安保法制懇の報告書を受けて、今日にも集団的自衛権行使に関する安倍政権の基本的方向性が記者会見において発表されるとのことです。以前にも「解釈改憲の危険性」「解釈改憲の危険性(2)」で書いておりますように、解釈改憲に突き進むことが立憲制にとって危険極まりないことは今更言うべきことでもないでしょう。今後は、政権与党内での議論が行われた後、閣議決定といった段取りとなるのでしょう。その後やっと関連法の整備のため国会での議論となるものと思われます。
何となく順序が逆のような気がします。そもそも国会は国権の最高機関(憲法第41条)であるのであって、そもそも憲法擁護義務がある国務大臣(憲法第99条)が憲法違反の疑いがある事項を閣議決定することに対して矛盾があるものと考えます。閣議決定後に有事が発生した場合には、法的根拠なしに対処せざるを得ないことにもなりかねません。違憲かどうかは別として、少なくとも立法処置がとられることが先でしょう。
本来ならば憲法改正が先に来るべき事項を解釈改憲といった姑息ともいえるような手段によって乗り切ろうとすること自体が問題なのです。たとえ、このような手段で所期の目的を達したとしても、必ずや将来に禍根を残すことになるでしょう。ここは正々堂々と正面から物事の解決に臨むべきであって、集団的自衛権に関するこのようなあり方は、安倍首相らしからぬやり方であると思います。