの「関白宣言」ならぬ「アル中宣言」を歌えばどうかと言ってきた。
なので、即興で歌ってやった。

私より先に飲んではいけない。
私より多く飲んでもいけない。
アテは旨く作る。
酒は切らさず置く。
自分の好みでかまわないから。

忘れてくれるな
仕事のできない男に
飲ませる酒など何もないってことを。

(歌詞:かおり)


バカである

しかしながら、ちょっと酒の量が増えていくのが、さすがに気になるこの頃。
大丈夫かなぁ、私。

私は小説だけでなく、詩や短歌も好きなのだが、大人になって若山牧水が気になって仕方がない。
国語の教科書では
「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにもそまずただよふ」
なんて情緒たっぷりの歌を紹介していたが、彼はかなりの酒豪である。
その酒に関する歌がものすごくいい。
酒飲み同士、語り合いたい気分にさせられる。

「人の世にたのしみ多し然れども 酒なしにしてなにのたのしみ」
「それほどにうまきかとひとの問ひたらば 何と答へむこの酒の味」
酒好き丸出しの歌2首(笑)

「鉄瓶を二つ炉に置き心やすし ひとつお茶の湯ひとつ燗の湯」
酒飲みでもさすがのこの情緒!

「酒やめむそれはともあれながき日の ゆうぐれごろにならば何とせん」
めっちゃわかるわ~

私も替え歌じゃなくて、ちゃんとした酒の短歌でもつくろうかな

鰯、うまい。

2012-08-28 | 生活
土曜日はふみこの家へ行った。
マンションをリフォームしたので、その完成祝い。
うちの夫婦とあやととしくん、3家族でのパーティー(飲み会)。

おうちは見事に生まれ変わっていた。
リビングと2つの和室を全部まとめて大きなリビングにしたので、とにかく広い。
我が家は吹き抜けのおかげでごまかされて、なんとか広く見えるが、こちらはなんのごまかしもなく広くて開放的だった。
こだわったというキッチンの色や、洗面台も素敵だったし、
リビングのライトをたくさんのダウンライトにしているところもオシャレだった。
「お店みた~い!」とはしゃぐ私たち。

お料理もたくさん作ってくれて、全部美味しく食べた。
3時半から10時半までお邪魔していたのだが、7時間も一体何を話していたのやら・・・
いっぱい飲み食いして、楽しい時間だった。

その時、ふみこのダンナさんが釣りをする・・・という話になり、今度カワハギが釣れたらおすそわけしてくれるとのこと。
楽しみにして帰った。

すると、昨日の夕方、ちょうど駅から家へと歩いていると、ふみこから電話。
「カワハギじゃなくて、鰯なんやけど・・・」と、釣りたての鰯をお刺身にしてくれるというのだ。
帰り道だったので途中まで持って来てもらった。
(こういうとき、家が近いといいなぁと思う)

帰って少し仕事が残っていたので片付けて、日本酒と一緒にいただいた。
日本酒は北海道の酒蔵見学で買ってきたもの。



この鰯が、めっちゃうまい!
なんかうますぎてびっくりした。
やっぱり釣りたては違うなぁ・・・

鰯を捌くのも面倒だったろうに、きれいに小骨まで取ってくれていて、食べやすかった。
パクパク食べていたら、12時頃に夫が帰宅。
(「鰯あるよ~」とメールしたら、いつもより少し早く帰って来た)

真夜中に乾杯して、鰯をアテにちびちびと。
夫も「今まで食べた鰯で一番うまい!」と感動していた。

持つべきものは、釣り好きの夫がいる近所の友だなぁ(笑)

しかし、盛り上がりすぎて、また目覚めると午前4時・・・
床に転がって寝ていた

最近、自分のだらしなさに嫌気がさしている。
確か規則正しい生活をするために、1時までに布団に入ると言っていたのでは・・・?
それがいつの間にかまた2時過ぎて寝るか、こうやって酔っ払って床に転がったまま寝てしまうか、どちらかの生活に戻ってしまった

自己管理能力は高いと思っていたのだが、仕事でも最近はなんだかだらしない。
結局、仕事量が少なすぎるんだろうなぁ。
もっともっと追い詰められれば、おのずとテキパキ動けるはずなのに。

いろいろと反省中

明日からまた東京だ。
気を引き締めてがんばろう。

必殺パターン

2012-08-24 | 仕事
「忙しいな・・・」と思っていると、どんどん仕事が来てよけいに忙しくなるという、いつもの「必殺パターン」が始まった

1泊2日で2回東京に行って12名の取材と記事。
今日はこれから単発の求人サイトの取材と記事。
短い原稿が3本。
恐怖の200本キャッチコピー。
チラシの修正仕上げ。

10日間で全部やるのはきついけど、この夏もたっぷり1ヶ月はのんびりしたので足ならしにはちょうどいい。
まだ気分が完全には仕事モードにならず、4日目で既に予定より遅れ気味だが・・・

これくらいの仕事量がどーんと月にあと1回あればちょうどいいのになぁと思う。
それでもまだ10日遊べるやん

ホント、フリーで暇になるほど恐ろしいことはないなぁ・・・
仕事がキツいときの呪文はこれ。
「暇よりマシ!」
これで一気にやる気になる。

しかし、北海道旅行記を書けるのはいつなのか・・・


夏休み最後のビアガーデンで

2012-08-20 | 生活
夏休みが終わった。
8月後半は少し忙しい。
明日からいつもの仕事で東京出張。
別に単発でキャッチコピーの仕事も来た。
仕事が忙しいということは、私にとっては一番精神的に安定して幸せなことだ。
しばらくはこの感じが続くのかと思うと、それだけでホッとする。

昨日は、夫と一緒に京都にお墓参りに行った。
私の父方の祖父・祖母・叔母が分骨されて眠っている。
清水寺の近くの、とてもいい場所だ。

不思議なもので、結婚するまではたまにしか足を向けなかったのに、結婚してからは毎年必ずお墓参りに行くようになった。
それまでは深く感じていなかった「家族」のありがたみのようなものを実感したからかもしれない。
ありがたみ、というか、「自分も家族の一員なんだ」という確認みたいなものかな。
また、亡くなった人たちにいつも守られていることを感謝する機会でもある。

二年坂あたりから祇園までをうろうろして、夕方は「レストラン菊水」の屋上ビアガーデンに行った。
100年近く続く老舗で何度も前は通ってきたけれど、入ったのは初めて。
夏休みの終わりに、夏らしいことをしようと、あえてビアガーデンにした。

17時に入ったので、一番乗り。



まだ空は明るく、風が気持ちいい。
いつも見ている四条通りを上から眺めるのもなかなかよかった。

料理11品+飲み放題(2時間)で一人3000円程度。なかなかお得だ。
これは料理の一部。


やっぱり外で飲むビールは美味しい。
夫と夏休み最後の日に乾杯した。


途中で、予約のキャンセルが入ったのでもっといい席に案内してもらえた。
鴨川の上で眺めがさらにいい。


夫は堺の人間なので、京都なんてほとんど来たことがなかったのだが、今ではすっかり京都に馴染んでいる。
「三条をちょっと上がったところの・・・」とか、「寺町通りを・・・」なんて会話も普通に通じる。
私も遊びに行くのは京都が好きだ。
梅田に出るより断然近いし、勝手知ったるというか、美味しいお店もたくさんあるし。

菊水のビアガーデンもよかった。
お料理もビアガーデンにしては美味しかったし、店員の感じもいい。
とてもリラックスして楽しめた。

飲んでいる最中、夫が私に聞いた。
「かおり、最近なんか悩んでるやろ?わかってるねん。話してみー」

びくっとした。
なんでこの人にはわかってしまうんだろうな・・・

ポツポツ話していくうちに、涙が出た。
自分が一体何を書きたいのか。
これから何を書いて生きていきたいのか。
最近はずっとそのことばかり考えていた。

この間、仕事で悩んでいた日、2人から同時にメールが来たのだ。
一人はライターとしての大先輩。
「あなたが本当に書きたいものを見極めれば、自然に道はできていくと思います」といったことが書かれてあった。
もう一人は親友。
あなたが死んだ後も大事にしてもらえる文章を書かないと、あなたが死んだらそれでひっそり終了だよ、というようなこと。
両方ともとても嬉しく、心に迫るメールだった。
「ひっそり終了か・・・。イヤだなぁ」と、何度も思った。
そんな話を夫にした。

「もう一度小説を書いてみたら?でも、何かが降りてくるのを待ってたらあかん。そろそろ苦しんで書かないとあかん」
と夫は言った。

苦しんで書く、か・・・
ずっと私は「苦しんで書くもの」はウソだと思っていた。
取材記事でもそう。本当にいいものは取材している最中からドキドキして既に「生まれている」。
キーボードを思考の速さで打つだけでよかった。
そういうものが自分が書くものでは「本物」だと思っていた。
「さあ、書きましょう」とパソコンに向かってから考えてひねり出すようなものは「ウソ」だと思っていたし、自分が書きたいものでもなかった。
でも、「1日1行でも原稿用紙1枚でもいい。苦しんで苦しんで毎日書いていけば、必ず書き上がるから」と夫は言った。

自分はもうとっくに空っぽになってしまったと思っていた。
井戸は涸れ果てた、と。
それなのに、夫は井戸を掘れと言うのか?
苦しんで苦しんで掘り続けたら、また水が滾々と溢れるとでも?

今、私は昔よりずいぶんと精神が安定した。
だからもう書く必要などなくなったと思っていた。
なぜなら、書くという作業は、私自身を恢復させる唯一の手段だったからだ。
恢復したくて、自分の心の奥に向き合って書き続けた。
でも、それは10代終わりから20代前半のこと。
あれから15年近く経って、もう一度苦しみながら書く意味があるんだろうか・・・
でも、1作でいいから、40代の自分が何を書けるのか、試してみたい気持ちもある。
あの頃の私とは違うものが生まれるのか・・・。

まだ答えは出ないけど、とても有意義な時間だった。

90分で生ビールを4杯飲んだら酔っ払った。
私は40度のウイスキーをずーっと飲んでいられるけど、早いスピードでビールを飲むと必ず酔っ払う。
アルコールの分解速度が遅いので、ちびちびと長く飲むほうが向いているのだ。

帰りはなんだかもう苦しくて。
久しぶりに急性アルコール中毒みたいになった。
山崎の駅でタクシーに乗った。
はぁはぁ言いながら涙流して、ぼんやりする頭の中で、懐かしいな、学生のときみたいやな、と思った。
アルコールに弱い友達が、大学生の時に無理に飲まされて、帰ってから「死ぬ、死ぬ・・・」と悶えていたという話をふいに思い出した。
こんな感じなんだろうなぁと。