滅多にないことですが、新聞に掲載されていた書評を読んで購入しました。
ウォルター・ルーウィン著(東江一紀訳)「これが物理学だ!-マサチューセッツ工科大学「感動」講義」
今までに多くの物理学関連の書籍を読んできました。本棚を眺めてみると、そのほとんどが理論物理学者の手になるものでした。本書を読んで、その新鮮な切り口に感銘を覚えました。
私が学生だった頃、専門課程の初っ端に「物理実験学」なる科目の講義を受けました。誤差論を中心に、実験データの処理方法を学ぶものです。物理を学ぶ上では重要なことと分かってはいても、その無味乾燥な内容に正直退屈で仕方ありませんでした。
本書の冒頭の講座紹介でウォレン・ゴールドスタイン氏が著者の初回授業の内容を次のように紹介しております。 -以下引用- 「測定を行ううえで何より重大な問題は、きみたちの測定の不確かさだ。不確かさの自覚なしに行う測定は、いかなる場合も意味がない。」 -以上-
このように冒頭から衝撃を受けてしまいました。物理実験学の講義がかようなものであったなら、もっと真面目に講義を聴講したものと思います。
教育は教師に負うところが大きいものと考えます。教育制度について色々と議論されております。しかし、どのように立派な制度や施設が整っていても、最後は教える側と学ぶ側の一対一の真剣勝負が出来なければ真の教育とは言えないのではないでしょうか。そういった意味でも、教師の役割の重要さを改めて認識した次第です。