ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

デンマーク: 地方の人口が減る傾向・・・

2016-04-17 21:22:17 | 日記
2016年4月17日(Sun.) デンマークでは、田舎(地方)の人口が減る傾向にあるようです。(ニュースソース: CPH POST ONLINE  一昨日の情報です。)

<原文の一部>
Fewer Danes living in rural areas
Increasing housing price disparity between rural and urban districts

Danes are finding themselves increasingly isolated in the country (photo: iStock)

April 15th, 2016 3:44 pm| by Christian W
More and more Danes in rural areas are packing up and relocating to the big cities, according to a new report by Nykredit bank.

The report showed that pretty much all larger cities in Denmark are experiencing population increases, while smaller towns and villages are haemorrhaging residents.

“It’s a very potent trend that clearly indicates that there are massive population changes taking place in rural areas,” Mira Lie Nielsen, a housing economist with Nykredit, told Finans.dk.

“The tendency to drift towards the big city life has increased in the years following the financial crisis and the new type of jobs that are largely city orientated. The industrial and agricultural jobs, which have traditionally been in rural areas, have been reduced dramatically in recent years.”

Housing differences
From 2010-2016 the number of people in Copenhagen increased from 1,181,239 people to 1,280,371, while the populations in rural districts have dropped from 728,882 to 695,306 during the same timeframe.

In fact, 38 percent of all Danes live in Copenhagen or one of the other large cities in the country – a 6 percent increase in just six years.

The trend has also led to a considerable disparity in housing prices between urban and rural areas. A 140 sqm home costs on average 487,000 kroner in Lolland, but 5.2 million kroner in Gentofte.

(抜粋)デンマークでは、地方人口が減少する傾向にあります。その影響もあって、都市部との住宅価格の格差が増大していると伝えています。金融危機(リーマンショックか)以降、都市部の産業に依存する傾向が高まり、逆に、地方での産業や農業は劇的に衰退する傾向があるとしています。

2010年から2016年にかけて、コペンハーゲンの人口は1,181千人から1,280千人に増加、地方は728千人から695千人に減少したそうです。およそ38%の人口が都市部に集まっていますが、この6年間で6%の人口増加になっています。

この結果、住宅価格の格差も広がっており、140㎡の家で、ロラン( Lolland )では487,000DKK(デンマーク・クローネ)ですが、ゲントフテ( Gentofte )では5,200,000DKKとなっています。(これは10倍以上の格差です。)




デンマークの人口は約5,600千人ぐらいを推移していると思いますが、地方と都市部での人口移動が、かなりの勢いで進んでいるようです。私がデンマークに滞在したのは2012年のことですが、そうした話題には触れることはありませんでした。しかし、上のニュースによると、この6年間でそれは顕著になってきているようです。

私がお世話になった農場は、首都コペンハーゲンのあるシェラン島の南部に位置するネストヴェズと言う地区にありました。コペンハーゲンまでは直線距離で約80kmの場所です。この年(2012年)の5年前に、この農場を借りて、一家で引越ししてきた5人家族でした。つまり、2007年頃に移動したのでしょう。

上の調査期間である6年間とは時期的にズレがありますが、この家族の場合は「田舎」に来たわけです。ご主人はサラリーマンとして、首都コペンハーゲンまで高速道路を使っての通勤をしています。いずれにしても、通勤手段等が確保できているので、農場(牧場)での暮らしが継続できているのでした。

こうした農山村での暮し・生活に意義を見出そうとする人たちにとっては、かけがえのないルーラルな地域なのでしょう。3Kなどを嫌う人達とは価値感そのものが違うのではないでしょうか。

地元に産業があるか、農場で生計を立てるか(専業農家では100~300ヘクタールの農場が相場: デンマーク)、兼業等で乗り切るか・・・。様々な方法があるのでしょうが、地方でも生きる方法はあるのでしょう。



一方、2013年のドイツ滞在は、ノルトライン・ヴェストファーレン州(NRW)のラーデンと言うルーラルな地方都市(人口6千人)でしたが、人口減少問題など存在しない・・・とキッパリと言われました。地方や地域を大切にしてきた歴史的な背景もあるのでしょうが、ドイツ人の思考は、一味違うなと感じさせるものでもありました。

下はデンマークの地図ですが、ゲントフテは首都コペンハーゲンの中心部から7kmぐらい北の街です。また、ロランは、シェラン島の南(下側)のロラン島内を示しています。それにしても大まかな比較であったとしても、住宅価格が10倍以上も異なるとは驚きです。ちなみに、1DKKは17円前後だと思いますので、上記の住宅価格に17倍してみて下さい。 ローカルでは1千万円以下、コペンハーゲン近くでは8~9千万円と言うことでしょうか。かなりインパクトのある数字ですね。

地図  出典: Google Earth



デンマークに於いても様々な問題・課題は存在するようです。しかし、地方や地元を大切にする考えを大切にして、先祖から伝わるその地で生き延びる(継続する)術を見出してもらいたいと切に願うばかりです。 これは日本に於いても言えることでしょう。

それぞれの地域特性を見出しながら、持続可能な社会・地域を目指したいものです。やはり、その地域や先達の歴史を学ぶと、その特質などが見えてくるのではないでしょうか。 「先祖に感謝している・・・」は、1783年(2百年以上前)に建築された家に、今も住み続けるドイツ・NRW州ラーデンのOさんの言葉です(お世話になった農家)。


*** 下の写真は、記事内容とは関係ありません。




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