亀田司法書士ブログ

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抵当権抹消登記放置の危険

2015-10-21 15:33:04 | 不動産登記

住宅金融公庫の抵当権抹消登記を受任したところ,依頼者は,抵当権解除証書,委任状,現在事項一部証明書,印鑑証明書しか銀行から受け取っていないとのこと。

当初私は,住宅金融公庫から住宅金融支援機構への抵当権移転登記をすれば,抵当権設定契約書に替わる登記識別情報通知が発行されることになるので,印鑑証明書は不要であるはずなのにと思いました。

そこで,銀行に抵当権移転登記の委任状を要求しようとしたところ,解除証書の弁済日が平成14年になっていることに気づきました。なるほど,住宅金融支援機構への移転登記が必要なのは,原因日が平成19年4月1日以降のものですから移転登記は不要です。これで,移転の委任状がない理由が分かりました。

さらに,解除証書の日付を見ると最近の日付になっています。ということは,依頼者は一旦抹消登記に必要な書類を受け取ったものの紛失し,銀行に再発行してもらったものと推定され,印鑑証明書の添付の理由も分かりました。

移転登記を経ないのですから,抵当権設定登記をした時の登記済証が必要です。ところが,これを紛失しているので,申請方法としては,事前通知又は資格者代理人による本人確認情報の方法しかなく,この方法による申請には委任状に実印を押印し印鑑証明書を添付して行うことになります。

さて,本人確認情報による方法は,抵当権者が住宅金融支援機構という大組織なので,代表権を有する人物に時間を取って会うことなど不可能です。残るは,事前通知なのですが当初これが心配でした。

担保権の設定や抹消等の事務を金融機関に包括的に委託している機構が,全国から到達するであろう事前通知に対応してくれるのだろうかと。何とか受託金融機関限りで終了するような方法はないものだろうか?

銀行に問い合わせたところ,本事例のような場合は事前通知制度を利用し,機構も適格に対応してくれるとことでした。これで安心して事前通知による抹消登記申請ができます。

但し,これが売買登記に係わる抹消の場合はどうするのでしょう?私は,ローンが完済していることは解除証書により証明され,後は手続上の問題だけなので,通常は売主が権利者となって行う抹消登記を,先に所有権移転登記を申請し,次いで買主が権利者として抹消登記を申請する形式を買主に提案し,承諾を得ようと思います。

事前通知のため,法務局と機構間の郵便の往復分登記期間はかかりますが,買主としてはとりあえず所有権移転登記確保し,後は空となっている抵当権の抹消の登記手続を待つ形にするのです。

それにしても,ローンを完済し銀行から抹消書類を受け取ったら,速やかに抹消登記を済ませないとこんなことが起こり得ます。もっとも,銀行も完済した借主に対し,抹消登記を強く促すよう説明をして欲しいものです。

借主はローンが終わったら安心してしまい,抵当権のことなど眼中になくなる場合がありますから。

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