イースタン・プロミス [DVD] | |
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イースタン・プロミスEASTERN PROMISES
2007イギリス/カナダ/アメリカ
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:スティーヴ・ナイト
撮影:ピーター・サシツキー
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール、イエジー・スコリモフスキ 他
役者が立っていて見応えのある映画になっている。
敵味方がはっきりせず、敵かと思えば妙に優しかったり、
味方かと思えば実ははめられていたり。
立場や態度がくるくると反転するのがこの映画のキモではないかと思う。
思えば冒頭の床屋さんからしていきなり豹変するし。
主人公ニコライとつるんでいる、えーと、なんだっけ?ああ、キリル。
この二人の関係性も、マフィアボスのドラ息子とそれに仕える新参者の立場であったり、
実力を覗かせて持ちつ持たれつの関係になったりとどんどん変化する。
そもそもニコライの正体からしてアレだし。
人間関係というか社会というのは当然ながらそういう関係性がある程度定まっていることでつかの間成り立っているとするならば、ここで描かれる裏社会のハードさというのは、その関係性が定まらないこと、決して安住しそれに基づく判断で生きることができない社会というハードさである。
単に暴力や掟が支配することによるハードさだけではないのだ。
という映画かと思った。
***
そこでは一見関係性の固定に資すると思われるタトゥーにしても
逆に背信の道具として用いられる危険性をもつことを
ヴィーゴが全裸で奮闘して示してくれている。
あの格闘シーンはどうやって撮っているのか、
本当に傷つけあっているようにしか見えない。
クローネンバーグならそのくらい要求しかねないような気もするのでハラハラものである。
ハラハラするといえば、スコリモフスキ演じるえーっとステパン。
普通の人なのに老いてなお血気盛んで、黒社会のいかにもヤバそうなニコライにくってかかったりする。
あれはスコリモフスキの地なのではないだろうか?(勝手にそんなイメージを持っている)
ナオミ・ワッツの正義感もハラハラする。彼女らしいまっすぐな役どころでいい感じだけど。
ラストシーンが思いもよらない安堵感。
あとは、どら息子キリルを演じたヴァンサン・カッセルがよかった。
どうしようもない酒浸りなアホなくせにプライドと威勢の良さは人一倍。
あれとはつきあいたくないものだがニコライはしっかり懐柔するのでさすが~。
@自宅DVD