北海道人からみた関西圏の鉄道事情

関西圏の鉄道・その他についての諸々の雑感

大阪の交通科学博物館、今日をもって52年の歴史に幕

2014年04月06日 | 博物館・記念館等
昭和37年に当時の国鉄が大阪環状線の開通を記念して「交通科学館」として開設して以来、半世紀以上の長きに亘って全国の鉄道ファンや子供達などから親しまれてきた、大阪市港区波除(大阪環状線の弁天町駅に隣接)の「交通科学博物館」が、惜しまれつつも本日をもって閉館しました。

交通科学博物館は、鉄道を中心に交通に関する各種資料約62,000点を収蔵し、交通に関する西日本最大級の博物館として知られてきましたが、施設の老朽化と、再来年京都市下京区に開館する予定の「京都鉄道博物館」に収蔵品の大半を集約させることなどから、昨年7月に正式に閉館が決まりました。

報道によると、営業最終日の今日、交通科学博物館は朝から大勢の鉄道ファンや親子連れなどで賑わい、今日一日の入館者数は、国鉄がJRに移行してからは過去最多となる10,043人を記録したそうです。
また、今日は閉館のセレモニーも開かれ、交通科学博物館の兵東勇館長は、「開館以来、1,800万人以上の方に来てもらいました。長年、大事にしてもらって感謝しています」と、挨拶をしたとのことです。

交通科学博物館の閉館を記念して、以下に、平成23年3月に神戸・大阪・京都方面を旅行した際に私が交通科学博物館で撮影してきた写真の一部(12枚)をアップさせていただきます。
閉館が決まってからは入館者が急増し、かなり混雑する日もあったようですが、私が見学したこの時(3年前の平日の午後)は、入館者は疎らで、ほとんど貸切に近い状態でした。

























以下の写真(6枚)は、大阪府内在住の友人Fさんが撮影し私に提供して下さった、交通科学博物館の閉館が発表されて以降に同館で撮られた写真です。やはり、この時は結構混んでいたそうです。













なお、交通科学博物館に収蔵されている7100形蒸気機関車「義経号」(この記事では、下から3枚目の写真に写っている、ガラスケース内に格納されている機関車)については、平成23年4月29日の記事で詳しく解説をさせていただきました。

義経号は、交通科学博物館の閉館後、他の車両に先駆けて直ちに、同館から京都の梅小路蒸気機関車館へと搬送され、半年程かけて、ボイラーを改修するなどの動態復帰のための整備を受けることになっています。
そして本年10月頃に、17年ぶりに自走できる状態に復元されて、梅小路蒸気機関車館の構内線で運転されるそうです。
義経号の復活運転、今から楽しみです♪

ちなみに、交通科学博物館に展示されていた、鉄道車両以外の実車(二輪車、三輪車、四輪車)については、違うブログですが、以下の記事で紹介をさせていただきました。
http://yaplog.jp/syouwa-scene/archive/71

北大阪急行延伸、関係4者で基本合意 6年後の開業を目指す

2014年04月02日 | 鉄道経営
北大阪急行電鉄の南北線(江坂~千里中央間5.9km)を、現在終点の千里中央(豊中市)から新箕面(箕面市)まで約2.5km延伸する計画については、今年1月28日の記事でも簡単に解説させていただきましたが、先月、この件についてかなり具体的な動きがありました。

先月末日、この延伸計画について、大阪府、箕面市、北大阪急行電鉄、北大阪急行の親会社である阪急電鉄の4者が、工事区間、新駅、費用の負担割合などを定めた基本合意書に調印しました。



合意書によると、新たな路線は千里中央駅から国道423号沿いを北上する形で建設され、この延伸区間には、同区間では唯一の中間駅となる箕面船場駅と、新たな終点となる新箕面駅(いずれも仮称)の2駅が設置されます。
千里中央駅から1.4kmの地点に、地下駅となる箕面船場駅を設置し、同駅を出てしばらくすると地上に上がる構造として、終点の新箕面駅は高架駅となります。
路線の建設には、国の社会資本整備総合交付金が活用され、千里中央駅から箕面船場駅手前までは北大阪急行が、箕面船場駅から新箕面駅までは箕面市と北大阪急行が整備し、延伸整備後は、北大阪急行が運営することになります。

また、合意書では建設費を600億円と試算しており、その負担割合は、府が100億円、市が160億円、北大阪急行と阪急で計80億円、国が260億円とし、600億円を超過する場合はその超過分を市が負担するとしています。
車両の購入費については50億円と試算し、これは国と市が折半して負担することになります。
合意書には、開業目標を平成32年度とすることも明記され、市は新年度から設計を始め、27年度の着工を目指すことになりました。

府は、泉北高速鉄道を運営する府の第三セクター「大阪府都市開発(OTK)」の株式を、南海電鉄と随意契約を結び約750億円で一括売却する方針を既に決定しており、松井一郎知事はその売却益の一部を、北大阪急行を含む「戦略4路線」の整備に充てるとしています。
今後は、都市計画の決定や鉄道事業法に基づく許認可など、事業化に必要な法的手続きを進めた上で、平成32年度の開業を目指して、延伸事業に着手することになります。

北大阪急行の南北線と大阪市営地下鉄の御堂筋線は、一部の例外を除きほぼ全ての列車が両線で相互直通運転をしているため、この延伸事業は、北大阪急行の南北線という単なる一路線の延伸ではなく、大阪市内交通機関では最大規模の大動脈・地下鉄御堂筋線の事実上の延伸としても捉えられており、そのため同区間の開業後は、箕面市中央部などから大阪市中心部へのアクセスが向上するほか、近隣のバス路線の再編や、国道423号(新御堂筋)の渋滞緩和も進むとみられています。

ちなみに、地下鉄御堂筋線は、大阪市営地下鉄の数少ない“ドル箱路線”で、国土交通省の調査によると、御堂筋線の梅田~淀屋橋間は日本の地下鉄では最も利用者が多いそうです。
「御堂筋線は、公営地下鉄では世界一儲かっている」とも、「大阪の地下鉄は、御堂筋線の黒字で、他路線の膨大な赤字を補っている」などともいわれています。