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佐野氏の「夢」に向かって、亀田郷土地改良区の取り組み

2025年04月03日 | 土木構造物・土木遺産


亀田郷土地改良区の施設や取り組みを紹介しておきたいと思う。確かに区域内の農地の水利や環境保全を図るの土地改良区の役目であるが、亀田郷の排水機場などの施設は、県都・新潟市の都市機能を守るという役目も担っていることも確かである。
前回も紹介したとおり、亀田郷(新潟市江南区、中央区・東区の一部)は阿賀野川・信濃川に挟まれ、なおかつ南に小阿賀野川、北に通船川に囲まれた海抜0メートル以下の土地で、いわゆる輪中といわれる川の堤防に囲まれた低地なのである。この地域は「地図にない湖」とも言われていた。(写真上:鳥屋野潟を中心とした流域図、信濃川下流河川事務所資料から)
その地域内で排出される水は、新潟市内でも一番低い土地である「鳥屋野潟(写真上)」に集められる。その水を潟の西側を流れる信濃川に排出するのが「親松排水機場」である。旧栗ノ木川排水機場が1948年に完成したが、それを受け継いだこの親松排水機場の完成によって、輪中内の農地は都市近郊の優良農地を確たるものとしたのである。



親松排水機場は1968年(昭和43年)に完成したが、建設から30年経過し老朽化も顕著になったことから2008年(平成20年)に設備を更新、現在二代目。4台のポンプで初代同様排水量60㎥/秒を誇る。25メートルのプールの水を6秒で排出する能力を持っている。
また、隣に都市排水を目的として2003(平成15年)年に完成した国土交通省の「鳥屋野潟排水機場」と合わせると、その能力は最大100㎥/秒となっている。信濃川下流河川事務所によると、将来的には180㎥/秒を見据えて設備などのを計画しているという。
親松排水機場は農林水産省所有の施設ではあるが、新潟県が管理者となり亀田郷土地改良区が業務を受託、24時間体制で水面高低差3メートルの信濃川への排水業務を担っているのである。(鳥屋野潟排水機場は、国交省・信濃川下流河川事務所管理。写真下:親松・鳥屋野潟排水樋門と信濃川、亀田郷土地改良区前に展示されている初代・親松排水機場のポンプ羽根車軸)



親松排水機場のほかに亀田郷土地改良区では17機の揚排水機場を管理(受託を含む)している。国交省の鳥屋野潟排水機場が設置されるきっかけとなったのは1998年の「平成10年8月新潟豪雨」であるが、その後繰り返し発生する豪雨などでもこれら土地改良区の排水機場は輪中の浸水防止に活躍している。
特に、二本木、本所、蔵岡の各排水機場(写真下は本所・蔵岡排水機場)は、新潟市内で観測史上最大となった2022年の豪雨でもフル稼働。農地だけでなく、市民の命や財産を守った。単に農地保全・用排水路管理だけでなく水質浄化、水路周辺の環境整備、都市計画や地域づくりとの調和すること、これこそが佐野藤三郎氏の「夢」だったのであろう。
加えて、亀田土地改良区は太陽光発電にも取り組んでる。小水力じゃなく太陽光。まあ、低地であることから水力エネルギーを得られる適地がないことも確かだが、それでも環境を意識して再生可能エネルギーを自らの施設運営に活用している。注目していますよ、亀田郷土地改良区の今後の取り組みも!(写真下:土地改良区が設置・管理する「松山太陽光発電所」と、土地改良区事務所の発電状況をリアルタイムで伝えるパネル)



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