北海道人からみた関西圏の鉄道事情

関西圏の鉄道・その他についての諸々の雑感

石清水八幡宮が国宝に指定されてから、初めて同宮に行ってきました

2016年05月30日 | 特殊軌道
私は今月初め頃、2泊3日の日程で関西方面を旅行してきたのですが、その旅行での最終日には、京都府八幡市の男山に敷設されている男山ケーブル(正式名称は京阪鋼索線)を利用して、山上に鎮座する石清水八幡宮を参拝してきました。

男山ケーブルについては、過去にアップした以下の各記事でも取り上げておりますので、その詳細等はここでは省略致します。興味のある方は、以下の各記事も是非御一読下さい。
http://sky.ap.teacup.com/kansai/24.html
http://sky.ap.teacup.com/kansai/31.html
http://sky.ap.teacup.com/kansai/76.html
http://sky.ap.teacup.com/kansai/107.html


三大八幡のひとつでもある石清水八幡宮には、今まで国の重要文化財に指定されている文化財は多数ありましたが、国宝に指定されている文化財は全くありませんでした(戦前はあったらしいですが、それらは戦後、重文へ降格されるなどしていました)。
しかし、今年の2月、石清水八幡宮の本社十棟(本殿とそれに付随する建築物)や附棟3枚などが一括して国宝に指定され、それらは八幡市に於いても、初の国宝となりました。

そのため、京阪本線と男山ケーブルの八幡市駅や、石清水八幡宮境内には、同宮の国宝指定をお祝いする看板・ポスター・幟などがあちこちに掲示されており、男山ケーブルの車両にも、国宝指定を祝福するヘッドマークが掲げられていました。









石清水八幡宮の国宝指定を祝福するチラシも配布されていたので、そのチラシも貰ってきました。そして、そのチラシに、男山山上駅に設置されていた記念スタンプを押してきました。



面不動モノレール どろっこ

2016年05月20日 | 特殊軌道
私は今月初め頃、2泊3日の日程で関西方面を旅行してきたのですが、その旅行中、奈良県天川村・洞川地区の山中にある、関西最大級の規模を誇ると云われる「面不動鍾乳洞」を見学してきました。

年間を通じて約8℃に保たれているドーム状の洞内には、天井から鍾乳石が下へと伸び(1cm成長するのに約100年かかるそうです)、また、逆に地面からは石筍が上へと伸び(こちらのほうは1cm成長するのに約200年もかかるそうです)、洞内での効果的な照明の配置も相まって、全体が地下神殿のような幻想的な雰囲気を醸し出していました。




奥深いその山中にあるその面不動鍾乳洞へのアクセス手段として山肌に設置されているのが、今回の記事で紹介する「面不動モノレール どろっこ」です。
路線延長174m、高低差66m、乗車時間5分弱のこのモノレール(スロープカー)を利用しなくても、面不動鍾乳洞へ行く事は可能なのですが、徒歩で向うと15分程かかる事から(しかも上り坂なので歩くと結構疲れるみたいです)、実際には、鍾乳洞へ行く人はほとんどの人がこのモノレールを利用しています。







平成24年10月に全面リニューアルされたこのモノレールは、新しいだけあって振動も少なく乗車感覚はそれなりに快適なのですが、路線が山間の急斜面に敷設されているため(最大斜度33度、平均斜度20度)、乗っていると、やはりかなりの傾斜が実感出来ます。
ゆっくり進むので、いくら傾斜が急とはいえさすがにジェットコースターのような感覚とは違うのですが、それでも、どこかしら遊園地のアトラクションのような感覚もあり、個人的にはなかなか面白い乗り物だなと思いました(笑)。











路線は全線単線で、ポイントや側線などはありません。
トンネルもありませんが、下側の乗り場(特に駅名などは無いようです)にはホームとレールを丸ごと覆う屋根や壁が設置されているため、実質的にはここが車両の車庫も兼ねていると思われます。

在籍車両は、全体が丸太をイメージしたデザインの1編成(4人乗り×4両=16人乗り)のみですが、その編成は明確に前後が決まっているため(運転席は上り方向の先頭にあるのみで、客席も上り方向時に前に向く形で固定されています)、下る時は、そのままバックで下りてくる事になります。







なかなか面白い乗り物なので、皆さんも、もし天川村に行く機会があった際は、是非乗ってみて下さい!
ちなみに、乗車料金は、往復で大人500円、片道で大人300円です。

大阪モノレール延伸、府と東大阪市が合意し着工が事実上確定!

2015年07月25日 | 特殊軌道
今から約3年前の平成24年5月14日の記事では、大阪府の財政難から長らく凍結されていた、大阪モノレール線の門真市駅からの延伸計画がようやく解禁され、実現に向けて本格的な検討に入った、という事を報告しましたが、今月22日、その延伸事業の負担額について大阪府と東大阪市が大筋で合意し、ついに、今年度内に正式に事業化が決まる事となりました。



この延伸計画は、大阪モノレール線の現在の東側終端である門真市駅から、東大阪市の瓜生堂(うりゅうどう)まで南に約9km延伸するという計画で、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線、JR学研都市線、近鉄奈良線などと接続させるために、延伸区間には新たに4駅が設置されます。



延伸の総事業費は約1,050億円で、このうち国が407億円を、大阪モノレールを運行する大阪高速鉄道(府の第三セクター)が310億円をそれぞれ負担し、残る333億円を、府と東大阪市などが負担します。
東大阪市は、それまで費用負担に難色を示していたのですが、府との協議で、市が70億円(総事業費とは別にかかる駅周辺施設などの整備費用も含む)を上限に支出する方針を固め、これにより府と東大阪市は、延伸計画を事業化する事で合意するに至りました。
府は今後、大阪市など他の沿線自治体とも協議し、今のところ、着工は平成30年以降となる見通しです。

大阪府の松井知事は、今回の合意について、「東大阪や奈良から伊丹空港への利便性が高まり、府民全体の利益になる」「遅れたインフラ整備がようやく進む」と述べてその意義を強調し、一方、東大阪市の野田市長は、年内に府と同市の首長選が実施される事に触れた上で、「政治家同士の判断として今決めなければ事業が凍結されてしまうという危機感があった」と、方針転換の理由を述べました。


ところで、私の暮らす札幌にはモノレールはありませんが、札幌で初めての地下鉄・南北線の建設が決定する前には、札幌市内にもモノレールを建設するという案がありました。最終的には、それは廃案となって地下鉄の建設が決まったわけですが。
また、札幌市民にもまだあまり知られてはいませんが、現在は、地下鉄南北線の北側の終点・麻生駅と、鉄道空白地帯の石狩市を連絡する軌道系の交通手段として、モノレールもしくは新交通システムを建設するという案が検討されています。
ただ、この計画は石狩市側が主導しているものの、市の財政難などから、まだ本格的な検討には至っていません。

山陽新幹線の車窓から望む姫路市営モノレール廃線跡

2015年04月10日 | 特殊軌道
前回の日記で書いたように、私は今年1月の末頃に新大阪から岡山まで、山陽新幹線の500系「こだま」に乗車したのですが、その「こだま」が姫路駅を発車した直後、車中から、かつて姫路市内の上空を横切るように走っていた姫路市営モノレールの廃線跡が、はっきりと見えました。
空中索道の廃線跡というのは、全国的にみても結構珍しいのではないかなと思います。

山陽新幹線には今まで何度も乗ったことがあるので、この風景を見るのが初めてではありませんでしたが、モノレールの廃線跡を写真に撮ったのはこの時が初めてだったので、以下にその写真をアップさせていただきます。





昭和41年に開催された姫路大博覧会の会場への輸送機関という名目で開業した姫路市営モノレールは、浜松町~羽田空港間を走る東京モノレールに続き、日本で2番目に開業したモノレールであり、当時は「夢の乗り物」とも言われていました。
営業キロは1.63kmで、駅は、現在のJR姫路駅の北側に位置する「姫路駅」、公団高尾アパートなどが入居する複合ビルの3・4階部分にホームがある「大将軍駅」、博覧会の会場であった手柄山中央公園にある「手柄山駅」の、わずか3駅でした。
全線単線のその1.63kmの区間を、上り4分40秒、下り3分50秒で結んでおり、徒歩だと同行程は30分程度だったそうです。

この路線に続いて市内に環状線を建設し、最終的には日本海側の鳥取まで路線を延伸するという壮大な構想もありましたが、運行距離が短かったことや運賃が高額だったこともあって博覧会終了後は利用者が激減し、更に、モノレール反対派の新市長が誕生したり、モノレールの車両を製造した日本ロッキード・モノレール社の解散によって部品調達が困難になったことなども重なり、わずか8年で営業を停止し、昭和54年に正式に廃止となりました。

姫路市営モノレールは廃止されてから約35年(休止期間も含めると約40年)経ちますが、軌道桁の撤去等に莫大な費用がかかるため、一部の区間では橋脚や軌道桁が今もほぼ当時のまま残されています。

姫路市営モノレールについては以下の動画でも解説されておりますので、興味のある方はこちらの動画も併せてご覧下さい。



湘南モノレールからの正面展望風景

2014年05月12日 | 特殊軌道
今月の6~7日にかけて、1泊2日の日程で関東(主に東京・川崎・鎌倉・江の島方面)を旅行してきたのですが、その際、湘南江の島駅から大船駅まで、湘南モノレール江の島線(全線)に乗ってきました。
同線は、藤沢市の湘南江の島と鎌倉市の大船との間を結ぶ全長6.6km、全8駅、所用時間約14分の、全線単線(但し列車交換のため一部の駅構内のみ複線)の路線です。



湘南モノレールは、東京モノレールや大阪モノレールのようなレールに“またがる”タイプの跨座式ではなく、レールから“ぶらさがる”タイプの懸垂式で、この形式のモノレールは、日本国内では湘南モノレール、タウンライナーの愛称で親しまれている千葉都市モノレール、東京都交通局の上野懸垂線(上野動物園内の路線)、広島市安芸区のスカイレールくらいしか採用例がなく、日本では少数派の形式とされているモノレールです。

しかし懸垂式は、跨座式に比ると、走行中は左右の揺れが大きくなるというデメリットがある反面、カーブでは重心の移動にあわせて自動的に車体が傾くため速度制限が然程厳しくならないというメリットもあり、歴史的にはむしろ跨座式よりも古く、モノレールとして商業的に成功したのも懸垂式のほうが先であったといわれています。
懸垂式モノレールは線路が車両の屋根上にあるため、眼下に広がる見晴らしは跨座式よりも快適で、私個人としては、乗っていて楽しいのは跨座式よりも懸垂式です(まぁ、実際には跨座式も結構楽しんで乗っていますが・笑)。

下の動画・写真はいずれも、今回私が乗車してきた湘南江の島~大船間で、先頭車の車内(運転室のすぐ後ろ)から撮影した正面車窓です。
ちなみに、道路上空を外れてトンネルへと入る区間もありましたが、国内の懸垂式モノレールでトンネルがあるのは湘南モノレールだけらしいです。































下の写真2枚は、いずれも終着の大船駅で撮影した、湘南モノレールの車両です。車両は3両固定編成です。





湘南モノレールは、他のモノレールの路線同様、道路に沿ってその真上を走る区間が最も多いのですが、その一方で、地面すれすれで住宅の軒先をかすめて走ったり、山中の切り通しを走ったりトンネルもくぐったりし、また、丘陵地帯を貫いて走っているため高低差も結構あって勾配や道路の傾斜に沿って上に下に右に左にと、路線の風景や雰囲気にも大きな変化があるので、乗っていて飽きない(あくまでも私の主観ですが)とても楽しいモノレールです。

本線は全線単線なので、複線となる停車駅では必ず対向車と待ち合わせを行なうのですが、それもまた、都市交通機関であるモノレールの割にはローカルな風情が感じられて楽しいです!

天橋立でケーブルカーとモノレールとリフトに乗ってきました

2014年03月24日 | 特殊軌道
先週関西を旅行した際、関西在住の友人と一緒に、松島・宮島と共に日本三景のひとつとして名高い「天橋立」(あまのはしだて)を見に行ってきました。
天橋立とは、京都府宮津市の宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる、全長3.6kmに及ぶ砂州で、古代より奇勝・名勝として知られてきました。




天橋立には道が通っているため、さすがに自動車で走ることはできないものの自転車(レンタルサイクル)や徒歩でならその道を通ることができ、自転車の場合は約20分、徒歩の場合は約50分かかるそうなのですが、この日は小雨が降っていたため、自転車もしくは徒歩で天橋立を渡ることは断念し、私達は定期運行している船に乗って、天橋立南側の天橋立駅前から、天橋立北側の府中駅前まで一気に移動しました(乗船時間は12分)。

そして、府中駅前に着いた私達は、山麓の府中駅から、山上の傘松公園にある傘松駅まで、ケーブルカーに乗車しました。
このケーブルカーは丹後海陸交通(阪急阪神東宝グループ)のケーブルカー路線で、一般には「天橋立ケーブルカー」もしくは「傘松ケーブル」などと呼ばれています。



ちなみに、上の地図や下の写真(船のデッキから撮影しました)を見ればお分かりのように、このケーブルカーの路線に並行して、同区間にはリフトも併設されています(乗車時間はケーブルカーが4分でリフトが6分)。
通常はどちらも利用可能なので、例えば上りはケーブルカーを利用し、下りはリフトを利用する、といったことも可能なのですが、この日は雨天のため生憎リフトは営業しておらず、そのため私達は上りも下りもケーブカーに乗りました。



下の写真が、私達が乗車した天橋立ケーブルカーの車両です。
これは昭和50年にアルナ工機で製造されたもので、車体長は7.95mしかなく、国内のケーブルカーでは最も短い車両のひとつとされています。





下の写真は、天橋立ケーブルカーの車内から撮影した、上りの正面展望です。路線の途中から急に傾斜がきつくなっています。
なお、路線の全長は0.4kmで、高低差は130m、最急勾配は461‰、最緩勾配は78‰です。







下の写真は、山上の傘松公園から見た、天橋立と、天橋立ケーブルカーの路線です。ケーブルカーの路線の右隣には、リフトも写っています。
ちなみに、傘松公園から望む天橋立の景観は、天橋立が斜め一文字に見えることから「斜め一文字」といわれています。




そして、天橋立ケーブルカーで山麓の府中駅に下りて、再び船に乗り、天橋立南側の天橋立駅前へと戻った私達は、今度は、天橋立駅前からモノレール(スロープカー)に乗って、文珠山の山上にある天橋立ビューランドへ行きました。



なお、天橋立北側の、山麓から山上(傘松公園)へのルートには、ケーブルカーの路線とリフトがそれぞれ設置されていましたが、天橋立南側の、山麓から山上(天橋立ビューランド)へのルートには、モノレールとリフトがそれぞれ設置されています。
上の地図では、左側の路線がリフトで、右側の路線(山麓の先端部で少しだけ左に曲がっている路線)がモノレールです。

こちらのルートでは、先程とは違って、小雨でも関係無くリフトが運行されていたので、今度は、上りはモノレール(所要時間約7分)を、下りはリフト(所要時間約6分)を利用しました。
ちなみに、天橋立ケーブルカーは正式な鉄道の扱いでしたが、こちらのモノレールは天橋立ビューランドの遊戯物扱いのため、山上や山麓の各乗り場には、特に駅としての名称は付いていません。



下の写真は、山上の天橋立ビューランドから見た、天橋立と、モノレールの車両です。
ここから望む天橋立の景観は、龍が天に登る姿に見えることから「飛龍観」といわれています。



天橋立ビューランドから天橋立の景観を楽しんだ後は、リフトに乗って文珠山を下りました。
下の写真は、下りのリフトに乗っている時に撮影した、山上へと向かっているモノレールです。




天橋立の美しい景観と、いろいろな乗り物を、満喫することができました!

千葉都市モノレール 大澤社長の挑戦

2014年02月05日 | 特殊軌道
先日勤務先で、物品を包む緩衝材の一部として各地から送られてきて溜まっていた古新聞を整理していたところ、たまたまその中にあった「毎日新聞」の記事が目にとまりました。
平成25年12月10日付本紙の「発言 地方から」というコーナーに掲載されていた、大澤雅章 千葉都市モノレール社長による「沿線活性化で街づくり」と題した記事でした。





平成21年6月3日の記事平成23年2月28日の記事にも千葉都市モノレール車両の写真を複数アップしましたが、私は以前から同モノレールには注目していたので、その私にとっては、なかなか面白い記事でした。
千葉都市モノレールは関西圏の鉄道ではありませんが、公募により就任した社長による街づくりへの意気込みと取り組みとして、興味深い内容だったので、以下にその記事の全文を転載・紹介させていただきます。


千葉市内を走る「千葉都市モノレール」が、今春、開業25周年を迎えた。懸垂型モノレールとして世界最長の15.2キロの路線を持ち、年間約1600万人を輸送する「市民の足」だが、団塊世代の定年退職で通勤定期が売れなくなり、経営は厳しさを増している。都市部の公共交通が将来も存続するには、行政や民間企業と積極的にコラボレーションし、沿線に人を呼び込む努力が必要と考えている。

千葉都市モノレールは1988年、千葉県と千葉市が出資する「第三セクター」として開業がしたが、利用客が当初の予想を下回り赤字に陥った。2006年に債務の株式化などで約300億円の累積赤字を解消し、県が事業から撤退。同時に資産の一部を市に移譲して減価償却費を圧縮し、構造的な赤字を抜け出せた。いわば一度「倒産」した会社だ。

私が10年6月に民間公募で社長に就任した時、社員は安全と時刻表を守ることにすごく真面目で、輸送業としての健全度はかなり高いと感じた。ただ、経営再建を経験した社員には萎縮している雰囲気があり、活気を失いつつある沿線の変化に意識が追いついていないように思えた。
私はお客様と同じ目線に立ち、新しいことに挑戦する企業風土に変えたかった。就任当初から「社長の机」と題して週1回、各駅の利用客と直接対話するようにした。今でも月2回、千葉駅と都賀駅で続けているが、駅に障害者などが使いやすいユニバーサルデザインへの配慮がなかったことに気づき、改善につなげたこともある。

こうした外部との協力のうち、営業面で最も成功したのは千葉市を舞台にしたテレビアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」だ。3年前に始まった深夜放送を見たお客様が「モノレールが取り上げられている」と会社に連絡してくれた。いわゆる「萌え系」のアニメではあるが、私は熊谷俊人千葉市長とともに原作のライトノベルを読み「普通の中高生の兄妹と友達が織りなす青春群像の物語」だと感じたことからコラボを進めた。今年3月からアニメのイラストをラッピングした特別車両を運行すると、定期券以外の利用客が約2万人増えた。市外から多くのファンが訪れ、今年の「俺の妹」関連の収入は、少ない原価で約4000万円に上る見通しだ。経常利益が約4億円の会社にとって、大きかった。

補助金を出す自治体の財力はどこも厳しい。公共交通は自助努力を突き詰めなくてはならない時代だ。千葉都市モノレールは各駅から約1.5キロの沿線に、市人口の3分の1に当たる約30万人が住む。沿線人口を簡単に減らさない努力が重要だ。
昨年2月、団地の空き家に入居してもらうなどの沿線活性化のアイデアを考える勉強会を市職員らと設立した。地元で若者の起業などを支援する活動にも個人として関わっている。モノレール会社の社長の域を超え、まさに街づくりをやっている思いだ。
【構成・田中裕之】



ちなみに、この記事の末尾に記されていた大澤社長の経歴によると、大澤社長は千葉県柏市出身、56歳で、千葉大園芸学部を卒業した後、交通や都市計画のコンサルタント会社役員などを経て、民間公募で平成22年6月から社長に就任されたそうです。







鞍馬山鋼索鉄道

2013年11月18日 | 特殊軌道
今月の13日から15日にかけて、私は2泊3日の日程で、大阪・京都方面を旅行してきました。
京都では、叡山電鉄のターミナル・出町柳から、叡山電鉄鞍馬線の終点・鞍馬行きのデオ900形電車「きらら」に乗って鞍馬へと行って来ました。

そして鞍馬に着いた私は、同駅から徒歩3~4分程の場所にある鞍馬寺へと向かい、同寺境内で、鞍馬山麓の山門駅から山中の多宝塔駅間を走るケーブルカー「鞍馬山鋼索鉄道」に乗ってきました。
鞍馬山鋼索鉄道は、路線距離が僅か0.2km(乗車所要時間約2分)の、日本一路線距離が短い鉄道でもあります。





このケーブルカーは、牛若丸や鞍馬天狗の伝説などで知られる鞍馬寺への参詣者の利便を図るため、宗教法人鞍馬寺が境内の鞍馬山で運行しているケーブルカーで、鉄道事業法による許可を受けた地方鉄道としては全国唯一の、宗教法人が運営している鉄道です。

開業当初は、普通の鋼製レールと鉄輪を使っており、軌間は762mmで、架線(照明、前照灯、車内放送、前窓ワイパー用であり動力用ではありません)も屋上にありましたが、その後大改修が行われ、現在は、H型鋼材の軌間800mmのレールをゴムタイヤで走行する方式となっており、架線も地上(線路脇)に移設されています。









高低差は89mで、全線単線、車両は1両のみの鉄道で、行き違い設備はありません。
客車の走行軌道直下の溝に敷設されたレール上を、バランスを取るための重り台車が走行する、立体釣瓶式とでもいう方式になっており、鉄道という形態を取りながらもそのシステムはどちらかというと斜行エレベーターに近いといえます。
下の写真中央に写っているのが、客車の直下を通過するその重り台車です。



ちなみに、鞍馬山鋼索鉄道を運行している鞍馬寺は、宝亀元年(770年)もしくは延暦15年(796年)に創建したと伝わる洛北有数の古刹で、当初は真言宗の寺院でしたが、12世紀に天台宗に改宗し、長らく天台宗の寺院として活動した後、昭和24年に天台宗から独立しました。現在は、鞍馬弘教総本山鞍馬寺を名乗っています。

大阪モノレール、門真市からの延伸案検討がようやく解禁!

2012年05月14日 | 特殊軌道
大阪モノレールの路線延伸については、平成18年11月15日の記事で、同モノレールの支線に当たる彩都線での阪大病院前~彩都西間の延伸・開業を紹介させていただきましたが、今月に入ってから、今度は同モノレールの本線に当たる大阪モノレール線で、路線延伸の具体的な検討が始まったことがニュースとして報道されました。

この延伸案は、大阪モノレール線の南側終端の門真市駅(京阪本線と接続しています)から、近畿自動車道に沿う形で路線を南に延ばし、近鉄けいはんな線の荒本駅、もしくは近鉄奈良線に新設する駅(八戸ノ里駅~若江岩田駅間)に接続させるという案で、最終的には、そこから更に南進して南海の堺市駅まで延ばすルートも想定されているようです。



もっとも、堺市までの延伸は2050年の完成を目標としており、現時点では現実的とは言い難いですが(2045年までに東京~大阪までの全線開業を目指すリニア中央新幹線の完成よりも更に先の話です)、近鉄けいはんな線の荒本駅までの延伸なら、現在終点の門真市駅からだと約6kmの路線新設で済むので、直ちにそれが実行できるかどうかは未知数でも、夢物語とまでは言えません。

以下に、「やっと“解禁”、大阪モノレール南へ延伸 大阪空港へ利便向上」というタイトルで今月9日に産経新聞にアップされた記事を転載させていただきます。この延伸案の詳細についてはこの記事を御参照下さい。

大阪府北部を走る大阪モノレールについて、大阪府が門真市駅以南の延伸構想の実現を目指し、本格的な検討に入ったことが8日、府関係者への取材で分かった。東大阪市の近鉄奈良線までの約8.7キロの延伸を想定。奈良方面や府東南部から大阪(伊丹)空港へのアクセスが向上する。府の担当者は「大阪市内を含めた府北部を環状に結ぶ鉄道網ができ、利便性が飛躍的に高まる」と、利用客の大幅増にも期待を寄せる。大阪府市統合本部などでも議論し、予算化を目指す方針。

大阪モノレールは、府などが出資する第三セクター「大阪高速鉄道」(同府豊中市)が運行し、レールや駅など施設の設置は府が行ってきた。平成16年に国の近畿地方交通審議会の答申で、東大阪市までの延伸構想が打ち出されたが、府は財政難などを理由に、本格的な検討をせず、構想は事実上凍結されていた。
府の想定によると、門真市駅から近鉄奈良線(八戸ノ里駅-若江岩田駅間)まで約8.7キロを延伸する場合、総額約900億円の事業費が必要になると試算している。このため、近鉄けいはんな線荒本駅までの約6キロの延伸を目指す案もある。

大阪モノレールは、19年度に支線の彩都(さいと)線が阪大病院前-彩都西まで延伸し、利用者は、前年度比で約200万人増加。翌年度以降は3600万人台の利用者数で推移している。
府は深刻な財政難に陥っているが、モノレールを運営する大阪高速鉄道は、13年度から黒字に転換、22年度末には約12億円の黒字になっている。10年度末に約650億円に上っていた長期借入金も、22年度末には約227億円まで減らしている。
延伸に伴う施設工事は、従来通り府の予算で賄うことになる見通しだが、同社の黒字も生かせば、資金調達が可能になると見込んでいる。

延伸には、松井一郎知事も前向きな姿勢を示しているといい、具体的な事業費のほか、近鉄線などとの接続でどの程度利用客が増加するかなど詳細な調査もする方針にしている。


…とのことですが、今回のニュースに対しては、歓迎や期待を示す意見がある一方で、ネット上では意外と冷めた意見も目立っています。以下、某掲示板からの転載です。

「伸びる延びるといわれ続けて早20年」
「運賃高すぎ」
「阪急の新大阪乗り入れもままならんのに」
「そのうち淡路島まで行くな」
「何十年かかるのさ…」
「2050年ワロタw」
「これは無駄な公共事業の見本ですか?」
「モノレールを堺まで伸ばすのは最初の計画どうりやん。ずっと凍結されてたけど」
「過去に戻レールを作ってくれ」
「千里中央に行く用事を思いつく奴は天才」
「こんな実現できるか分からないものはいいから早くおおさか東線完成させろ」
「伊丹から堺まで乗ったら何分かかるんだろうな。90分くらいかかりそうだな」
「すでに世界一長いのにさらに伸ばすのか。無敵だな」

大阪モノレールの延伸が本当に実現するのかどうか、府の財政等を考えると現実にはかなり厳しいものがありますが、しかし、一時は恐らくほとんどの人達が「本当に実現するのか?」と半ば諦めていた阪神なんば線が実際に開業したという実例もあるので、この延伸計画の今後の動向については、私もしっかりと見届けたいと思っています。

ニュートラムの車両基地

2012年04月28日 | 特殊軌道
下の写真は、大阪市住之江区南港北にある地上55階建ての超高層ビル「大阪府咲洲庁舎」(この写真を撮影した当時の名称は大阪ワールドトレードセンタービルディング)の展望台から私が撮影した、ニュートラム(南港ポートタウン線)の車両基地・検車場の全景です。



今から10年程前に撮影した写真ですが、こうして改めて見ると、一般の鉄道の車両基地とは構内路線の配置がかなり異なっていて、なかなか興味深いです。

下記URLのブログ記事には、構内路線の一部の拡大写真が掲載されており、路線の分岐点(ポイント)や、一般の鉄道では不可能な急カーブなどが確認できます。
http://bluestyle2.livedoor.biz/archives/51939884.html

以下は、YouTubeに投稿されていた、構内路線を走行する車両からの正面車窓風景です。通常はまず見ることができない景観なので、この動画もなかなか興味深かったです。