ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ドイツでの農場体験(23) <お墓の話?・・・ >

2014-03-28 21:46:52 | 日記
2013年10月21日(月)、ホストの奥さん(Eさん)が14時過ぎに外から戻ってきて、一人で昼食を食べていました。私は近くで乾燥マッシュルームを使った新商品のパッキングを続けています。Eさんは実母の介護に行ってきた帰りのようでした。そして突然私に日本のお墓について訊いてくるのです。日本のお墓はどんな形なのか、火葬かそうでないのか、また、それは個人で選択できることなのか・・・。唐突な話ではありましたが、私は身振り手振りを加えながら日本のそれらについて説明したのです。
(写真: 庭に咲く花)

どうもこの日の午前中、Eさんは実母とそうしたことについて話し合っていたようなのです。実母の願いとしては火葬された自身の灰は、樹木の根元に埋めて欲しいと言っているとのことであり、ドイツではそうした方法も選択肢の一つとしてあるらしいのです。

例えば、10人で一本の樹木を共有(シェア)することもできるし、樹齢2百年の大樹を個人が一人で占有する方式もあるとのことです。この場合は相応に費用が高額になると言っています。いずれにしても、その樹木には個人名が書かれたプレートが取り付けられるとの説明でした。

Eさんは言います。「私も樹木の下に眠りたい」と。そして何故かわからないのですが、自分の前世は樹木であったような気がするからそうしたいとも言うのでした。Eさんがハーブ等の植物を育てる仕事を好きでやっていることとも関係があるのかも知れません。
(写真: Eさんのハーブ園の一部)
(写真: 庭に積まれた薪とハーブ)

また、ドイツでは火葬かそうでないかは選択することができるらしいのです。それにしても、Eさんは少し疲れているように見えました。また、父親は既に他界しているので、実母に対するある種の思いが募って、こうした話を私にしてきたように思えたのです。

思い出されたのは、8月中旬にこの地に来た直後、食堂で私がパソコンに向っていた時のことでした。当時はポーランドの娘(こ)も居たのですが、Eさんはそのポーランドの娘に実父の写真を見せながら「父に似ているでしょう!?・・・」と。つまり、私がうつむいてパソコンに向っている横顔が、Eさんの亡くなった父親に似ていると言っているのでした。私もその写真を見せてもらいましたが、斜め上から見下ろすような視線で見た場合、多少は似ているかも知れません。が、私は日本人、Eさんのお父さんはドイツ人、似ているわけがない・・・と思い、私は「まさか」と言ってお茶を濁しておいたのでした。

あきらかに人種としては異なっているので肌の色も違っているのでしょうが、どこか形態的に似通った部分もあったのかも知れません。この日、「お墓」の話を聞いてきたことも、こうしたことが伏線としてあったからかも知れないと後から思ったのでした。

さて、ここラーデンでの滞在期間も残り僅かになりつつあります。ホストのOさんは夕食後に一緒にテレビ(録画)を見ようと誘ってくれました。イギリスのBBCが制作した「エドワーディアン」と言う題名のテレビ番組です。内容は少し前(2百年ぐらい前か)の時代のイギリスにおける農場の模様を再現したもので、ジローも関心があるのではないかと、Oさんがネットでダウンロードしたもののようでした。

12回に渡ったシリーズ物で、この日は第一・第二話の2本分を見たのです。BBC制作なので英語です。私にはやや速い口調に聞こえるのですが、何割かは理解できました。Oさんは問題なく聞き取れるそうです。(Oさんは英語はペラペラなのです。)

翌日の22日の夕食後も同じように次の2本分を見ることになったのです。

さらに、22日の夕食では、Oさんが特別のメニューを用意してくれました。ブラウントラウト(鱒)をスモーカー(燻製器)で調理してくれて夕食に出してくれたのです。その燻製器は私が見たことのないタイプでした。蓋がついているのですが、中に魚とスモークチップを入れておいて、蓋を開けた状態で4分間熱し、その後は蓋をした状態で17分間熱するのです。火力は液体アルコールです。熱すること僅か21分間でスモーク完了です。

できたてのブラウントラウトの燻製をいただきました。身がプリプリで香りもよく「旨い!」の一言でした。こんなスモーカーは見たことがありません。日本でも入手できるのでしょうか。Oさんは2年程前に50ユーロぐらいで買ったと言っていました。

Oさんの「サービス」(?)も、残り少ない滞在期間の私に対するプレゼントのような気がしていました。感謝です。
(写真: 夕暮れのラーデン中心街)
~続く~


ドイツでの農場体験(22) <早く開店させたいファームショップ >

2014-03-27 22:14:31 | 日記
2013年10月19日(土)、いつものように7時頃には起床し朝食をセルフサービスでいただきます。日の出は徐々に遅くなっており8時頃でもまだ暗いのでした。しかし、この日の朝は東の空が赤く染まって見事な色合いを醸し出しています。なかなかここまでの美しい色は拝むことができないので、急いで部屋までカメラを取りに戻り、そして何枚か撮影をしました。ちょっとした記念写真になったかも知れません。
(写真: 見事な朝焼け、10月19日朝8時10分頃)

さて、作業はドライマッシュルームを使った新商品のパッキングが相変わらず続いています。一人で一日にできる数量はおよそ40パックぐらいでした。商品としての種類は5種類ほどまで広がっています。これらが順調に販売できるようになることを願いながら作業していました。

ところで、Oさんはこれらの新商品を主にネットで販売しているのですが、近い将来(翌年ぐらい)には自分の農場内の一角に「ファームショップ」を開くことを目指しており、その開店を奥さんのEさんとともに早くしたいと願っているのです。そのショップは現在30~40%の完成レベルでしょうか。
(写真: 左側がファームショップになる予定)

実は、この「ファームショップ」もOさんが自分で作っているのです。現在もある作業小屋(stable)の道路に面した側の一角をその部屋に改築中なのです。床板や天井板は既に敷き詰められています。壁はあるのですが、その壁の中に暖房用の温水かスチームを通す配管をする予定とのことで、そこが未着手の為に最終的な壁板は取り付けていない状態なのです。また、天井裏には断熱効果を高めるための断熱材を敷き詰める予定です。この断熱材は廃材の発泡スチロールをカットして複数枚貼り付けたものであり、私が8月~9月にかけて製作したのでした。

このファームショップが完成すれば、自家栽培のマッシュルームを店頭販売できるし、また、保存食品化した新商品等もネット販売とは別に販売できるのです。また、奥さんのEさんはハーブの苗をポット植えして販売していますが、近隣での定期的なマーケットや週末等に開催されるイベント的なマーケットで移動販売(車で持ち込み)しているのが中心です。しかし、それ以外にも自宅での店頭販売も強く望んでいるのでした。
(写真: Eさんが手がけるハーブ)

ご主人のOさんは大工の技術も身に着けている人なので、こうした店舗作りも問題はないのですが、やはりマンパワーに限界があるようでした。メインのマッシュルーム栽培の合間を利用して、こうした他のジョブもこなしているため、思い通りには物事が進展していない状況でした。私もその一部についてお手伝いした形にはなっていますが、完成は早くても2014年のどこか・・・になる模様です。

早くこの「ファームショップ」が開店できることを私も願っている次第です。その考えをお二人に伝えた時、奥さんのEさんは強く頷いて「その通り、私も早くオープンさせたい・・・」とご主人のOさんに訴えていました。

さてここラーデンでの休日は翌日の日曜日を含めて残すところ2回になっています。バイオガスの施設の写真も撮りに行きたいし、天気が晴れることを期待していたのでした。

そして20日(日)の当日、天候は芳しくありません。雨が降ったようで路面は濡れているのです。目的地までは自転車で往復4時間程度の見込みなので、ちょっと行って来ると言う感じで出発はできないのでした。昼ごろまで待ちましたが天候はスッキリせず、この日のサイクリングは断念。翌週の最終休日に賭けることになったのです。

と言うことで、この日の昼食は向かいにあるインビス(Imbiss)へ行きました。以前のブログにも書きましたがインビスとはファーストフード店のようなものです。メインの売り物はケバブ(トルコ料理)です。ピザやパスタ、シュニッツェル(トンカツに近い)等もあり、結構品揃えが豊富です。ソフトドリンクの他にビールも飲むことができます。この日はこの店での単体価格としては一番高い部類のシュニッツェルを頼みました。それでも8.2ユーロですから日本円換算でおよそ1100円ぐらいです。セットメニューなのでサラダもポテトも含まれていて、妥当な価格と言ったところでした。
(写真: インビス)

この店の価格帯については以前も書いていますが、4~6ユーロぐらいが中心価格帯で日本の同等品と比較すると安い印象なのです。それも幸いしているのか、人口6千人のこの街ラーデン、周辺人口を加味すると1万6千人と聞いていますが、このインビスへの来客は思いの他多いのです。中学生や高校生相当の年代も見かけるし、中高年も来店しています。休日の昼間に開店しているレストラン系が少ないことも影響しているのかも知れませんが、これぐらいの人口規模の街にしては結構賑わっているなァ・・・と言う印象です。

この街では世代をまたがって子供達や若い人から年配の人まで満遍なく暮していて、高齢化社会になっているわけではないようです。こうした環境が日本と何かが違うと言う印象を私に抱かせたのかも知れません。まるで日本の10万人都市にでもいるかのような錯覚を抱くのでした。
(写真: ローラーブレードの女の子)

ドイツの場合、歴史的背景もあって地方分権や地方自治が浸透・継続しており、一極集中にはなっていないことが、上述のような状況を作り出しているのであろうと感じた次第です。
~続く~


ドイツでの農場体験(21) <庭の果実も上手に活用・・・ >

2014-03-26 23:57:24 | 日記
2013年10月14日(月)、この頃から乾燥マッシュルームを使った新しいミクシング商品を作り始めていました。それはマッシュルームの他に、庭で採れたリンゴと洋梨の乾燥させたものをミクシングしたものでした。この新しいミクシングを考えたのもホストであるOさんですが、決定前にはOさん自らパスタを調理して私達に試食させ、そして感想を聞くのでした。
(写真: ドライフルーツ入りの新商品)

パスタにドライフルーツを加えたものを食べるのは私は初めてでした。しかし、リンゴも洋梨(Pear)もその独特の甘味が出ていて意外に美味しかったのです。もう少し多め目に入っていても良いかも知れないと感じたくらいで、「これは行ける!」と言うのが私の感想でした。

そのフルーツは庭で収穫できるのですが、日本の果樹栽培農家とは違って、数えるほどの林檎の樹・洋梨の樹があるのみです。樹齢はよくわからないのですが、樹高は7・8mはあると思われるかなりの年数が経った果樹のようです。Oさんの先祖が植えたと言っていました。毎年一定の収穫はあるようですが、自然の生育に任せているので、果実の大きさも形も色づきもまちまちです。それでも自家用として食べたり、ジャム等に加工する意味では十分過ぎる収量があるのです。
(写真: 林檎の樹)

大半は自然落下したものを収穫することにしているようです。地面は厚さ数cmほどの草地になっているので、落下の際の衝撃は和らげられているようです。運悪く薪の山に落ちたようなものは多少のヒビが入っていますが、加工して食すには問題ないのでした。

この時期、リンゴは毎日二十~三十個は落ちています。洋梨はそれよりは少な目でしたが十分な数でした。集めた果実を籠に入れて2・3日、庭に放置しておくのですが、特に甘みが強くて「蜜」のような果汁が出てくる洋梨には、蜜蜂がそれを吸いに集まっているのです。大きさや形は店で販売しているものに比べれば優れているとは見えませんが、味はよいのです。実際に何回も食べてみましたが完熟に近いこともあって実に美味しいのでした。そしてそれは蜜蜂達が一番良く知っているようでした。
(写真: 収穫された果実)

私達の作業は、この果実を収穫し皮剥きしてカット、そして小型の乾燥機に並べて一晩乾燥させ、翌日以降、マッシュルームとミクシングしてパスタ用材料としての新商品に仕上げることでした。こうした作業は、私がこの地を離れる10月末まで続くのでした。
(写真: ドライフルーツ)

広くはない庭ですが、先祖が植えてくれた果樹を今も収穫し、その恵みを有り難く頂戴するとともに、生で食し切れない分については保存食に加工し、瓶詰め等して地下室に保存。また、ドライ加工して新商品として販売もする・・・。ある意味、自給自足していた時代のやり方を踏襲しつつ、且つ、発展的に一部を改良している・・・そうした印象を持ったのです。

Oさんが言っていましたが、大規模栽培や大量生産による販売等は全く考えていなくて、比較的小規模な地域としての経済循環を目指しているのです。もちろん、その地域内での調達が不可能な商品やサービス等については外部に頼るわけですが、そうしたものについても中規模エリア内で供給ができることが望ましいと考えているようでした。

大量生産してそれを高速道路網や鉄道・船舶等で運搬して・・・と言うのは、全てを否定しているわけではないのですが、それは限定的なものに限るべきだ・・・と言うのが考え方の底辺に流れているようでした。大量生産の陰には人の手間隙を省く為に、時に農薬や化学肥料等も使わざるを得ない・・・どこかにその弊害が及ぶのでしょう。安全や安心を確保するにはそれなりのコストが必要と言うことは言うまでもないことかも知れません。そうしたことを改めて感じさせられるOさんの暮らしぶりでもありました。そしてそれは地域社会のあり方の一つを示しているのではないかと思わせるのでした。

ところで、この庭には大きな胡桃(くるみ)の樹も植えられていて、やはりこの時期にその実が庭に落下しているのです。落葉もたくさんあって、その落葉に埋もれている胡桃もあります。足で落葉を踏みつけながら歩いてみると、その固い感触から容易に見つけることができるのでした。この胡桃拾いも何回かやりました。恐らく何百個と言う数を収穫したことになるでしょう。
(写真: 胡桃の樹)

一方、この胡桃は小屋に巣くう「鼠」の格好の餌になっているようです。倉庫代わりにもなっている小屋(barn)の中の隠れた場所には、前年のものと思われる胡桃の殻が、かじられた痕を残してころがっています。2012年のデンマーク滞在の時には鼠との壮絶(?)な戦いの日があったことを思い出しましたが、このドイツの農場では鶏や雛は飼っていないので、その面での被害にはつながっていないようなので安心でした。
(写真: 小屋・barn)

この胡桃に関しては、どのように利用するのかを見ることは滞在期間中にはできませんでした。しかし、OさんやEさんのことですから様々な食材に使ったことでしょう。Oさんの言葉には、しばしば先祖への感謝の気持ちが現れるのでした。良いことだと素直に感じました。
~続く~



ドイツでの農場体験: ちょっと一休み

2014-03-24 21:45:14 | 日記
2013年10月中旬、ラーデンでの滞在も残すところ2週間ほどとなっていました。8月中旬にドイツ入りして凡そ2ヶ月が経っており、ドイツで気になったこと等を少し整理してみました。

一つ目は喫煙者についてです。感覚的な話で申し訳ないのですが、私個人の印象としては喫煙者は多い・・・イメージです。ホストのご夫婦は二人とも喫煙者です。ご主人のOさんは結構吸います。毎日の仕事開始の時刻は10時ですが、当日の仕事内容の指示よりもタバコが先です。一服してから仕事の打ち合わせに入ります。奥さんのEさんも時々喫煙していますが、昼食後に見かけるくらいで、しかも必ずではなさそうでした。また、喫煙場所は自宅内でも限定的であり、皆が集まる食堂は禁煙になっています。屋外で吸っていることが多そうでした。

一方、街中ではどうでしょうか。若い女性も昼休み時などに屋外で喫煙しているのをしばしば見かけます。ホストのOさんと喫煙を話題にした時の話ですが、週末の金曜日の夜などにスーパーの駐車場に行けば、若者がたむろしたり喫煙したりしている姿が見れる・・・とのことでした。(非合法的な意味合いでした。)

まァ、それでも自分が見かけた喫煙マナーそのものは良い印象でした。

次に、「マナー」の言葉が出たのでマナーについて気になったことです。列車を使っての旅行・移動は何回かしましたが、気になったのは列車内でのマナーです。一度目は中学生ぐらいの男子でした。ボックス型の対向座席にその男子は座りました。そして向かい側の座席に靴を履いたままの足を投げ出して載せているのです。混雑はしていなかったのですが、汚れているかも知れない靴を座席の上に平気で載せているのには驚きました。

2回目に見かけたのは母娘連れです。娘はハイスクール(高校生)ぐらいかと思います。この時もボックス型の対向座席でしたが、母親は普通に座っていますが、娘は靴を履いたままの足を向かいの座席の上に載せています。それでも母親は何も注意しません。この国ではこれは普通のことなのかと思ってしまいました。2度も類似の光景を目にしたので印象に残りました。

三つ目は、犬の放し飼いが多いことです。もちろん、犬の散歩時にリードをつけている人も何回かは見ていますが、サイクリングで近郊を走行した時、各家庭で飼っている犬は大半が放し飼いでした。自転車で近くまで走行して行くと、それに気づいた犬が吠え出すのです。多くは庭で走り回っており、自転車で走行する私に駆け寄ってくる犬もいました。小さい犬の場合は恐れることは全くないのですが、大型犬もいます。さすがにちょっとストップです。ただ多くの場合、飼い主が近くにいたりして飼い主が犬を吠えないように叱るので、それで大事には至らないわけです。

次は車についてです。「飛ばし屋」が多い・・・とは以前のブログにも書いたことがあります。車のメーカーについては、本場ドイツとあってドイツ製が多く見られました。これも印象でしかないのですが、フォルクスワーゲンが多かったように思います。次にアウディ、BMW、ベンツ、そしてオペルやフィアット等。日本製としてはホンダやマツダ、そしてトヨタやニッサンもチラホラ、韓国製も時々見かけました。


アウディの日本でのイメージはジェントルで女性向(かつての印象ですが)と言った感じでしたが、ドイツでのそれはスポーティそのものでした。幅広のタイヤで車高もやや低め・・・ウーム、これはスポーツカーだな。そしてVWゴルフのR32(3.2リッター)はデュアルエグゾーストパイプがスパルタンなイメージ、しかし、何れも街中では大人しい走りでした。ただし、エグゾーストノイズだけは太いノイズでした。また、時々は車高を低くした改造車も走っていました。そうした車も走行マナーは問題ありません。


車種に限らずですが、歩行者が横断歩道の前に立つと100%車は停まってくれます。これは日本のそれとは大違いです。横断歩道に近づいた時点で停まって待ってくれています。歩行者(弱者)を保護・優先する考えが浸透していると実感しました。これはラーデンに限らず100万人都市のケルンでも同じでした。


親切な人が多かったドイツ、多くの点で見習いたいマナーがありましたが、ちょっぴり残念な場面もあったのです。
~続く~

ドイツでの農場体験(20) <ミンデンに行ってみました >

2014-03-13 21:26:59 | 日記
10月12日(土)、朝はいつも7時頃に起きているのですが、この時期はまだ暗いのです。8時15分ぐらいになってやっと日の出を迎えるのでした。ドイツでもまだサマータイムの期間ですが、2週間ほど後の10月27日にはサマータイムが終了することになっています。例えば、10時が9時に変更となります。日本との時差で言えば、サマータイムの期間中は時差が7時間なのですが、切り替え後は時差8時間になるのです。

作業の方は相変わらずマッシュルーム関係が続いています。収穫と水遣り、そして、乾燥させたマッシュルームのミクシングとパッキング等です。

さて、13日(日)はミンデン(Minden)と言う街に行くことにしており、事前の調査等をしていました。その中でのエピソードを最初に綴りたいと思います。以前のブログにも書きましたが、ミンデンはクライン・ガルテン(賃貸型の家庭菜園のようなもの)を見るために、ホストの奥さん(Eさん)から教えてもった街なのです。ラーデンから比較的近くてそれが見られる街と言うことです。

インターネットで、ミンデンの関連情報が知りたかったのでGoogle検索していたのですが、アレッと思ったのが「豊根村」(愛知県東三河方面)が画面に現れたことです。少しプライベート的なことになってしまいますが、私の一つのビジネスエリアは愛知県の東三河方面であり、豊根村もその域内にあるのです。だから、何故「ミンデン」を検索して「豊根村」が出てくるのか不思議でした。が、内容を読んですぐに合点が行きました。

豊根村にはドイツのパンを焼いて売っているお店があることは知っていたのですが、立ち寄ったことはないのでその店の名前も正直知りませんでした。実はその店の名前が「ミンデン」だったのです。しかも、その名前の由来を調べると、何とその店のご主人はドイツのミンデンでパン焼きの修行をされたと書かれています。そして日本に戻って自分の店を開いた時に、縁(ゆかり)の地名ミンデンを店名に選んだとのことでした。

全くの偶然の産物ではありますが、これは不思議な「縁」を感じざるを得ませんでした。ネットの情報を元に修行されたパン屋さんの場所を探し当てました。ミンデン(ドイツ)に行った時には、そのパン屋さんの工場も見てみようと思った次第です。

こうして、ミンデンを訪れる目的がだいたい定まってきました。一つはクライン・ガルテンを見ること。次はミッテルランド運河とヴェーザー川が立体交差する地点を見ること。次に、例のパン屋さんの工場に行ってみること。最後に、ミンデン市街地を散策してみること等です。

ネットの地図情報を頭におおよそ記憶して道順等を考えます。距離もおおよその見当をつけました。全てのルートを歩くのです。

10月13日(日)、いつもより少し早めに起きました。外はまだ真っ暗です。天気予報によると晴れで気温は4℃~11℃ぐらいのようです。傘は不要、ラッキー!

9時頃の列車に乗車、乗り換え駅のHerfordまでは50分ぐらいで到着です。乗り換え時間は10分ほどで、そこからミンデンまでは20分ほどでした。10時半頃にはミンデンの駅に着いていました。
(写真: 近隣の鉄道網)

最初にクライン・ガルテンの方に向かいます。駅からは10分もかからない場所にあります。ほどなく施設の前に到着しました。しかし、Eさんが言っていたように、出入り口には施錠されたゲートがあって、契約者のみが出入りできるようになっているのでした。誰か出入りする人はいないだろうか? いれば事情を説明して見せてもらうつもりなのですが、そうした人は現れません。施設のはずれの方に歩いて行ってみました。ゲートは4ヶ所ぐらいあります。垣根があるのですがそれほど高くはないので、手を伸ばして垣根越しにデジカメで写真を撮りました。
(写真: クライン・ガルテンのゲート)

一つの区画は10m×30mぐらいで約300㎡ぐらいと思われます。ラウベと呼ばれている小屋がその区画毎に建てられていますが、その形や大きさは全くバラバラです。
(写真: 畑とラウベ)

端まで行ってみましたがすれ違ったのは犬と散歩するご夫婦ぐらいで、施設に出入りする人には遭遇できず、残念。次の場所を目指します。

ミンデン駅前に戻り、駅前の広い道・カイザー通りを通って街の中心の方へ向かいます。大きな橋を渡ります。下を流れる川はヴェーザー川です。大聖堂や市庁舎、マルクト広場、そして旧市街地らしき場所を散策します。日曜日なのでお店もほとんどクローズ状態です。
(写真: カイザー通り)
(写真: 大聖堂方向を望む)

(写真: 大聖堂)
(写真: 市庁舎のアーケード)
(写真: マルティーニ階段)

(写真: マルクト広場)

次はミッテルランドカナル(運河)を目指します。落ち着いた街並みの歩道を歩きます。木々の紅葉や落葉が目立ちます。秋も深まっていると言った印象です。そして歩くこと20分ほど、大きな警察署の建物を横目に見ながらそれを通り過ぎると、突然のように運河が現れました。この日の二つ目のハイライトです。運河沿いの堤防には小路があって散策している人達もいます。私も小路に降りて行きました。


(写真: 運河)


見事な運河です。ヴェーザー川との立体交差の構造は複雑ですが、船がその上下間を行き来できるような仕組みも設けられているようです。運河沿いの堤防をそのまま歩きます。運河では競技用ボートの練習をしている人達もいます。直線が続いているので練習にも適しているのでしょう。やがて、立体交差地点が見えてきました。まさに運河(上)とヴェーザー川(下)が立体交差しています。へェ~! こうなっているんだ。
(写真: 右下がヴェーザー川)
(写真: 上が運河)
(写真: 運河で練習するボート)

そのままヴェーザー川を渡り、今度は一般道路沿いの歩道を歩きます。パン屋さんの工場を目指します。道が正しければ数分で到着すると思われます。間もなくそれらしき建物と看板が見えてきました。間違いありません。しかし、日曜日なので人影はありません。写真だけ撮りました。しかし、ラッキーなことに工場とは反対側にスーパーマーケットがあって、店の入り口脇にそのパン屋さんの直営店であるカフェが営業中なのでした。
(写真: パン屋さんの工場側)
(写真: 同じパン屋さん経営のカフェ)

お昼時でもあり、そのカフェに入りました。パンをチョイス、コーヒーを頼んで2.69ユーロは安い印象でした。休憩した後、お店の人に尋ねてみました。私は日本から来ているのですが、以前、ここ(向かいの工場)に居た日本人を知りませんか?と。わからないとの返事でした。およそ10年ほど前のことと思われるので知っている人は限られているのかも知れません。若い女の子の店員もいましたが、英語は苦手だからダメ~と言っていました。ドイツに来て英語ダメと言った人は初めてだったので(しかも若い人で)逆に驚きでした。

店の中も許可を取って写真を何枚か撮らせていただきました。この店の奥はスーパーマーケットになっているようですが、日曜日は休み。トイレの場所を聞いたら、わかりにくいからと言ってパン屋の店員さんがトイレの前まで案内してくれたのです。ちょっとしたことではありますが、親切な対応なのです。ドイツに入ってあちこち歩いていますが、親切な対応をしてくれた人は10人を超えているでしょう。
(写真: カフェの店内)

さて、豊根村に縁の場所も訪ねることができたし、そのパン屋さんのパンも食べることができたし、この日の主たる目的はほぼ達成でしょうか。来た道とは違うルートで旧市街の方へ戻ることにしました。ミッテルランド運河沿いも来た時の対岸側の堤防を歩いて行きます。しばらくしてマルクト広場に戻りました。それにしてもカフェは何店かオープンしていますが、お土産屋さん等は開いていません。
(写真: 運河)
(写真: 街で見かけた子供)

カイザー通りを歩いて駅に向います。ヴェーザー川を遊覧する船が出発して行くのが見えます。15時過ぎには帰りの列車に乗車、Herfordの駅で乗り換えです。30分ほどは駅の近くを散策、(改札口はないので出入りは自由です) 16時頃のラーデン行きの列車に乗り17時にはホストの家に帰着しました。日中は11~12℃ぐらいだったのですが、夕暮れのラーデンは少し寒いぐらいでした。
(写真: ヴェーザー川と遊覧船)
(写真: ミンデンの駅)

この日の夕食はいつものレストランではなく、ほぼ向いにあるインビス(Imbiss)、日本で言うファーストフード店でケバブとビールで8.7ユーロでした。ちなみに仮にピザだけ注文すると4ユーロでも食べられます。これって安くないですか、日本に比べて・・・。このお店も何回も入っているし、サンダルで来ているので近くに滞在していることはわかっているみたいです。どこから来ているのかとか、仕事か?とか・・・色々聞いてくるのです。トルコ人かどうかはわかりませんが、中東系の顔立ちです。この店に限りませんが、店を出るときには必ず「チュース!」とお互いに言います。

この日も思い出に残る充実した一日でした。
~続く~