京阪は先月25日、寝屋川車両工場で静態保存している60形車両、通称「びわこ号」を、40年ぶりに走行可能な状態に復元すると発表しました。エイプリルフールの日にこういう記事を書くと何だかウソ臭いですが、これは本当のニュースです(笑)。
下の写真が、今から8年程前に私が寝屋川車両工場で撮影してきた、その60形車両です。
60形は、大阪の天満橋と滋賀の浜大津の間を72分で結ぶ特急として昭和9年に運行を開始した、丸みを帯びた流線型スタイルの車両で、現在は線路が分断され繋がっていない京阪本線と京津線を直通し(三条駅が地上駅だった頃は同駅構内で両線は繋がっていました)、浜大津では琵琶湖を航行する船と連絡していたことなどから、一般には「びわこ号」の愛称で親しまれていました。
また、この車両は日本初の連節車(2両の車体の間を1つの台車で支える構造)としても知られていました。京津線には半径の小さなカーブがあるため走行できる車両の幅や長さに制限があり、京阪本線から従来の車両による直通乗り入れ難しかったため、東山や逢坂の山越えなどの急勾配や急カーブに対応するため連接構造が採用されたのです。
それ以外にも、鉄道規格の京阪本線と軌道(路面電車)規格の京津線を直通するため、高さの異なる両線それぞれのホームに対応するよう大きさの異なる乗降口扉が2種類設置されたり、屋根の上には京阪本線用のパンタグラフと京津線用のポールの2種の集電装置が装備されるなど、60形はかなり際立った特徴のある車両でしたが、昭和45年には現役を引退し、昭和55年からは「ひらかたパーク」に、平成12年からは寝屋川車両工場で静態保存されていました。
ちなみに、昨年は経済産業省の近代化産業遺産に認定されました。
今回発表された、この60形の復活プロジェクトは、今年開業100周年を迎える京阪の沿線価値向上をめざす取り組みと、来年市制施行60年を迎える寝屋川市の「まち」のイメージアップ戦略がほぼ一致することから、京阪と寝屋川市の両者が連携してスタートさせるもので、まずは動力部を製造したり必要な車両部品を集めるなどして寝屋川車両工場や同
車庫敷地内での走行を目指し、その後、5年以内にイベント列車などとして京阪本線での走行を目指すとしています。
京阪線系統と大津線系統は線路が繋がっていないので、陸送でもしない限りこれは実現不可能なことですが、個人的な“夢”を言えば、京阪本線だけではなく、京津線や石山坂本線でも60形が走る姿を是非見てみたいです。
琵琶湖沿岸の大津線系統の線路で走るほうが、より「びわこ号」らしい気がするので。