阪急電鉄が筆頭株主であり、阪急阪神ホールディングスの連結子会社で阪急阪神東宝グループの一社でもある「北神急行電鉄株式会社」は、昨年3月29日の記事で詳述した事情により、明日(6月1日)を以て、神戸市に譲渡されます。
それに伴い、北神急行電鉄の所有路線である北神線(六甲山を南北に貫いて、新神戸駅と新神戸駅と谷上駅とを結ぶ、1駅間だけの鉄道線)は明日から、昭和63年の開業以来ずっと相互直通運転をしてきた神戸市交通局に移管され、「神戸市営地下鉄の北神線」となります。
北神急行の所有車両である7000系電車も、全車が神戸市交通局に移籍する事になります。
というわけで、今日は事実上、北神急行最後の日です。
近年は全国的に、鉄道を含む様々な公営事業が民営化される傾向にありますが、今回のケースはそういった昨今の流れとは真逆で、第三セクターでもない純然たる民間の株式会社が公営化されて市営になるという、非常に希有な事例です。しかし明日からは早速、北神線を利用する人達は、この公営化のメリットを享受する事になります。
北神線の経営が変わる明日以降も、北神線と、神戸市営地下鉄の西神・山手線(新神戸~三宮~西神中央)との直通運転は当然そのまま継続されるのですが、公営化に伴いこれら全線の事業者が同一となるため、今まで2事業者をまたいでいた谷上~三宮間の運賃が、550円から280円と、ほぼ半額に値下げされるのです。
これは、劇的ともいえる値下げですよね!
以下の写真2枚のうち、1枚目は、昨年7月に市営地下鉄の湊川公園駅で私が撮影した北神急行7000系電車、2枚目は、平成20年6月に新神戸駅で私が撮影した北神急行7000系電車です。
神戸市はこの7000系電車について、令和5年度を目途に全編成を更新するとしているため、北神急行を象徴する存在だったこの7000系電車も、あと3年程で全車が消える事になります…。
北神急行電鉄という会社は無くなりますが、北神線自体は、市営地下鉄と一体化して今後も運営が継続されます。引き続き、今後の北神線にも注目していこうと思います。
ちなみに、明日は谷上駅で北神急行から神戸市交通局への引き継ぎ式が行われるそうですが、もし北神急行という法人がその時点で既に消滅していたとしたら、神戸市への法的な移転も出来なくなるため、厳密には、北神急行電鉄は明日も存続しており、本日を以て完全に消滅するというわけではないようです。
もっとも、それはあくまでも形式であって、実質的には今日が北神急行電鉄最後の日と言って、ほぼ差し支えないとは思いますが。