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東北初の「電灯」、いまも日本の水力発電の「伝統」を守る「三居沢発電所」

2024年05月20日 | 土木構造物・土木遺産
仕事の関係で年に数回は仙台を訪れる機会がある(まあ、現役リタイヤで、あと仕事では行かないとは思うが…)。その空き時間を使って訪れたのは市内の三居沢という場所。正確には仙台市青葉区荒巻三居沢。その建物は、仙台のシンボルでもある青葉山と広瀬川に挟まれた森の中にひっそりとたたずんでいる。
「三居沢発電所」と「三居沢電気百年館」は、東北で初めて電灯に灯をともし、記録の上では日本で初めて水力発電を行った場所である。1888年(明治21年)のことなので、「三居沢電気百年館」は100周年を記念して1988年に三居沢発電所を紹介するために建設されたもの。
驚くことに、この三居沢発電所は、現役バリバリ!市街地にある水力発電所として、現在も東北電力の管理運用で出力1000kWの電力を供給している。つまり、136歳の現役選手(建物や発電用機械等の構造物は、1910年からの運用開始。一部の機械類は運用廃止後、百年館で展示)。



仙台市や仙台在住の資産家は、電気事業に早くから興味を示し、宮城紡績会社の紡績機の水車タービンを利用して発電することを計画していた。1888年に初めて自社工場の電灯をともすことに成功。紡績会社は、時代とともに紡績から発電へと会社名や事業内容を変更して発電所を新たに建設したのが三居沢発電所である。
いまは東北電力の所有だが、最大出力で1000kW、常時290kWというのは小水力発電といわれる規模ではあるが、東北電力は、東北の電気の歴史を語る上では歴史的な構造物であり、青葉山、広瀬川などの恩恵を受けていることも相まって保存に力を入れているようだ。
上流・2キロほどのところから広瀬川の水を取水し、途中、青葉山を貫く1682メートルの導水路を経て、落差26メートルで山居沢発電所に水を流し込み、タービンを回して発電するという仕組みだ。



寄棟造りの発電所と近代的な百年館は併設されており、歴史的な偉業をたたえるとともに、三居沢の水力発電の仕組みの紹介するパネルや機械類の展示を行っている。百年館からは三居沢発電所の内部をガラス越しに見学できたり、青葉山からの導水管を見ることもできる。こちらも入場無料。
ことに、百年間の裏側のベランダからは導水管とともに、以前使用されていたレンガ造りの導水路跡を見ることもできる。私が訪れた時には発電所はメンテナンスのために稼働はしていなかったが、整備している様子など貴重な場面を見ることができた。
三居沢発電所の建屋は、登録有形文化財。三居沢発電所の関係機械や資料は機械遺産に認定されており、2009年には「近代化産業遺産群(続33・6先人のベンチャー・スピリットが花開き多岐に発展した化学工業の歩みを物語る近代化産業遺産群)」の一つに認定されている。




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