南会津流半農半スキー 和泉屋AK.T

夏は南郷トマト農家、冬はテレマークスクール&ガイドの和泉屋AK.T~~
南会津流半農半スキーのブログでーす!

12月3~4日 尾白山

2022-12-04 13:57:30 | 

12月2日。ようやく我が集落にも初雪がやってまいりました!

昨年の11月24日に比べると8日遅い初雪でした。

12月3日。冬型が緩み今朝の最低気温はー4.7℃。今年一番の冷え込みです。

尾白山もこの時間はまだ真っ白。さて今日はあの尾白山の山頂を目指します。

まずは車を宮沢登山口へ置き、今日はヘビゾネルートで登ることにしました。

登山口から一度戻り、宮沢入川ぞいの林道を歩きます。

標高620mの林道終点から、まだ陽の当たらない寒々しい宮沢入川を遡行します。

今朝の冷え込みで、遅めのキノコはシャリシャリです。

今日の足元は、この沢歩きと雪濡れもあろうと狩猟スタイルの長靴とスパッツです。

滑ってドボンしないよう、慎重にひょいひょいと。まず目指すは入川と中の沢の間の通称「ヘビゾネ」です。

さて、沢から今度はヘビゾネのたるみ(鞍部)を目指し一気に直登。藪もうるさくなく、灌木を掴みながらぐいぐい登ります。

700m付近からヘビゾネをたどり山頂を目指します。尾根を境に北斜面にはまだ昨日の雪が残っていますね。

コンコンコン!とつつく音。探すとアカゲラがいました。

尾根沿いのブナに大正十五年?と読める切り付けがあった。約100年前の印。

そう、この通称ヘビゾネは地元マタギの呼び名だ。尾白山へ向かってうねうねと長いヘビのように続く尾根、という意味。

尾白山界隈は熊の猟場でもあった。

尾根にはヒメコマツなどの針葉樹が多い。この傾向は奥会津の豪雪地帯特有で、斜面は雪崩のため灌木が多く尾根には馬のたてがみのように針葉樹が並ぶ。

時にはこんな大木も。

一部岩場もあり、雪で滑るので慎重に。

標高1,000mを過ぎると、やっと尾白山の全容が見えた。全層雪崩の巣でもある南面はミヤマナラ、ミネカエデなどの灌木が多いが、紅葉の時期はこれが美しい!

針葉樹の尾根は藪はうるさくはないのだが、それが切れるとこのような雪で湾曲した灌木の藪。逆らうようにすり抜けるように登るのだが、スピードは激減。

この尾根の南面は豊かなブナ森が多い。陽当たりが良く、冬眠前の熊がブナの実を漁ってないかと凝らすが居ないようだ。

ま、居られても今日は猟モードでもないのでちょっと困るのだけど…。しかし、この後現実に…。

南東方向尾根越しに、三ツ岩と大戸沢が見えた。まだそれほど白くはない。

標高1200mを越えると雪も解け切らず、身体が濡れてきたのでザックカバー、テムレス、カッパ下を装着。

晴れていても藪こぎの枝付きの雪や霧氷というものは実に厄介。晴れていても濡れまくる。

何年生きたであろう太いヒメコマツの枯木たち。しっかりと更新されている。

ふと足元を見ると、動物の寝転がったような跡。よく見ると…

でかい足跡が…。これはほんと大きい。そして子供の小さい足跡も。疑いなく親子の熊。しかも新しい。

これが熊猟だと喜ばしいサインなのだが、今日は会いたくね~!これがまた、同じ山頂に向かっているし。

用心して持ってきた熊スプレーを手に持ち、念のため風下に向かって軽く試し噴射。問題なし。

さて、もうこの尾根上から過ぎ去っていてくれと「ほーいほーい!」と勢子声を出しながら藪をこぐ。

足跡はずっと同じ方向で、熊を追いかける形になってしまう。親子熊は一人熊と違って進みが遅いもの。藪もこぎながらなのでゆっくり大声出しながら進む。

15分ほど進んだだろうか。ふと前方を見ると…。ああ…。

50mほど先のブナに登っているでっかい熊を見てしまった。しかも、おそらく熊もこちらの声を確かめようと木に登り、近づく僕を確認し急いで降りる最中だったのだ。ほんとに大きい。この春に獲った熊よりも断然でかい…。

ああ、しまった…。親子熊は厄介だ。7年前に裏山で親子熊に威嚇され猛然と走り寄られたことを思いだす。やつもこっちに来るかもしれないと、安全ピンを外しスプレーを構える。

ブナを降りたあとは動く気配が無いので、しばらく大声を出す。手を叩いたり、犬の鳴きマネをしたり。どのくらいしただろうかガサガサーっという音が南面に下って行くように聞こえた。

こんな藪尾根を引き返すことも考えられない。少しずつスプレーを構えながら歩み寄る。熊が上ったであろうブナの樹を過ぎると足跡が無くなっていた。後ろから横から飛びかかれまいとびくびくしながら急ぐ。

ふ~っ。ここまで来ればもういいだろうと藪を漕いでいると、ぽん!と山頂の登山道へ出た。

登り出して4時間40分。

これが無かったら、もう不安でどうしようもなかっただろう。

山頂でゆっくりコーヒーを飲んで、大好きなシュークリームを食べる。おいしい~!

山頂から登ってきたヘビゾネを振り返る。

針葉樹が途切れたあたりから上方のブナの樹に居たのだね。

やはりここは昔からの猟場だけあって熊が居る。いつかここにも熊打ちに来てみっかな…。

大博多山(だいはたやま)の向こうには飯豊連峰が。

傾いてきた太陽にブナが輝いている。

さて、山頂でゆっくりしたあとはテン場へ向けて登山道を下山。

やっぱり登山道は高速道路だ。自由がない分、速い!

大きめの足跡にびくっとするが、これは一匹お猿の足跡だった。

お気に入りの幕場でツェルト設営。気温は0℃。

今夜は月夜。

毎年この時間が好きだ。テントや山小屋での夜、ウィスキーをちびりちびりやりながら辻まことの「山からの絵本」を読む。奥日光や奥鬼怒あたりの話も好きだが、今夜は特にこの熊におこられた話がいい。本当は会津駒のちょっと怖い遭遇もいいが、なんせ数日前に山の池で幽霊の声?を聞いたのでやめておいた。

ラジオ深夜便を聞きながら寝に落ちた…。

朝食を済ませ朝6時半には撤収完了。下山初めに尾根から朝焼けを眺めた。ちょうど高杖スキー場の上の方から朝日が昇り出すところ。今回はいつもより美しくはなかった…。

高速道路の登山道。下山はあっという間。午前8時半には帰宅したのでした。

2022-23 テレマークスクール&スキーガイド和泉屋AK.T

お知らせです!

12月12、14、16日に南会津バックカントリーの夕べ 2023 in MMtBビアフリッジ を開催します

14日にはココヘリの八木澤さんがお越しになります。この機会にココヘリへの加入をお勧めしますよ!

コメント (4)
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