北海道人からみた関西圏の鉄道事情

関西圏の鉄道・その他についての諸々の雑感

なにわ筋線、大阪モノレール、北大阪急行、3線の整備計画概要決定

2014年01月28日 | 鉄道経営
なにわ筋線(新大阪~JR難波・南海汐見橋・南海難波、合計10.2km)の建設計画については平成21年8月17日の記事で、大阪高速鉄道の大阪モノレール線(大阪空港~ 門真市間21.2km)の延伸計画については平成24年5月14日の記事でそれぞれ詳しく解説をしましたが、昨日の報道によると、大阪府内の鉄道新設・延伸計画について大阪府は、昨日開催された戦略本部会議で、そのなにわ筋線の新設及び大阪モノレール線の延伸、そして、北大阪急行電鉄の南北線(江坂~千里中央間5.9km)の延伸についての具体的な整備計画の概要を決定しました。



なにわ筋線新設は、JR新大阪駅から大阪駅北側の北梅田を経由し、JR難波駅や、南海汐見橋駅もしくは南海難波駅などを結ぶ計画で、今年度内に大阪市や鉄道事業者が入った準備会を立ち上げるそうです。

大阪モノレール延伸は、門真市駅から、東大阪市内の瓜生堂(うりゅうどう)駅までの約9kmの延伸計画で、大阪府は整備費約1,050億円のうち、府と周辺自治体で333億円を負担し、残りを国などに求めるとしており、今後、採算性を検証し、平成26年度に事業化の可否を決定するそうです。



北大阪急行は、千里中央駅(豊中市)から新箕面駅(箕面市)への延伸(約2.5km)に向け、3月末までに箕面市と基本合意書を結びます。
ちなみに、現在、北大阪急行では、深夜の千里中央発江坂行き最終列車の1本を除いて線内のみの運転はなく、ほぼ全列車が江坂駅から大阪市営地下鉄御堂筋線(江坂~なかもず間24.5km)のなかもず駅まで相互直通運転していることから、新箕面駅まで延伸された際には、なかもず~新箕面間で相互直通運転が行われるのはほぼ確実視されています。
大阪府によると、北大阪急行の延伸は整備費が600億円で、そのうち府が100億円を、箕面市が160億円を負担し、残りを鉄道事業者や国の負担で賄うとのことです。



大阪府は、これら3線の新設・延伸の財源に、泉北高速鉄道を運営する府の第三セクター「大阪府都市開発(OTK)」の株式売却益などを充てる意向です。

鉄道の新線建設は、計画から着工・完成まで、とにかくやたらと時間がかかるので(例えば平成21年に開業した阪神なんば線の場合、同線の構想が生まれたのは1950年代でしたから、完成までに60年近くもかかりました)、なるべくスピーディーに進めてもらいたいですね。

鉄道分断 突貫作戦 奇跡の74日間

2014年01月17日 | 映像・DVD
丁度19年前(平成7年)の今日、兵庫県淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の大地震(観測史上初の震度7の激震)が、兵庫県南部(阪神地区)や淡路島などを直撃し、皆さんもよく御存知のように、未曾有の大惨事となりました。阪神・淡路大震災です。

今日は、阪神・淡路大震災が発生したこの日に因んで、同震災からの鉄道復旧を取り上げたドキュメンタリー番組『プロジェクトX 挑戦者たち 鉄道分断 突貫作戦 奇跡の74日間 ~阪神・淡路大震災~』を収録したDVD作品を紹介させていただきます。
昨年ネットで購入したDVDで、番組としては今から9年も前にNHKで放送された作品ですが、私個人としては結構感動する内容でした。




以下の写真は、いずれもこの番組からキャプチャーした画像です。



▲ 崩落したJR東海道本線の高架橋。
地震により鉄道は分断され、神戸は陸の孤島となりました。




▲ 押し潰された、JR東海道本線の六甲道駅。




▲ 高さ10mの高架橋が落ち、六甲道駅の1階部分は完全に押し潰されてしまいました。




▲ 大動脈・東海道本線の緊急復旧が求められましたが、その復旧工事最大の難所は、高架橋が崩落したこの六甲道駅でした。
駅としては全壊であり、この時点では、まさか74日間で復旧するとは誰も思ってもいませんでした。




▲ 鉄道が分断されたため、歩いて会社へと通勤するサラリーマン達。その数は8万人にものぼり、陸の孤島と化した神戸と外界とを結ぶ鉄道の一刻も早い復旧が求められました。




▲ 復旧工事中の六甲道駅の高架橋。
六甲道駅を造り直せば2年はかかるとされましたが、求められたのは僅か3ヶ月以内での復旧であり、そのため、「柱は押し潰されてしまったが、線路を乗せていた高架橋の梁や床は無事なので、元の10mの高さまで高架橋をジャッキで持ち上げて再利用する」という前代未聞の復旧プロジェクトが進められることになり、24時間態勢の突貫工事が始まりました。




▲ ジャッキアップされた高架橋。
1台で300tを持ちあげる力があるジャッキを16台使い、重さ1,200tの高架橋を持ち上げました。ひとつ前の写真と同じ場所なので、両方を見比べてみると、ジャッキアップをする前とした後の違いがはっきりと分かります。
高架橋は大きく傾いていていつ崩れ落ちるか分からない状態で、その上、余震が襲うなどしたため、高架橋の下を撤去しそこにジャッキを設置するのは命懸けの作業でした。また、ジャッキアップ中にバランスを崩して高架橋が滑り落ちるとプロジェクトそのものが台無しになるばかりか二次災害が発生するため、ジャッキアップも慎重を期して行なわれました。




▲ 3月30日午後2時に行なわれた運輸省の検査。
重量のある重連の電気機関車4本を一斉に通過させ、高架橋のたわみが16mm以内なら合格(開業できる)という検査でした。




▲ 六甲道駅を通過する重連の電気機関車。
たわみは基準の10分の1以下に収まり、この区間の開業が決定しました。2年かかるといわれた難工事を僅か2ヶ月半で成し遂げ、4月1日、神戸は74日ぶりに他の町と繋がりました。


最近の神戸は、住民の入れ替わりが進み震災を知らない若い世代が増えてきており、「被災地なのに被災者が住んでいない」とも言われ、震災の記憶の風化が進でいますが、そういった、震災を知らない若い世代の方々には是非見ていただきたい作品です。

謹賀新年

2014年01月01日 | 切符・カード
あけましておめでとうございます

昨年は、東海道新幹線と山陽新幹線でN700系1000番台の営業運転が始まり、東北新幹線では「はやぶさ」の営業最高速度が320km/hに向上し、秋田新幹線では「スーパーこまち」としてE6系が営業運転を開始し、また、中央新幹線では山梨リニア実験線の全区間42.8kmが完成し、営業用車両L0系による試験運転も開始されるなど、我が国の高速鉄道にとっては大きな飛躍の年となりました。



それだけではなく、JR東日本は、C58形蒸気機関車239号機を動態保存機として復元し、JR九州は、以前から大きな話題となっていた豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を始め、富山地方鉄道は、京阪電気鉄道から譲渡された旧3000系特急電車のダブルデッカーを改造して3両固定編成の観光列車「ダブルデッカーエキスプレス」として運行を始めるなど、高速鉄道以外でも、鉄道に関して明るい話題が多い年となりました。
その一方で、JR北海道による安全を軽視した一連の不祥事が連日全国ニュースで報道され、北海道民としても一鉄道ファンとしても、JR北海道には大いに失望させられた年にもなりました。

本年は、国家の一大プロジェクトである北陸新幹線(来年春開業)と北海道新幹線(再来年春開業)の開業を間近に控えた、重要な“繋ぎ”の年となりますが、それだけでなく、首都圏の一大プロジェクトとして建設が進められていた東北縦貫線(上野東京ライン)が開通し、また、昨年末に火入れ式が行われ41年ぶりに煙を上げたC58形蒸気機関車239号機が、東日本大震災の被災地と被災者を応援すべく、いよいよ本年から「SL銀河」として東北の釜石線で営業運転を開始し、更に、震災によって壊滅的な被害を受けていた三陸鉄道も、ついに完全復旧が成って本年春から全線での運転を再開させるなど、昨年に引き続き活気に満ちた年となります。



かような慶年となる当年の年頭に当り、国内外の鉄道の安全と、鉄道業界全体及び各鉄道事業者様の益々の発展を祈念すると共に、鉄道に携わる全ての人達とこのブログを読んで下さる皆様方の御健勝・御繁栄を、心よりお祈り申し上げます。
併せて、信用が失墜したJR北海道が鉄道事業者としての初心に立ち返り、見事に再生を果たすことも、心から祈念致します。

本年も何卒一層の御指導・御鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。





上の写真は、私が所有している、かつて国鉄北海道総局が発行した北海道神宮初詣記念の急行券・入場券です。お正月に、因んでここにその写真を掲載させていただきます。


日本初の鉄道(新橋~横浜間)開業から百四十二年目・関西初の鉄道(大阪~神戸間)開業から百四十年目となる新年、平成二十六甲午年
元旦