今月はいろいろと忙しくて、前回アップした記事から一ヶ月以上も更新が滞ってしまいました。スミマセン…。
私は今月上旬、三重県伊勢市で開催された4泊5日の研修を受けるため、札幌から名古屋経由で伊勢へと行ってきたのですが、研修前日(札幌から伊勢への移動日)は職場からお休みを貰っていたため、折角なのでこの機会を利用して、今年3月に名古屋市港区金城ふ頭に開館したばかりの、JR東海が運営する鉄道保存展示施設「リニア・鉄道館」を見学してきました。
遅ればせながら、今回はこの件について報告させて頂きます。
リニア・鉄道館は、『
現在の東海道新幹線を中心に、そこに至るまでの経緯、次世代の超電導リニアまでの展示を通じて「高速鉄道技術の進歩」を紹介します。鉄道が社会に与えた影響を、経済、文化および生活などの切り口で学習する場を提供します。模型やシミュレータ等を活用し、子どもから大人まで楽しく学べる空間とします』というコンセプトのもと、平成21年8月に着工し、今年3月に開館しました。
JR東海が保有する鉄道車両39両とバス1台が保存・展示されている他、各種鉄道関係資料や、日本最大級の鉄道ジオラマ(国内では、京都の
嵯峨野観光鉄道ミュージアムに展示されているジオラマの次に大きいジオラマらしいです)が展示され、また、体験設備としてかなり本格的な鉄道運転シミュレータも複数設置されています。
以下に、特に私の印象に残った車両や館内の風景等を紹介させていただきます。
▲ C62形式蒸気機関車
日本最大・最速の旅客用大型蒸気機関車で、高速鉄道のシンボルとしてエントランスホールに展示されている3両の車両のうちの1両です。
C62は、貨物用として製作されながら余剰となっていた既存のD52形式蒸気機関車のボイラーを流用して、昭和23年から総計49両が製造されました。この17号機は、昭和29年に、木曽川橋梁の強度試験で129km/hという、狭軌の蒸気機関車として世界最高速度を記録しました。
ちなみに、リニア・鉄道館には、蒸気機関車はこの他に2両展示されています(お召し列車も牽引した「C57-139号機」と、軽便鉄道用の「ケ90」です)。
▲ 955形式新幹線試験電車 & 超電動リニアMLX01-1
高速鉄道のシンボルとしてエントランスホールに展示されている3両の車両のうちの2両で、手前が955形式新幹線試験電車(通称:300X)、奥が超電動リニアMLX01-1です。
300Xは、最新・最良の高速鉄道システムを追求するため平成6年にJR東海が製作した6両編成の試験電車で、7年間にわたり約600回の試験運転を実施し、高速化のための様々な課題を克服するためのデータ収集を行い、平成8年には、電車方式では当時の世界最高速度となる443km/hを記録しました。
MLX01-1は、平成7年に製造された、磁力により車体を浮上させて走る超電動リニアで、平成15年には山梨のリニア実験線で581km/hという、鉄道による世界最高速度を記録しました。
▲ 0系新幹線電車 & 100系新幹線電車 & 300系新幹線電車
かつて東海道新幹線で主役として活躍した車両たちで、右側から順に、0系21形式新幹線電車、100系123形式新幹線電車、300系322形式新幹線電車です。
0系は、世界で初めて210km/hの営業運転を行った、新幹線の代名詞ともいえる車両で、昭和39年の東海道新幹線開業から20年以上に亘って総計3,216両もが製造され、“シンカンセン”の名を世界に広めました。東海道新幹線では平成11年まで使用されました。
100系は、0系の後継車として、東海道新幹線開業から21年後の昭和60年に営業運転を開始し、平成4年までに1,056両が製造されました。編成には2階建て車両も組み込まれており、この展示車両も、先頭車のすぐ後ろに、8号車として使われていた2階建ての食堂車を連結しています。
300系は、0系、100系に次ぐ3代目の東海道新幹線電車として、270km/h運転を実現するために開発されました。この電車は、平成4年から営業運転を開始した「のぞみ」用の300系量産型電車に先立って、平成2年に製造された、300系先行試作車です。
▲ 車両展示エリアのほぼ全景
2階まで吹き抜けになっているこのエリアには、新幹線や在来線などで活躍した、32両の鉄道車両がV字配列で展示されています。いずれも、それぞれの時代で主役として活躍してきた鉄道車両たちです。
ちなみに、一番手前の車両は、大正12年にアメリカから輸入されたED11形式直流電気機関車で、そのすぐ後ろは、イギリスから輸入されたED17形式を改造して誕生したED18形式直流電気機関車です。
▲ クハ381形式電車
曲線区間を通過する際に車体を内側に傾けることで、より高速の運転を可能にした「振り子式」システム(曲線通過速度をそれまでより25km/h向上させました)を初めて採用した特急形電車で、昭和48年に、名古屋~長野間の特急「しなの」としてデビューしました。
▲ キハ82形式気動車
昭和36年から運転を開始した特急型気動車キハ82系の先頭車です。特急車両に相応しい高い信頼性と優れた居住性を備え、瞬く間に全国の非電化区間に進出し、特急列車の運転網を構築しました。
▲ EF58形式電気機関車
昭和21年から製造された旅客用直流電気機関車で、昭和27年製造の後期型から流線形車体が採用され、のちに前期型も流線形車体に改造されました。
EF58は戦後の花形機関車として活躍し、東海道本線の全線電化完成時には、特急「つばめ」「はと」を牽引し、その後はブルートレインなども牽引しました。
この157号機は、晩年は飯田線などで使われ、廃車時は新標準色(青色)でしたが、現在は登場時の塗色に復元されています。
▲ ホジ6005形式蒸気動車
蒸気動車とは、車体の片側に蒸気機関車と同様の走行装置(蒸気機関)を供え、蒸気機関車と客車の機能を1両に集約して、1両だけでの運転を可能にした車両です。
蒸気動車は明治末期からローカル線で使用され、このホジ6005は、大正2年~昭和18年まで、主に関西本線などで使用されました。国内に現存する唯一の蒸気動車といわれています。
リニア・鉄道館は、全国的にお祝い事の自粛ムードが蔓延していた時期(
東日本大震災発生の3日後)に開館したため、あまり積極的な広報活動を行っておらず、どちらかというとひっそりとオープンした感じですが、実際には、さいたま市大宮区の
鉄道博物館、大阪市港区の
交通科学博物館、京都市下京区の
梅小路蒸気機関車館、群馬県安中市の
碓氷峠鉄道文化むら、北海道小樽市の
小樽市総合博物館、北九州市門司区の九州鉄道記念館など国内有数の巨大な鉄道ミュージアムと比べても、それらに優るとも劣らない、大変立派な施設です。
名古屋へ行く機会がありましたら、是非ここへも訪れてみて下さい!