月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

すでに「鎌倉殿」ロス

2022-12-13 | 生活
12月も半ばに入り、いよいよ今年も終わりという感じがしてきた。
例年のように原稿に追われてはいるが、いつもと違うのは取材がないこと。
2社と業務委託契約を解消したので、いつもなら12月も取材がいろいろと入ってくるところ、それがなくなった。
ゆっくりと自分の体をケアしながら原稿が書けるのはいい。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がいよいよ次週で終わる。
すでに「鎌倉殿ロス」。

長年、大河ドラマを見続けているが、私個人としては歴代一位の面白さだった。
毎回45分があっと言う間。
終わった瞬間「え?もう終わり?」といつもつぶやいてしまう。特にこの2,3カ月はそうだ。

やっぱり三谷幸喜は天才だと思う。
前回の北条政子が御家人の前で演説するシーンは、本当にたまげた。
歴史的に知られているあの有名な演説。
「右大将の恩は山よりも高く、海よりも深い。さあ、名を惜しむものならば朝廷側に味方する武将を討ち、右大将の恩に報いるのです」云々。

あれをどう見せてくれるのかとワクワクしていたら、なんとなんと!!
あの名演説が「書かれたもの」とし、それをまずは政子が読み上げる。しかし、途中でそれを捨て、自らの言葉で語り出すのだ。

「捨てた!」と思った。
でも、それによって、この後の政子の生身の言葉がより強く御家人たちの心に響いたことがわかった。

うまいな~、三谷幸喜!

もう毎回毎回こんな名シーンの連続で、とにかく続きが楽しみで仕方ないわけで。
小栗旬演じる北条義時のダークっぷりも素晴らしい。
人の好かった伊豆の豪族の次男坊が、どんどん変わっていく。その変化が極端なんだけど、すっと受け入れられるのは、やはりキャラがしっかりしているからだ。
それに前回は、義時はやっぱり真面目すぎるだけなんだ、志半ばで死んだ兄と頼朝のおもいを一身に背負って、こんなふうに生きることしかできなかったんだと、そう思うこともできた。久しぶりに義時に同情できた。

しかし、いよいよ最終回。
以前、出演者のトーク特番を見ていたら、小栗旬も小池栄子も最終回の脚本が届いた時、かなり衝撃を受けたと話していた。2人ともすぐに三谷さんに「こんな最終回とは・・・!」と驚きと感動のメールを送ったらしい。
それを聞いてから、最終回を早く見たいような見たくないような、複雑な気持ちで過ごしてきた。

一体どうなるんだろう。どんな最終回なのか。
山本耕史演じる三浦義村のずるがしこい立ち回りも目が離せない。
それから、皆の希望である北条泰時(坂口健太郎)の行動も。

歴史小説というのは、歴史上の人物の「相場」を決める。
そんな言葉を聞いたことがある。
司馬遼太郎の「竜馬」がそうであったように。

小説家、脚本家としては、それが何よりの醍醐味なんだろうなと思う。
歴史の流れは自分で変えられないが、人物の行動の意味は自分自身で決めることができる。
本当に悪女だったのか、本当に忠誠を誓っていたのか、本当に裏切ったのか、本当に信頼していたのか。
そんな歴史上の疑問の答えを作者で決めることができ、それをあるひとつの「事実」として見られるのが歴史小説やドラマの面白さだ。
「事実だったかもしれない」と、見ている者にどれだけ納得させられるか。作り手の手腕が問われるところだろう。

そういう意味で、今回の鎌倉殿は大成功だったと思う。
やっぱり三谷幸喜、天才!