メキシコの隅っこ

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リベラの壁画:アステカ王国

2006-04-18 08:04:49 | 芸術・民芸品
さて、昨日の続きで、国立宮殿の階段の踊り場を見てから上がって行きます。
中庭に面する二階廊下に出ると、左手に絵が続きます。

最初の絵は大きすぎて、カメラじゃ一枚に収まりませんでした。

  

左右、つなげて見てください。

アステカ王国時代の首都、テノチティトランです。
場所は現在のメキシコシティがあるところですが、
全体は湖に浮かんだ半島のような形でした。
特に右の絵のバックに、湖が見えています。
さらにその向こうにふたつ並んで雪をかぶって見えるのは、
イスタシワトルとポポカテペトルです。

絵の中央、薄緑の椅子に座っているのが、たぶんアステカの王かな?
その左後方で大きな絨毯のようなものを巻いているのが何なのか、ちょっとわかりません。

手前ではアステカ人たちの市場が開かれてます。
カラー、もしくはアルカトラズと呼ばれる白い花を売る女や、
サトウキビと思われる束を額にかけた紐で担ぐ少年、
野菜や果物を売り買いする人たち、
黒トウモロコシやさまざまな種類のトウモロコシをザルに積んで売っている人もいます。
なんか、こういう雑然とした生活の様子は、見るだけでワクワクします。

左側に立つ白い服の女性ですが、マリンチェかなあ?
コルテスの通訳として裏切り者の象徴になってる女性ですが、
まあ最近はいろいろと違う説も出ているようで。
それより気になるのが、この女性の横に立っている青い羽飾りの男が持ってるもの。
どう見ても、肩から切り落とした人の腕なんですが。
骨まで見えてるし~。
よくわからん。知ってる人、教えてください(昨日に引き続きスミマセン)。

さて、廊下を進むと、ドアとドアのあいだの壁に次々と絵が現われます。



これはたぶん、糸を紡いで、染めて、干して、布に仕上げているところでしょう。
鮮やかな色合いが綺麗で、平和で、いい絵ですな~~。

上部を切り取って拡大すると、こんなの。



左では綿摘みしてるんだと思います。
右の丘では、たぶん炭焼き。
そして奥のポポカテペトルが煙を噴き上げてます。
湖では漁をしているらしい船の群。

次の絵も、アステカの生活の様子を描いてます。



こちらは王族が使う羽飾りや金細工を作っているところでしょうか。
左奥をよく見ると、



川ではおそらく砂金を採っている人たち。
その手前では王族らしい人が立ち、衣装合わせをしています。
大きな羽飾りの冠は Penacho と言います。
サッカーの応援団も、よくこんなアステカ風の格好した人がいますよね~。

同じ絵の右半分をよく見ると、


砂金を溶解して、型に流し込んで冷やし、表面に細工をし、という一連の作業が見て取れます。
その左側では羽を綴ってペナチョを作っている人たちがいます。

カラーの絵の下に、いくつかに分かれた白黒の絵がありますが、
これも作業手順などをわかりやすく描いたもののようです。

その次の絵もなかなかすごいです。



今までさんざん見てきたあちこちの遺跡ピラミッドですが、
現役であればこんな感じなのかぁ~、なんか中国風だなぁ、なんて思ったり。

しかしやはりこの細密画のような細かさは美しいですね。
手前の変な格好をした人たちは……、うーん、戦士か何かでしょうか。
目立つマントの人の足元に黒っぽい犬がいますが、
これは、前にもここで話題に上がったアステカ犬だろうと思います。
他の絵にも、よく見るとこの犬たちはあちこちに紛れ込んでます。

しかし私が目を惹かれるのはやはりバックのほうで、
よく見ると



この一番左端、赤と黒の三角模様になっているのは、
これまた遺跡で何度も見ている球戯場ですね。
実際に球戯をやっているところで、球戯場の上にはびっしりと見学者が集まってます。

そしてその右側では、ボラドーレスたちが。
ボラドーレス Voladores というのは、今でも観光地などでやってますが、
高いポールのてっぺんから、足首に縄をくくって頭を下にした四人のボラドーレス(飛ぶ人たち)が、
ゆっくりと回りながら伸びていく縄によって地上まで降りてくる、という儀式です。
この絵のボラドーレスたちは、ワシのような格好をしてますね。
これは本物のワシを捕まえてこんなことをさせてるのではなく、人間だと思います。
その下でもまた、集まって踊る人たち。

そしてやはり、じっくり見れば見るほど中国だかタイだか、
なんとも不思議な懐かしさを感じさせるピラミッドとその背後の住宅も、
テオティワカンやその他の遺跡と重ねて思い返せば、感無量。

まだもう少しあるんですが、それは明日にします。

ところでヨーロッパの教会について少し勉強したんですが、
ステンドグラスというのは当時、字が読めない信者たちのために、
聖書の物語を絵にして解説したものだそうですね。
このリベラの壁画も、メキシコの歴史を文盲の人たちにも学んでもらえるように描いたものなんでしょう。
そう言えば、私が帰るころに、小学校から来たらしい子供の群が一クラス分ほど上がって行ってました。
先生について、たくさん勉強できたことでしょう。
私もついていけばよかったかな、と今になってちょっと後悔してます。