北海道人からみた関西圏の鉄道事情

関西圏の鉄道・その他についての諸々の雑感

近鉄が 奈良~夢洲 直通特急構想を発表

2019年02月01日 | 近鉄
大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)で「2025年国際博覧会」(万博)が開催される事が昨年11月に正式に決定した事を受け、大阪メトロは、大阪市内を走る地下鉄中央線を、現在終点となっているコスモスクエア駅から、万博の会場となる夢洲まで延伸する事を既に決定していますが、先月19日に報道されたニュースによると、近鉄も、この度、夢洲での万博開催決定を受け、夢洲と奈良方面を、特急で直通運転する検討を始めたそうです。



具体的には、近鉄奈良駅を始点とする近鉄奈良線と、夢洲に延伸する計画の地下鉄中央線(コスモスクエア~長田)に乗り入れている近鉄けいはんな線を、直通運転させるという構想です。
但し、「奈良線」と「けいはんな線・中央線」は、いずれも軌間(レール幅)は同一の1,435mmですが、集電方式は異なっているため、現状のままでは直通運転は不可能です。
奈良線(のみならず近鉄の大部分の路線)は、パンタグラフから架線の電気を取り入れる「架空線方式」(直流1500V)ですが、それに対して、けいはんな線は、相互直通運転先の地下鉄中央線に合わせて、地上に敷設されている給電用レールから電気を取り入れる「第三軌条方式」(直流750V)を採用しており、そのため、奈良線・けいはんな線・中央線を直通運転させるためには、架空線方式と第三軌条方式という2つの集電方式に対応した新型車両を開発しなければなりません。

これら2つの集電方式を備えた車両の開発について、近鉄は既に、グループ会社の近畿車輌などと検討を始めているようで、奈良線とけいはんな線のそれぞれのホームがある生駒駅の付近に、両線を連絡する「渡り線」を新設して、奈良線からけいはんな線を経て中央線への乗り入れを可能にすると見られます。





夢洲での万博開催が決定した事により、前述のように大阪メトロはコスモスクエア駅から夢洲まで地下鉄中央線を延伸させる事をほぼ確定しており、それに加え、大阪府と大阪市は、夢洲にカジノなどを備える統合型リゾート施設(IR)も誘致していて、2024年までの開業を目指している事から、近鉄としては、IRが実現すれば永続的な旅客需要を見込めると判断し、直通特急運転の検討を始めたようです。

技術的には、複数の集電方式に対応する鉄道車両は海外では既に実用化されているので、日本でも同様の電車を開発する事は出来そうですが、コスト的に高くなるのは避けられず、通勤用車両では割に合いません。しかし、特急料金を徴収する特急用車両なら、コスト的にも十分実現可能、と近鉄は判断したのかもしれません。
昨年5月23日の記事で詳述したように、近鉄は現在、軌間の異なる大阪線系統と南大阪線系統を直通出来るFGT(フリーゲージトレイン)の開発も進めていますが、少なくとも、そちらのほうに比べると技術的ハードルは低いと言えるでしょう。

奈良線と中央線が繋がれば、単に夢洲と奈良が結ばれるだけでなく、夢洲と、京都・名古屋・伊勢志摩方面も直通する事になり、万博が開かれる夢洲と、近畿各所の人気観光地を、特急に座ったまま移動出来るようになり、利便性は今よりも格段に向上する事になります。

今の時点では、この構想が本当に実現するのかはまだ分かりませんが、前出のFGT特急と合わせ、近鉄の積極的な“攻め”の姿勢が感じられる計画です。
そして、もし、FGTの技術と、複数の集電方式に対応する技術が融合すれば、本当に近鉄全線を走る事が出来る電車も、もしかしたら登場するかもしれませんね。

近鉄が軌間可変電車の開発推進を発表

2018年05月23日 | 近鉄
近鉄は今月15日、車軸に取り付けられた車輪を左右にスライドさせる事で2本のレール幅(軌間)が異なる路線でも直通運転が出来る「軌間可変電車」(フリーゲージトレイン=FGT)の開発を推進すると発表しました。

近鉄の路線は、軌間別に分類すると、新幹線・京阪・阪急・阪神などと同じ1,435mm軌間の「標準軌」(但し近鉄では公式には「広軌」と呼称)と、JR在来線・南海などと同じ1,067mm軌間の「狭軌」の2つに大別され、大阪線・京都線・橿原線などは標準軌、南大阪線・吉野線などは狭軌となっており、当然の事ながら、軌間の異なる路線同士の直通運転は不可能となっています。
そのため、例えば京都~吉野間で近鉄を利用しようとすると橿原神宮前駅(下の写真の駅です)の構内で橿原線と吉野線は接続しているのですが両線は軌間が異なるため、必ず同駅で列車を乗り換える必要があります。



こういった不便性を改善するため、近鉄は、近鉄全線での軌間の統一、複数の軌間に対応した線路(3線軌)への改造など、今まで直通運転に向けた「様々な解決方法を模索」してきており、そういった模索の結果として、この度、FGTの開発推進を決定したとしています。
もし近鉄にFGTが導入されると、京都~吉野間の直通列車の運行が可能になる(そうなれば、東京駅からも、京都駅で1回乗り換えるだけで吉野まで行けるようになります)だけではなく、大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)の地下鉄中央線と相互直通運転を行う関係で750Vの第三軌条方式を採っているけいはんな線を除く、全ての近鉄路線を同一列車で自走出来るようになります。


日本ではこれまで、国土交通省や鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が中心となって、新幹線と在来線の直通列車用としてのFGTの研究が進められてきました。
4年後に九州新幹線・西九州ルート(長崎新幹線)の武雄温泉~長崎間が開業する予定である事から、在来線(長崎本線など)と長崎新幹線の両方に乗り入れて博多~長崎間を直通する特急の運転が考えられてきたのです。

しかし、FGTの試験車両(下の写真の車両)は、高速域での走行試験で車軸に傷がつくなどのトラブルが発生し、実験開始から十数年かけてもFGT実用化の目処は立たず、現状では開発は頓挫しているといえる状況で、JR九州もFGTの導入を既に断念しており、新幹線へのFGT導入はかなり難航している状況です。



しかし、高速走行試験に於いてトラブルが発生したという事は、逆にいうと、低速域ではトラブルが発生しにくいともいえ、現在のFGT試験車両は最高速度を270km/hとしていますが、近鉄線の最高速度は130km/hであり、新幹線ほど速く走るわけではありませんから、近鉄としては、新幹線よりも低速での運転からばFGTを導入出来るかもしれない、と考えたのかもしれません。
あくまでも、今回はFGTの開発推進が発表されただけであり、近鉄は、今後については「国土交通省とも相談させていただきながら、他の鉄道事業者や鉄道車両メーカーなどと共に、FGTの実用化に向けた検討を進めていきたいと考えています」としており、実際に近鉄がFGTを本当に導入するのかどうかはまだ分かりませんが。

兎も角、JR以外の私鉄がFGTを本格研究するのは初めての事であり、今後近鉄が、近畿車輛や国土交通省などと協力しながら研究開発に乗り出す事で、JRが事実上断念した技術が近鉄で実用化される可能性も決して低くはなく、今後の展開に大いに期待したいところです!

近鉄が57年ぶりに汎用特急車のカラーリングを変更すると発表

2015年11月18日 | 近鉄
近鉄は、昭和33年に製造した世界初の2階建て高速電車10000系初代ビスタカー以来、長年に亘って汎用特急車で使用し続けてきたオレンジと紺色のツートンカラーを、近鉄特急の新たなイメージを創出するため、クリスタルホワイトをベースにブライトイエローとゴールドを加えた新塗装に変更すると、今年13日、発表しました。
22000系ACEを皮切りに、今年度から約4年かけて、特急車236両が新塗装化される事になります。



近鉄の汎用特急車のカラーリングが変更されるのは実に57年ぶりの事で、この塗装変更により、「スズメバチ」と云われる事もあった、オレンジと紺色のお馴染みのツートンカラーは、近鉄から消滅する事になります。





ちなみに、汎用特急車以外の近鉄の特急車、具体的には、「アーバンライナー」「さくらライナー」「しまかぜ」といった、白もしくは青がベースの特急車や、「伊勢志摩ライナー」のように編成により色が異なる特急車などについては、カラーリングの変更は行われません。

鶴橋駅と大阪難波駅で近鉄電車ウォッチング

2012年10月09日 | 近鉄
私は先月中旬、関西を旅行した際、大阪に立ち寄って、京橋駅からJR大阪環状線の電車に乗って鶴橋まで行き、鶴橋駅周辺を少し散策してから、近鉄の鶴橋駅から大阪難波駅までの短距離ではありましたが近鉄の電車にも乗ってきました。

というわけで、折角なので、鶴橋と大阪難波の両駅ホームで、近鉄電車をじっくりと見学・観察してきました。
両駅が設置されている路線は近鉄大阪線と近鉄奈良線の列車が過密ダイヤで運行されているので、短時間の滞在でもかなりの種類の列車を見ることができました。

下の写真3枚は、いずれも近鉄鶴橋駅のホームから撮影した写真です。
この駅は島式ホーム2面4線を有する高架駅で、JRの鶴橋駅と立体交差しています。







下の写真4枚は、いずれも大阪難波駅のホームから撮影した写真です。
近鉄・阪神の共同使用駅(管轄は近鉄)でもあるこの駅は、ホーム2面3線の地下駅です。阪神なんば線の開業日に「大阪難波」に改称されましたが、それまでは「近鉄難波」という駅名でした。









「伊勢志摩ライナー」として運用されている特急電車23000系は、今年の8月から内外装のリニューアルを始めていて、6編成のうち3編成が順次赤を基調とした塗装に変わるのですが、今回の大阪難波駅では、そのリニューアルした23000系も見ることができました。

丹波橋駅で近鉄電車ウォッチング

2012年04月23日 | 近鉄
今年の2月、私は研修のため1週間近く三重県の伊勢に行ってきたのですが、伊勢へ行く途中、所用により京都へと立ち寄ったため、京都市伏見区にある丹波橋駅で京阪電車から近鉄電車に乗り換え、同駅から伊勢方面(賢島)行きの電車に乗車しました。

私が乗車する特急の発車まで少し時間があったので、京阪の丹波橋駅に次いで近鉄の丹波橋駅ホームでも、次々と同駅を発着するいろいろな電車をワクワクしながら(笑)、見学・観察してきました。
名鉄名古屋駅ほどの超過密ダイヤではないものの、2線しかない駅の割にはここもかなり列車の往来が激しい駅で、ホームに数十分いただけで、実に多種多彩な形式・種別の電車を見ることができました。近鉄の電車だけではなく、同駅に乗り入れてくる京都市営地下鉄の電車も見ることができます。













近鉄23000系 伊勢志摩ライナー

2012年03月31日 | 近鉄
先月、研修で三重県の伊勢方面へ行った際、五十鈴川~近鉄名古屋間で、私は初めて「近鉄23000系 伊勢志摩ライナー」に乗ってきました。近鉄の電車には今まで何回も乗っていますが、23000系に乗車する機会だけは、今までなかなか無かったのです。
といわけで今回は、この機会に何枚か写真も撮ってきたので、その23000系を紹介させていただきます。





「近鉄23000系 伊勢志摩ライナー」は、平成6年4月に伊勢志摩リゾートの拠点「志摩スペイン村」がオープンするのに合わせ、リゾート感覚にあふれたアクセス用シンボルカーとして平成5~7年にかけて6編成が製造された、6両固定編成の特急形車両です。
制御方式は、22000系に引き続きVVVFインバータが採用され、日本の大手私鉄では初めて最高速度130km/hでの運転を可能としましたが、22000系が全電動車方式であるのに対し、この23000系は、固定編成であることや製造コストの面から、両先頭車はモーターなしとなっています(つまり、6両のうち両先頭車を除く4両がモーター車です)。

“楽しい雰囲気空間”などをコンセプトに開発された車両は、1~4号車がレギュラーカー、5号車がサロンカー、6号車がデラックスカーとなっており、1・6号車の先頭部は、非貫通・スラントノーズのスピード感あふれる流線形のデザインになっています。
外観塗色は、伊勢志摩の明るく豊かな太陽光線にちなんだサンシャインイエローが、清潔感あふれるクリスタルホワイトの車体に配され、リゾート特急らしいインパクトのあるものになっています。

下の写真3枚は、いずれも、先頭車両の乗務員室後部に設置されているパノラマデッキで撮影したもので、このデッキには、腰をかけることができる簡易ベンチも用意されていて、伊勢志摩の美しい景観とスピード感溢れるワイドな正面眺望をゆっくりと楽しむことができます。







下の写真2枚は、ヨーロッパの客車のような贅沢な空間を表現した5号車のサロンカーです。
家族・グループ・カップルなどでの旅行に最適な、対面固定シートの4人席(サロンシート)と2人席(ツインシート)が並んでおり、向かい合う座席の間には大型テーブルが、また、背もたれの後ろには荷物収納スペースが設置されています。





下の写真は、5号車のサロンカーの窓です。
サロンカーの窓だけ他の車両の窓よりもサイズが大きく、そのため遠くから見ても、6両のうちどの車両がサロンカーなのかは一目瞭然です。



下の写真は、6号車のデラックスカーで、情熱のスペインを表現した赤系のモケットのフリーストップタイプのリクライニングシートが2列+1列で配置されています。
デラックスカーの各シートには、大きなヘッドレストと反転式フットレストが装備されています。



ちなみに、1~4号車のレギュラーカーは、2列+2列の座席配置です。


※ 下記の文章は、このブログやこの記事とは全く関係ありません。別のブログで行われているある企画に連動して書かれているものなので、その企画を関知されていない方はスルーして下さい。
【4】 今月からは、積雪のため冬期は少なかった地鎮祭等の建築関係の外祭が徐々に多くなり、また、4月は各種団体の総会が一斉に開催される時期でもあり、


近鉄は今日、創業100周年を迎えました!

2010年09月16日 | 近鉄


阪急は今年3月10日に鉄道開業100周年を、嵐電は同月25日に開業100周年を、そして京阪は今年4月15日に開業100周年をそれぞれ迎えましたが、近鉄は今日、創業100周年を迎えました。

近鉄は、今から丁度100年前の明治43年9月16日、奈良軌道として設立され、翌月、大阪電気軌道に社名を変更し、全長3,388mに及ぶ生駒山トンネルを貫通させた後、大正3年に大阪上本町~奈良間を開業させました。
大阪電気軌道はその後、畝傍(現・橿原)線、八木線を建設し、天理軽便鉄道を合併して改軌電化して天理線とし、昭和2年には参宮急行電鉄を設立して伊勢にも進出し、昭和6年に上本町~宇治山田間を全通させました。
昭和11年、参宮急行電鉄は、名古屋地区と伊勢とを連絡していた伊勢電気鉄道を合併し、これにより大阪~名古屋間が全通しました。ただし、大阪電気軌道や参宮急行電鉄の路線が標準軌であったのに対し、伊勢電気鉄道の路線は国鉄と同じ狭軌だったため、当時、大阪~名古屋間を移動する場合は伊勢中川での乗り換えが必要でした。

昭和10年代に入ると、参宮急行電鉄は関西急行電鉄と養老電鉄を相次いで合併し、昭和16年には、大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併し、社名を関西急行鉄道としました。
戦争中の昭和18年、関西急行鉄道は、現在の南大阪線を有してした大阪鉄道を合併し、ここに、現在の近鉄路線網の骨格が完成しました。
そして、昭和19年、戦時統合により関西急行鉄道と南海鉄道が合併し、近畿日本鉄道、いわゆる近鉄が誕生しました。ただし、戦後(昭和22年)、旧南海鉄道は独立して近鉄から離れました。

戦後、名古屋線を標準軌に改軌する準備が始まったのですが、その準備の最中、昭和34年9月に伊勢湾台風が中部地方を直撃し、名古屋線は全線不通に陥りました。近鉄では、この復旧に際して改軌工事を併せて行うことを決断し、62日間の突貫工事で改軌を行い、その年の12月に名阪直通特急(2階建特急10100系 新ビスタカー)の運転を開始しました。
現在は、平成15年年に投入された「アーバンライナーnext」など、車内の快適性が向上した各種車両が各路線で活躍しています。

皆さんも御存知のように、現在の近鉄は、大阪府・奈良県・京都府・三重県・愛知県の2府3県に跨る長大な営業路線網を有しており、JRグループを除く日本の鉄道事業者(民営鉄道)の中では最長の路線網を誇っています。
関西圏の民鉄のみならず、日本の民鉄を代表する鉄道会社として、これからも近鉄の活躍と躍進に期待しています!

ちなみに、近鉄は今年5月に、平成25年までに大阪~伊勢志摩間に、食堂車を連結した本格的なリゾート特急を走らせると発表しており、個人的にはこの計画の実現にも大いに期待しています。

近鉄名古屋~大和西大寺間に直通特急が運転されます

2010年03月08日 | 近鉄
関西在住の鉄道ファンの方々は既にもう御存知でしょうが、近鉄は先月10日、奈良県での平城遷都1300年祭の開催に伴って、近鉄名古屋駅(名古屋市)と大和西大寺駅(奈良市)との間に直通の特急列車を運行すると発表しました。

新設されるこの特急は、下の路線図の、茶色の太線で示された区間(名古屋線・大阪線・橿原線の3路線を直通する173.4kmの距離)を走ります。
同区間を移動する場合、今までは大和八木駅(奈良県橿原市)での乗り換えが必要でした。



奈良へと観光に行く愛知県民を主な利用対象としているらしいこの特急は、4月24日~11月7日までの土曜日・休日(6月26日、7月31日、8月1日、9月26日を除く)に1日1往復運転されることになっていて、往路と復路のダイヤはそれぞれ以下のように設定されています。

≪往路≫
【近鉄名古屋】08:30発 → 【桑名】08:47発 → 【近鉄四日市】08:59発 → 【白子】09:10発 → 【津】09:20発→ 【名張】09:55発 → 【大和八木】10:22発 → 【大和西大寺】10:42

≪復路≫
【大和西大寺】16:30発 → 【大和八木】17:04発 → 【名張】17:25発 → 【津】18:00発→【白子】18:10発 → 【近鉄四日市】18:23発 → 【桑名】18:34発 → 【近鉄名古屋】18:51

所要時間は、近鉄名古屋発・大和西大寺行きが2時間12分、大和西大寺発・近鉄名古屋行きが2時間21分で、近鉄名古屋~大和八木間は名阪特急に連結して運転されるそうです。
折角なら、大和西大寺から更に奈良線にも乗り入れて、近鉄奈良まで直通運転すればいいのに、と思いますが、まぁそのへんはいろいろな事情があるのでしょう(笑)。

再び近鉄22000系ACEについて

2009年04月24日 | 近鉄
昨年7月29日の記事では「近鉄22000系ACE」を取り上げましたが、今日は再びこの電車を取り上げます。
近鉄では、今年に入ってから、製造開始から17年が経過した22000系電車を全面改良した新型電車22600系の導入を開始しましたが、私にとっては、22000系は今だ斬新かつ新鮮な電車であり、特に、貫通形でありながら緩やかな曲面で構成されている前頭形状には惚れ惚れします(笑)。



上の写真は、今年3月に大阪難波駅(当時は近鉄難波駅)で撮影した、賢島行きの特急として運用されていた22000系です。カッコイイですね~(笑)。



上の写真も、今年3月に大阪難波駅で撮影したもので、この時はなぜか正面の貫通扉を全開にしたまま、低速で西側方向(阪神なんば線の開業直前だったので、同線にではなく折り返しのため一旦引込み線に入ったのでしょう)に向かって走っていました。
正面の貫通扉が、中央からではなく、中央から外れたラインで分割開閉している様子が分かります。



上の写真は、昨年5月に、上本町駅で撮影した22000系と他形式との併結部です。
22000系は、最初から12200系など既存特急車との併結を前提に貫通式を採用しており、その汎用性の高さが窺えます。

近鉄電車の山陽電鉄乗り入れがほぼ確定!

2008年10月06日 | 近鉄


阪神なんば線が来年3月20日に開業し近鉄線と阪神線が連結されることにより(勿論今月開業する京阪の中之島線も重要な路線ですが)、今、近畿圏の鉄道ネットワークは大きく進化・発展しようとしており、その動きが今年に入ってからは特に活発化しています。
以下は、今年の7月9日に配信された「神戸新聞NEWS」からの転載です。記事のタイトルは「姫路と奈良・伊勢結ぶ 近鉄、山陽に乗り入れ計画」です。

近畿日本鉄道は八日、二〇一〇年春を目標に、山陽電気鉄道に乗り入れる構想を明らかにした。〇九年春に阪神電気鉄道との相互乗り入れが始まり、阪神と直通運転している山陽とも線路がつながることから、両社と調整に入った。姫路と奈良、伊勢志摩を結ぶ計画で、世界文化遺産・国宝姫路城と古都・奈良、伊勢志摩を直結する新ルートは国内外の観光客を引きつけそうだ。(西井由比子)

近鉄の路線網は三重、愛知にまで及ぶが、ローカル線も抱え、鉄道収入の大きな伸びは期待しにくい。プロ野球や遊園地などレジャー・観光事業を大幅に整理する一方、テーマパーク「志摩スペイン村」や、小説「華麗なる一族」の舞台となった志摩観光ホテルなど自社系リゾート施設が多い伊勢志摩を最重点地域に、集客に努めている。

だが修学旅行や団体旅行が多い伊勢神宮は、兵庫県内と乗り換えなしで結ぶJRが使われる場合が多く、山陽への乗り入れで利用客を取り込む。さらにJRが走らない志摩へも呼び込みを図る。

特急や修学旅行専用電車を中心に運行する計画。一〇年以降には奈良の平城京遷都千三百年や伊勢神宮の式年遷宮など大型行事が控え、近鉄の野口満彦副社長は「兵庫から奈良や伊勢志摩を訪れやすくしたい」と話している。


上の記事中にある伊勢志摩というのは、上の路線図の中では宇治山田、鳥羽、賢島の各駅の周辺地域のことです。
そして、以下は先月27日に配信された「MSN産経ニュース」からの転載です。上の記事の続報とも言える内容で、記事のタイトルは「姫路-賢島に直通特急 私鉄最長250キロ、22年にも」です。

来年3月の「阪神なんば線」開業を前に、山陽電気鉄道の山陽姫路駅(兵庫県姫路市)と近畿日本鉄道の賢島駅(三重県志摩市)を乗り換えなしで結ぶ直通特急を走らせることに両社と阪神電気鉄道の3社が基本合意したことが26日、分かった。実現すれば、総延長250キロ超とJR以外の私鉄で最長距離を走る特急が誕生する。特急料金の設定など課題も多いものの、関係各社の間で具体化への機運が高まっている。

阪神なんば線は、来年3月20日に尼崎(兵庫県尼崎市)-近鉄難波(大阪市)を結ぶ阪神の新路線。現在の尼崎-西九条(大阪市)を結ぶ「西大阪線」を延伸して改称する。開通とともに近鉄、阪神が相互直通運転する計画で、三宮(神戸市)-近鉄奈良(奈良市)間を結ぶ快速急行も設ける。
快速急行より速い特急やさらに長い距離の直通運転は、開通時のダイヤに設定されていない。ただ、観光客増加や沿線観光地の活性化に向けて、近鉄と山陽は姫路-賢島間の直通特急に強い意欲を示している。阪神なんば線開業作業にめどがついた時点で、阪神も両社と検討に入るもようだ。

関係者によると、直通特急は当面、修学旅行などの団体旅行向けに近鉄が不定期に運行する案が有力視されている。車両は山陽の駅ホームが短いことに配慮、近鉄の4両編成が投入される公算が大きいという。区間内のトンネルの関係で、近鉄が賢島方面向けに使用している展望車付きの「伊勢志摩ライナー」は投入されない見通しだ。
また、近鉄特急は運賃と別に特急料金を徴収する一方、阪神の特急は運賃だけで乗れるなど制度上の違いもあるだけに、新たな料金制度が必要になるとみられる。

直通特急が走行すれば、近鉄にとって兵庫県内から同社の主力観光エリアである伊勢志摩への観光客増加に弾みがつく。阪神、山陽にとっても、沿線活性化への期待が膨らむ可能性があり、具体的な戦略を描くことになる。
“私鉄最長特急”の誕生は早くても平成22年春以降になる見通しだが、鉄道ファンの間でも話題になりそうだ。


私のような関西圏の私鉄好きにとっては、思わず「やったぁ!」と叫びたくなる、とても嬉しい、明るいニュースですね!
個人的には、山陽姫路と近鉄名古屋との間にも是非直通特急を走らせて貰いたいですが、姫路~名古屋間は新幹線やJR在来線も走っているため需要はそれ程高くはなさそうなので、観光客の増加が見込める伊勢志摩方面と姫路方面とを結ぶ事にしたのでしょうね。

ただ、直通特急は、近鉄線と同じように山陽、阪神、神戸高速の各線内でも有料特急として運転されることになるのでしょうが、上記の転載記事にもありましたようにその際どういう料金体系となるのかは気になる所です。
また、伊勢志摩ライナーが直通特急に投入されない見通しなのは少し残念でもあります(そもそもトンネルの関係で伊勢志摩ライナーが投入できないという理由がよく分かりません)。

それにしても、距離としてはたった3.4kmしかない阪神なんば線が開業することによって、走行距離の総延長が250kmを超える、私鉄としては国内最長距離の特急が走るようになるとは、凄いことですね!

更に妄想を言えば、これはフリーゲージトレイン(軌間可変電車)が実用化されることがまず大前提となりますが、地下で隣接し合っている近鉄名古屋駅と名鉄名古屋駅とを連絡する渡り線を造り、最終的にはその渡り線を通って山陽姫路から豊橋まで直通特急が走るようになれば、もっと凄いですよね!最長距離が更に更新されます。
とはいえ、これはあくまでも私の妄想なので、そもそもその需要や必然性はあるのか?といった厳しいツッコミは御容赦下さい(笑)。