トマト農家の阿久津と岩崎。お互いここ最近、北海道や秋田岩手で活動し多忙ではあったが、ようやく日程と天候がどんぴしゃ。
一泊の予定で山に入る。
国道脇に軽トラを止め、山に取り付くが恒例の急登。北海道や北東北がいかに楽ちんか改めて実感…。
標高1,300mを過ぎるころ、ようやく南会津らしいブナ森が現れた。
登り出しから800mアップ。ようやく目的の山域が見えた!
昨日までの冬型で新たに雪が50㎝以上積もっている。自然発生の表層雪崩もあり、滑る斜面は十分に吟味したい。
トータルの標高差1,200m、5時間45分を要しようやく山頂へ。
阿久津はビレイを取りながら急斜面の雪を調べ、山頂から滑降する岩崎を待つ。
ここ数日の降雪はスラブ化し、明らかに脆弱なウィークインターフェースがあった。予定していたドロップポイントを変更、安全に…。
風の当たらないボールはいい雪がたまっていた!
しかし、いいところはイイ!悪いところはワルイ! 目まぐるしく変わる雪質。テレマークはむずかしい、だから面白いのだ。
手こずりながらも、今日の目標ラインの滑降を無事終える。
ブナの疎林でツェルト泊。
宵はウィスキーを二人ちびりちびりやりながら、翌日の滑降ラインの作戦を練る。
山のシルエットを残しながら、静かに闇に包まれるのでした…。
が、静かな夜といえば放射冷却。気温はー10℃近くまでぐんぐん下がり、二人睡眠消化不良のまま朝を迎えたのでした…。
さて、翌朝は高気圧が過ぎ去り、代わりに関東南岸に低気圧が近づく。べったりの高層雲。いつまでたっても薄暗い朝、再び山頂を目指す。
どんよりだが、風は全くなく静かな山頂だった。気温ー4℃。しかし、小さな気圧の谷が近づくので、早めに降りることにする。
山頂直下から、スパインを楽しむ岩崎大。
阿久津も大斜面を気持ちよく
雪質だけでなく、常に地形も楽しむ滑りには尊敬すらする。
2日目の滑降も無事終え、再び登り返し。あとは、ながーい帰り道が待っている。
まるで修行の悪雪に翻弄されながら、ようやく国道が見えるところまで降りてきた。
二人は思った。テレマークがもっと上手くなりたかったら3月の山を滑るべし。現状で満足せず、技術に道具に向上するための探求心を与えてくれる。
無事下山。二人の軽トラが見えて来てほっとする。
今回、喜んだり悶絶したりしたあの雪は、またこの夏秋、南郷トマトのミネラルの一滴となる。