北海道人からみた関西圏の鉄道事情

関西圏の鉄道・その他についての諸々の雑感

京阪電車初のミニ博物館が枚方にオープンします

2014年02月12日 | 博物館・記念館等
京阪からの発表によると、京阪は、大阪府枚方市の樟葉駅前に構える商業施設「KUZUHA MALL」(くずはモール)を、3月12日に改装オープンするとのことです。
店舗数は、改装前の175店舗から236店舗に増え、営業面積は1.4倍の7万2千平方mに拡大し、大阪府下では最大級のショッピングセンターに生まれ変わることになります。

そして、くずはモールのこのリニューアルオープンに合わせ、京阪はモール内に、京阪電車のミュージアムゾーン(ミニ博物館)を開設します!
「テレビカー」として長年親しまれ昨年3月に引退した旧3000系特急電車の実物車両(先頭車1両)を施設の目玉として展示することから、このミュージアムゾーンは「SANZEN―HIROBA」と命名されることになりました。





展示される3000系電車では臨場感あふれる運転体験を楽しむことができ、運転席での操作に合わせて前方と右側面のモニターに車窓の風景が映し出され、モーターや機器の音も流れて走行中の様子が再現されるそうです。
他にも、京阪沿線のジオラマや、京阪全線全駅や歴史を紹介するパネルなどを設置され、京阪電車としては、史上初の常設ミュージアムとなります。

これは、見に行かねば!!

千葉都市モノレール 大澤社長の挑戦

2014年02月05日 | 特殊軌道
先日勤務先で、物品を包む緩衝材の一部として各地から送られてきて溜まっていた古新聞を整理していたところ、たまたまその中にあった「毎日新聞」の記事が目にとまりました。
平成25年12月10日付本紙の「発言 地方から」というコーナーに掲載されていた、大澤雅章 千葉都市モノレール社長による「沿線活性化で街づくり」と題した記事でした。





平成21年6月3日の記事平成23年2月28日の記事にも千葉都市モノレール車両の写真を複数アップしましたが、私は以前から同モノレールには注目していたので、その私にとっては、なかなか面白い記事でした。
千葉都市モノレールは関西圏の鉄道ではありませんが、公募により就任した社長による街づくりへの意気込みと取り組みとして、興味深い内容だったので、以下にその記事の全文を転載・紹介させていただきます。


千葉市内を走る「千葉都市モノレール」が、今春、開業25周年を迎えた。懸垂型モノレールとして世界最長の15.2キロの路線を持ち、年間約1600万人を輸送する「市民の足」だが、団塊世代の定年退職で通勤定期が売れなくなり、経営は厳しさを増している。都市部の公共交通が将来も存続するには、行政や民間企業と積極的にコラボレーションし、沿線に人を呼び込む努力が必要と考えている。

千葉都市モノレールは1988年、千葉県と千葉市が出資する「第三セクター」として開業がしたが、利用客が当初の予想を下回り赤字に陥った。2006年に債務の株式化などで約300億円の累積赤字を解消し、県が事業から撤退。同時に資産の一部を市に移譲して減価償却費を圧縮し、構造的な赤字を抜け出せた。いわば一度「倒産」した会社だ。

私が10年6月に民間公募で社長に就任した時、社員は安全と時刻表を守ることにすごく真面目で、輸送業としての健全度はかなり高いと感じた。ただ、経営再建を経験した社員には萎縮している雰囲気があり、活気を失いつつある沿線の変化に意識が追いついていないように思えた。
私はお客様と同じ目線に立ち、新しいことに挑戦する企業風土に変えたかった。就任当初から「社長の机」と題して週1回、各駅の利用客と直接対話するようにした。今でも月2回、千葉駅と都賀駅で続けているが、駅に障害者などが使いやすいユニバーサルデザインへの配慮がなかったことに気づき、改善につなげたこともある。

こうした外部との協力のうち、営業面で最も成功したのは千葉市を舞台にしたテレビアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」だ。3年前に始まった深夜放送を見たお客様が「モノレールが取り上げられている」と会社に連絡してくれた。いわゆる「萌え系」のアニメではあるが、私は熊谷俊人千葉市長とともに原作のライトノベルを読み「普通の中高生の兄妹と友達が織りなす青春群像の物語」だと感じたことからコラボを進めた。今年3月からアニメのイラストをラッピングした特別車両を運行すると、定期券以外の利用客が約2万人増えた。市外から多くのファンが訪れ、今年の「俺の妹」関連の収入は、少ない原価で約4000万円に上る見通しだ。経常利益が約4億円の会社にとって、大きかった。

補助金を出す自治体の財力はどこも厳しい。公共交通は自助努力を突き詰めなくてはならない時代だ。千葉都市モノレールは各駅から約1.5キロの沿線に、市人口の3分の1に当たる約30万人が住む。沿線人口を簡単に減らさない努力が重要だ。
昨年2月、団地の空き家に入居してもらうなどの沿線活性化のアイデアを考える勉強会を市職員らと設立した。地元で若者の起業などを支援する活動にも個人として関わっている。モノレール会社の社長の域を超え、まさに街づくりをやっている思いだ。
【構成・田中裕之】



ちなみに、この記事の末尾に記されていた大澤社長の経歴によると、大澤社長は千葉県柏市出身、56歳で、千葉大園芸学部を卒業した後、交通や都市計画のコンサルタント会社役員などを経て、民間公募で平成22年6月から社長に就任されたそうです。