先日、熊打ちの親父から電話が掛ってきた。
「今度、暇か?巻き狩り助でけろ」
暇ではないが、まだ畑も忙しくもない。
鉄砲を持たない俺に何が出来るのか?
と聞いたら、セコ(勢子)をやれと言う。
マタギ仲間のヒロさんに、いろいろ教えてもらえと。
当の親父は都合で来れず、偵察がてら仲間のヒロさんにくっ付いて山に向かった。
目的の山域に近づくと、ヒロさんの足が止まった。「熊の足跡だ。昨日の朝だ。あっちに向かった。」
ど、どこですか?という位の薄い痕跡。難しい…
さらに奥へと向かう。
雪面に概念図を描き、セコの自分はこのルート。タヅ(ブッパ)のヒロさんはここで鉄砲構える。我々は声のトーンを落とし作戦会議。
たった2人の巻き狩り開始!
やっぱ一人森に放たれると緊張してきた!ドキドキしてきた!
「ホーウ、ホーウ」と大声を出し、熊が潜んでいる岩場の下を裏手に回り込みトラバース。潜んでいる熊を、タヅのヒロさんの所へ促す。雪が落ち、急斜の藪のトラバースは難儀だ。
無線でやり取りしながら、岩場をぐるり回り込んだが、逃げられてしまった…
難しいもんだな~
昼飯を食べた後、元の位置に戻る途中、別な熊の足跡を発見。子連れの熊だ。
我々のたった2人の包囲網をかいくぐって、この熊付きの岩場から逃げて行ったらしい。
後を追う!
子連れの熊は、次ぎの熊の潜伏場所へ向かっているようだ。
ここで無線で仲間に応援要請。
2人のベテラン、トミオあんにゃとタカオあんにゃが駆け付けてくれた。
結局、親子熊は予想外のコースで逃走。射止めることは出来なかった…
マタギ。
ただのレジャーハンターとは違う、山の神への感謝・畏敬を忘れない奥山の伝統的な狩猟文化の実践者。
いよいよこの世界へ…
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