梅雨が明け、トマトの収穫量も日に日に増してきた。全国的に猛暑傾向となり、尾白山も蒸し暑いもやに包まれている。
あの鬱陶しい日照不足の日々を思うと、日が照るということは有り難いことだ。
しかし、我が和泉屋トマト農園では今度は有り難くない来訪者に頭を抱えていた…。
毎日、食われ続けているトマト。
そして、ぎったぎたにやられ続けている受粉用バチの巣箱。このしつこさと荒くれ具合は、どうやらマミ(穴熊)だろう。
省力化と品質向上のためには欠かせない受粉用のクロマルハナバチ君。我々トマト農家にとっては、高価ではあるがそれ以上の効果をもたらしてくれる重要なパートナーなのだ。そのバチ君の巣を荒らすとは…、ぎったぎったにしてやるぞ!
入口に置いているヘビ太郎は、ハクセキレイやムクドリには効果があるがケモノには効果なし…。
巣箱の位置を高くしたり、周りに鮎漁に使う刺網で囲ったりと、ヤラレては別な対策を施すがまるでイタチごっこだった。
毎晩、気になって気になって目が覚めてしまい、眠りが浅くなっていった。
そんな矢先、魚屋マタギの父親から連絡が入る。新鮮な熊の生毛皮が手に入ったから直ぐ取りに来いと…。
今でこそ電気柵や光音声装置など畑を荒らすケモノ対策用品はたくさんあるが、昔の農家はこの熊の生毛皮を切り取って畑にぶら下げておくことで、悪さをするケモノを追い払っていたという。
確かに、クマ臭がすごい。
さっそくナイフで適当な大きさに切り取る。
そうこうしているうち、毛の茂みからマダニが次から次へと這い出して来るではないか!
一度刺されたことはあるが、幸い皮下に潜り込むまえに取り除けたのでかゆみだけで済んだが、潜り込まれると厄介な危険生物だ。
それだけ、この毛皮は生の証拠。
そして、このように畑にある4か所の巣箱すべてに毛皮をぶら下げてみた。
ほんとにこんなもので効果があるのか?逆に生肉臭でマミたちをおびき寄せることにならないか?
などなど、負の効果予想が優勢のまま布団に入る。眠りが浅いまま…。
翌朝、畑に向かい恐る恐る巣箱に近づく…。なんと、無傷でしたー!食われているトマトも有りませんでしたよ。
熊の効果ってすごいわ~。これでやっとぐっすり眠れます。
ケモノには、獣で。
これでまた一難が去りました。次の一難は、日照不足障害のトマト収穫期です。どれだけ収穫量が落ちるのか…。心配です。