タイトルに関心を抱き読んでみた。ビジネス書ではない。小説である。私にとっては初めて読む著者の本となる。
蔦重といえば、蔦屋重三郎。江戸中期に蔦屋耕書堂という出版書肆を経営し、さらに無名の歌麿を浮世絵師として売り出し、超有名絵師となる基盤を作った仕掛人。写楽の絵を世に売り出し世間を驚かして一大ブームを引き起こした。名プロデューサーである。反骨精神にも溢れていたようだ。
手許の『広辞苑』初版を引くと、「蔦屋2(=江戸日本橋通油町にあった地本問屋)の主人。本名北川珂理。耕書堂と号し、蜀山人・京伝等と親しく、歌麿・一九・馬琴等も一時その家に寓した。通称は蔦重(つたじゅう)または蔦十。自ら狂歌・戯文を作り、狂名蔦唐丸。寛政九年没。(1750-1797)」と説明されている。広辞苑最新版はさらに詳しく説明されているのかどうかは未確認。
江戸時代中期の文化史ではやはりキーパーソンに名を連ねる一人だろう。
興味を惹くタイトルではないか。本書は2014年2月に単行本として出版され、
今年(2021年)3月に双葉文庫の一冊として出版されている。
<序>を読み始め、一瞬とまどった。江戸時代のはずなのに、冒頭に「うぐっ・・・がっ、がぼっ・・・・げほっ・・・・ごっ・・・」というオノマトペの書き出し。続きに社長から早期依願退職か課長職のまま子会社出向かの選択を迫られる男のことが書き出される。広告代理店の営業職の課長、<序>では名前が出て来ない。なぜ、社長から会社人生の選択を迫られたのか、その背景が語られる。え~っ、この出だし、どうなるの?
実は、この男、やけくそで吉原大門町に桜なべを食べに行き、その後ちょっとバチ当たりな行為をしたことがきっかけで、江戸時代中期、天明5年(1785)にタイムスリップしてしまうのだ。それも、吉原遊郭のお歯黒ドブで溺れているところを、蔦屋重三郎に助けられるという形で・・・・・。
天明5年は、田沼意次が失脚する前年。天明6年には第10代将軍家治が没し、家斉が第11代を継承するとともに、松平定信による寛政の改革へと時代が推移する。その直前の江戸にタイムスリップしたのだ。
男の名は武村竹男。平成の世では55歳のメタボのおっさん。だが、なぜかこの江戸では25,6歳の体つきに若返えっている。ただし、頭はツルッパゲの丸坊主。助けた蔦重が妓楼の行燈部屋で目が覚めたこの男にまず尋問する。名前を聞き、タケと呼ぶことになる。蔦重が気にしたのはタケが心中くずれではないかということだった。その嫌疑が晴れると、蔦重はもちろん彼がどこの誰かを知りたがる。当然ながら、相互理解のためのトンチンカンなやり取りが続く。そのギャップがおもしろい。いわば異文化接触の一場面である。例えば、タケの下着、トランクスが伸び縮みすることに蔦重は興味を示す。そのからくりを教えろという。トランクスのウエストにゴムが入っているだけだが、勿論、このゴムが通じない!
蔦重は、タケの持っていたボールペンを手に取ってみて、タケがどこか未来から来た男らしいと理解した。それで、タケに興味をもち、しばらく蔦屋で与ってやろうと肚決めする。蔦重は周囲の人々を驚かさないように、タケが自分の過去の記憶を無くしていて現状がわからない男として説明する。いわば蔦重はタケが社会復帰できるように、しばらく面倒をみてやるという触れ込みである。
このストーリー、大きな構成としては、吉原遊郭の門前にある蔦屋吉原店でタケが居候となる時期から、日本橋通油町の蔦屋本店に寓してそこで下働きの手伝いをしながら見聞と体験をする時期に進展して行く。その間に吉原遊郭で蔦重が接待する宴に蔦重の指示を受けタケが末席に加わり、求められた役割を努める場面が織り込まれていく。
蔦屋吉原店は当時、歌麿が妻のりよと二人で店を任されつつ、絵の修行をしていた。蔦重が歌麿を浮世絵師として売り出す前の段階である。まずは、行燈部屋からこの蔦屋吉原店に移り、蔦重の指示で居候となる。タケはまず歌麿から江戸の事情、吉原遊郭の実情などを教えられ、江戸の生活を学びながら馴染んで行く。そして、おりよと絡む形のモデル役を指示され、歌麿が枕絵を描くために協力させられる羽目にも。おもしろい展開である。歌麿の案内で湯屋につれて行かれる。湯屋の実体験であるが、ここでも大きな失敗を演じる。当時の湯屋がどういうものかタケ自身が理解する。併せて読者にとっては江戸情報の副産物。勿論、当時の吉原遊郭事情も副産物になる。
蔦屋本店に移ったタケは、江戸時代の地本問屋、つまり出版業の仕組みを見聞、体験する。蔦重の発想と戦略による本の出版企画。木版本の制作プロセス-下絵書き、版木づくり、木版印刷、製本、店頭販売-の仕組みを知る。そして、タケは下働きとして問屋内での作業工程を見聞・体験して学んでいく。
このストーリー、タケの異文化(江戸文化)接触、失敗譚の満載がおもしおろおかしく読ませるところが一つの特徴である。それは裏返せば、遊郭と地本問屋という限定された範囲だが基礎的な知識が読者の副産物となる。
蔦重は本の企画出版絡みで、吉原の妓楼での宴会を開催する。狂歌作者を招待して宴を繰り広げる。蔦重の新規の出版企画と絡まる策略が裏にあった。その宴席にタケも加わる。カード型電卓を密かに使ってある座興を演じる。だが、その後調子に乗ってやったことで、宴会をぶち壊しかねない失敗をすることに。妓楼での遊び方に無知だったことに起因する失態だ。
タケは蔦重の傍にいて、様々な質問をすることから、蔦重の生き方、考え方や行動、地本問屋の経営に関わるノウハウなど、様々なことを学んで行く。蔦重はタケにとり人生の師匠という存在になる。それが「蔦重の教え」である。
歌麿から、下絵書きの習作段階の反故紙を風呂の焚き付けにと渡される。タケは後の世の歌麿の評価を知っているので、その反故紙を焚き付けに使わず、ひっそりと隠し持っておく。現実世界に戻れるとき持って買えれば価値を生む・・・・と。この行為がどうなるか、というのも楽しみにある。
タケは妓楼で起こるある事件を契機にして、平成の世に再度タイムスリップする。第9章、第10章、終章が「現代」の武村竹男を描く。
会社人生の選択を迫られていた武村竹男は、江戸で学んだことを活かして会社を退職し、新たな道に歩みだす決断をする。これがまた興味深い展開となっていく。娘と孫が生活するフランスへ移住するのだ。その直前に、江戸時代と平成時代をリンクさせるオチがついているからおもしろい。
このストーリーの末尾の一文を記しておこう。
「--人生は、こんなにも面白い。」(p361)
本書のもう一つの特徴は、p363~p378にある。ここに、ストーリーに点在する蔦重の会話に含まれていた「教え」に相当する箇所を抽出しまとめてある。教えのエッセンスを一行表記し、それに相応する会話箇所が抽出整理されている。
この部分は、会話体の抽出文を読むと、ストーリーの流れが想起されて、いわばその含蓄が現れてくる。お急ぎの方はここの会話体を読むだけでも学ぶところが多いと思う。
日常生活・人間関係並びにビジネスに役立つヒントに満ちている。
一行表記の形のエッセンス部分を抽出しご紹介しておこう。エッセンスだけ読めば、良く言われていること・・・・・になるかもしれない。だが、フィクションの形ではあるが、蔦重の人生の生き様とともに考えると深い意味を持っていると言えよう。
*物事を逆から考える
*人生は知恵比べ。考え抜いた方が勝つ
*付加価値を高める
*一流の人間(ブランド力)を使う
*生まれた地に貢献する
*情報収集を怠らない
*相手に期待をかけて頑張らせる
*気の合わない人間ほど丁寧に接する
*断る可能性が高い誘いはすぐ断る
*進言は素直に聞く
*世の中の全ての人を、悪人だと思え
*「三方よし」の関係をつくる
*わざと厳しく叱る
*人脈を生かし、口コミを使う
*己の天分を知った上で仕事に活かす
*人は得意なことで失敗する
*悪い予感は天からの忠告と心得、なおざりにしない
*三方向から見る目を持つ
*半歩先をゆくために保険をかけ、節約して資金を作る
*人の言葉を否定しない
*好きな仕事で人の役に立つ
*「あがり」を定めて人生を逆算し、梯子をかける
*相手にとって何が幸せかを考えれば騙されない
*根回しをする
*目標を持つ
*恩送りをする。
*時代の流れに気を配る
*物事や場所にも挨拶をする
*万物と未来に感謝する
*知識ではなく経験を語る
*約束を守り、相手の信用に報い続けていれば信頼される
*何かを捨てなければ、新しい風は入ってこない
最後に、写楽について触れておこう。平成の現世に戻ったタケに対する蔦重のメッセージとして、著者は写楽の画号を付けた絵師のことを語らせている。写楽は誰かという点について諸説がある。異なる仮説を前提とした小説もいくつか出版されている。この小説では、私が接したことのない仮説が蔦重のメッセージとして絵解きされている(p344~345)。それもありか・・・・・と興味深い。どんな絵解きかはお読みいただきたい。
ご一読ありがとうございます。
本書を読み、関心の波紋からネット検索してみた。一覧にしておきたい。
蔦屋重三郎(版元として出版物に登場):「江戸ガイド」
蔦屋重三郎 :「江戸ガイド」
蔦屋重三郎 :「コトバンク」
蔦屋重三郎 :「ジャパンサーチ」
『吉原細見』 蔦屋重三郎 :「国立国会図書館デジタルコレクション」
平賀源内 :ウィキペディア
平賀源内の世界 :「平賀源内記念館」
平賀源内 :「NHK for School」
勝川春章 :ウィキペディア
喜多川歌麿 :ウィキペディア
喜多川歌麿 :「錦絵でたのしむ江戸の名所」
喜多川歌麿の最高傑作「雪月花」。《吉原の花》来日で《深川の雪》と日本で138年ぶりの夢の再会 :「美術手帖」
喜多川歌麿 :「浮世絵のアダチ版画」
葛飾北斎 :「浮世絵のアダチ版画」
東洲斎写楽 :「浮世絵のアダチ版画」
歌川広重 :ウィキペディア
名所江戸百景 深川洲崎十万坪 :「錦絵でたのしむ江戸の名所」
江戸の版元、蔦屋重三郎の名プロデューサーぶり :「WEDGE Infinity」
蔦屋重三郎っ!?(サントリー美術館) :「歴史と旅&外出」の記録
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)
蔦重といえば、蔦屋重三郎。江戸中期に蔦屋耕書堂という出版書肆を経営し、さらに無名の歌麿を浮世絵師として売り出し、超有名絵師となる基盤を作った仕掛人。写楽の絵を世に売り出し世間を驚かして一大ブームを引き起こした。名プロデューサーである。反骨精神にも溢れていたようだ。
手許の『広辞苑』初版を引くと、「蔦屋2(=江戸日本橋通油町にあった地本問屋)の主人。本名北川珂理。耕書堂と号し、蜀山人・京伝等と親しく、歌麿・一九・馬琴等も一時その家に寓した。通称は蔦重(つたじゅう)または蔦十。自ら狂歌・戯文を作り、狂名蔦唐丸。寛政九年没。(1750-1797)」と説明されている。広辞苑最新版はさらに詳しく説明されているのかどうかは未確認。
江戸時代中期の文化史ではやはりキーパーソンに名を連ねる一人だろう。
興味を惹くタイトルではないか。本書は2014年2月に単行本として出版され、
今年(2021年)3月に双葉文庫の一冊として出版されている。
<序>を読み始め、一瞬とまどった。江戸時代のはずなのに、冒頭に「うぐっ・・・がっ、がぼっ・・・・げほっ・・・・ごっ・・・」というオノマトペの書き出し。続きに社長から早期依願退職か課長職のまま子会社出向かの選択を迫られる男のことが書き出される。広告代理店の営業職の課長、<序>では名前が出て来ない。なぜ、社長から会社人生の選択を迫られたのか、その背景が語られる。え~っ、この出だし、どうなるの?
実は、この男、やけくそで吉原大門町に桜なべを食べに行き、その後ちょっとバチ当たりな行為をしたことがきっかけで、江戸時代中期、天明5年(1785)にタイムスリップしてしまうのだ。それも、吉原遊郭のお歯黒ドブで溺れているところを、蔦屋重三郎に助けられるという形で・・・・・。
天明5年は、田沼意次が失脚する前年。天明6年には第10代将軍家治が没し、家斉が第11代を継承するとともに、松平定信による寛政の改革へと時代が推移する。その直前の江戸にタイムスリップしたのだ。
男の名は武村竹男。平成の世では55歳のメタボのおっさん。だが、なぜかこの江戸では25,6歳の体つきに若返えっている。ただし、頭はツルッパゲの丸坊主。助けた蔦重が妓楼の行燈部屋で目が覚めたこの男にまず尋問する。名前を聞き、タケと呼ぶことになる。蔦重が気にしたのはタケが心中くずれではないかということだった。その嫌疑が晴れると、蔦重はもちろん彼がどこの誰かを知りたがる。当然ながら、相互理解のためのトンチンカンなやり取りが続く。そのギャップがおもしろい。いわば異文化接触の一場面である。例えば、タケの下着、トランクスが伸び縮みすることに蔦重は興味を示す。そのからくりを教えろという。トランクスのウエストにゴムが入っているだけだが、勿論、このゴムが通じない!
蔦重は、タケの持っていたボールペンを手に取ってみて、タケがどこか未来から来た男らしいと理解した。それで、タケに興味をもち、しばらく蔦屋で与ってやろうと肚決めする。蔦重は周囲の人々を驚かさないように、タケが自分の過去の記憶を無くしていて現状がわからない男として説明する。いわば蔦重はタケが社会復帰できるように、しばらく面倒をみてやるという触れ込みである。
このストーリー、大きな構成としては、吉原遊郭の門前にある蔦屋吉原店でタケが居候となる時期から、日本橋通油町の蔦屋本店に寓してそこで下働きの手伝いをしながら見聞と体験をする時期に進展して行く。その間に吉原遊郭で蔦重が接待する宴に蔦重の指示を受けタケが末席に加わり、求められた役割を努める場面が織り込まれていく。
蔦屋吉原店は当時、歌麿が妻のりよと二人で店を任されつつ、絵の修行をしていた。蔦重が歌麿を浮世絵師として売り出す前の段階である。まずは、行燈部屋からこの蔦屋吉原店に移り、蔦重の指示で居候となる。タケはまず歌麿から江戸の事情、吉原遊郭の実情などを教えられ、江戸の生活を学びながら馴染んで行く。そして、おりよと絡む形のモデル役を指示され、歌麿が枕絵を描くために協力させられる羽目にも。おもしろい展開である。歌麿の案内で湯屋につれて行かれる。湯屋の実体験であるが、ここでも大きな失敗を演じる。当時の湯屋がどういうものかタケ自身が理解する。併せて読者にとっては江戸情報の副産物。勿論、当時の吉原遊郭事情も副産物になる。
蔦屋本店に移ったタケは、江戸時代の地本問屋、つまり出版業の仕組みを見聞、体験する。蔦重の発想と戦略による本の出版企画。木版本の制作プロセス-下絵書き、版木づくり、木版印刷、製本、店頭販売-の仕組みを知る。そして、タケは下働きとして問屋内での作業工程を見聞・体験して学んでいく。
このストーリー、タケの異文化(江戸文化)接触、失敗譚の満載がおもしおろおかしく読ませるところが一つの特徴である。それは裏返せば、遊郭と地本問屋という限定された範囲だが基礎的な知識が読者の副産物となる。
蔦重は本の企画出版絡みで、吉原の妓楼での宴会を開催する。狂歌作者を招待して宴を繰り広げる。蔦重の新規の出版企画と絡まる策略が裏にあった。その宴席にタケも加わる。カード型電卓を密かに使ってある座興を演じる。だが、その後調子に乗ってやったことで、宴会をぶち壊しかねない失敗をすることに。妓楼での遊び方に無知だったことに起因する失態だ。
タケは蔦重の傍にいて、様々な質問をすることから、蔦重の生き方、考え方や行動、地本問屋の経営に関わるノウハウなど、様々なことを学んで行く。蔦重はタケにとり人生の師匠という存在になる。それが「蔦重の教え」である。
歌麿から、下絵書きの習作段階の反故紙を風呂の焚き付けにと渡される。タケは後の世の歌麿の評価を知っているので、その反故紙を焚き付けに使わず、ひっそりと隠し持っておく。現実世界に戻れるとき持って買えれば価値を生む・・・・と。この行為がどうなるか、というのも楽しみにある。
タケは妓楼で起こるある事件を契機にして、平成の世に再度タイムスリップする。第9章、第10章、終章が「現代」の武村竹男を描く。
会社人生の選択を迫られていた武村竹男は、江戸で学んだことを活かして会社を退職し、新たな道に歩みだす決断をする。これがまた興味深い展開となっていく。娘と孫が生活するフランスへ移住するのだ。その直前に、江戸時代と平成時代をリンクさせるオチがついているからおもしろい。
このストーリーの末尾の一文を記しておこう。
「--人生は、こんなにも面白い。」(p361)
本書のもう一つの特徴は、p363~p378にある。ここに、ストーリーに点在する蔦重の会話に含まれていた「教え」に相当する箇所を抽出しまとめてある。教えのエッセンスを一行表記し、それに相応する会話箇所が抽出整理されている。
この部分は、会話体の抽出文を読むと、ストーリーの流れが想起されて、いわばその含蓄が現れてくる。お急ぎの方はここの会話体を読むだけでも学ぶところが多いと思う。
日常生活・人間関係並びにビジネスに役立つヒントに満ちている。
一行表記の形のエッセンス部分を抽出しご紹介しておこう。エッセンスだけ読めば、良く言われていること・・・・・になるかもしれない。だが、フィクションの形ではあるが、蔦重の人生の生き様とともに考えると深い意味を持っていると言えよう。
*物事を逆から考える
*人生は知恵比べ。考え抜いた方が勝つ
*付加価値を高める
*一流の人間(ブランド力)を使う
*生まれた地に貢献する
*情報収集を怠らない
*相手に期待をかけて頑張らせる
*気の合わない人間ほど丁寧に接する
*断る可能性が高い誘いはすぐ断る
*進言は素直に聞く
*世の中の全ての人を、悪人だと思え
*「三方よし」の関係をつくる
*わざと厳しく叱る
*人脈を生かし、口コミを使う
*己の天分を知った上で仕事に活かす
*人は得意なことで失敗する
*悪い予感は天からの忠告と心得、なおざりにしない
*三方向から見る目を持つ
*半歩先をゆくために保険をかけ、節約して資金を作る
*人の言葉を否定しない
*好きな仕事で人の役に立つ
*「あがり」を定めて人生を逆算し、梯子をかける
*相手にとって何が幸せかを考えれば騙されない
*根回しをする
*目標を持つ
*恩送りをする。
*時代の流れに気を配る
*物事や場所にも挨拶をする
*万物と未来に感謝する
*知識ではなく経験を語る
*約束を守り、相手の信用に報い続けていれば信頼される
*何かを捨てなければ、新しい風は入ってこない
最後に、写楽について触れておこう。平成の現世に戻ったタケに対する蔦重のメッセージとして、著者は写楽の画号を付けた絵師のことを語らせている。写楽は誰かという点について諸説がある。異なる仮説を前提とした小説もいくつか出版されている。この小説では、私が接したことのない仮説が蔦重のメッセージとして絵解きされている(p344~345)。それもありか・・・・・と興味深い。どんな絵解きかはお読みいただきたい。
ご一読ありがとうございます。
本書を読み、関心の波紋からネット検索してみた。一覧にしておきたい。
蔦屋重三郎(版元として出版物に登場):「江戸ガイド」
蔦屋重三郎 :「江戸ガイド」
蔦屋重三郎 :「コトバンク」
蔦屋重三郎 :「ジャパンサーチ」
『吉原細見』 蔦屋重三郎 :「国立国会図書館デジタルコレクション」
平賀源内 :ウィキペディア
平賀源内の世界 :「平賀源内記念館」
平賀源内 :「NHK for School」
勝川春章 :ウィキペディア
喜多川歌麿 :ウィキペディア
喜多川歌麿 :「錦絵でたのしむ江戸の名所」
喜多川歌麿の最高傑作「雪月花」。《吉原の花》来日で《深川の雪》と日本で138年ぶりの夢の再会 :「美術手帖」
喜多川歌麿 :「浮世絵のアダチ版画」
葛飾北斎 :「浮世絵のアダチ版画」
東洲斎写楽 :「浮世絵のアダチ版画」
歌川広重 :ウィキペディア
名所江戸百景 深川洲崎十万坪 :「錦絵でたのしむ江戸の名所」
江戸の版元、蔦屋重三郎の名プロデューサーぶり :「WEDGE Infinity」
蔦屋重三郎っ!?(サントリー美術館) :「歴史と旅&外出」の記録
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)